【レトロガジェットシリーズ】 SONY Discman D-321という超レアな一台に耳と心を掴まれた話
中古のポータブルCDプレーヤーを整備していると、いろいろな機種に出会います。
「これはデザインがいいな。」
「この機種は低音が力強いな。」
そんなことを考えながら、一台一台を手に取っています。
その中でも、なぜか何度も聴きたくなる機種があります。
それが、1993年に発売された SONY Discman D-321です。
正直に言えば、D-321はソニーのDiscmanの中で一番高価なモデルではありません。
オークションで驚くような値段が付くプレミア機でもありません。
それなのに、整備が終わって動作確認を始めると、いつも予定より長く音楽を聴いてしまうのです。
「あと一曲だけ。」
そう思っていたのに、気付けばアルバムが最後まで流れている。
私にとってD-321は、そんな不思議な魅力を持ったプレーヤーです。
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手にした瞬間、「いい物だ」と分かる質感
D-321の魅力は、電源を入れる前から始まっています。
バッグから取り出して最初に目に入るのは、アルミ製のトップカバーです。
しかも、このアルミには落ち着いた つや消しグレーの金属調仕上げが施され、光の当たり方によって表情が少しずつ変わります。
ギラギラした高級感ではありません。
落ち着いた、大人の高級感です。
指で軽くなでると、金属ならではのひんやりとした感触が伝わります。
この瞬間、「ああ、ソニーは外観にもずいぶんこだわったんだな」と感じます。
今の製品は軽さやコストが優先されることも多いですが、この頃のソニーは「持ったときの満足感」まで設計していたように思えます。
中央には小さく「SONY」のロゴ。
その下には「Discman ESP」。
主張しすぎないデザインだからこそ、30年以上経った今でもまったく古さを感じません。
私はD-321を見るたびに、「こういうデザインは流行に左右されないんだな」と思います。
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再生ボタンを押すと、つい時間を忘れる
整備が終わると、必ず動作確認をします。
最初の一曲だけ聴けば十分なはずなのに、D-321だけはなかなか止められません。
低音はしっかりしているのに重すぎない。
ボーカルには温かみがあり、耳元で自然に歌っているような距離感があります。
高音も必要以上に主張せず、とても聴きやすい。
「すごい音だ!」「キレッキレ!」という派手さはありません。なんせ時代遅れのDACだから。
表現のリアルさは最新のCDプレーヤーやハイレゾ音源の方が上です。
321は温もりのある音というか、エッジがキツくない心地よい系。
「ずっと聴いていたい音」なんです。
これは数字やスペックでは説明できません。
実際に聴いてみないと分からない魅力があります。
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スペック以上に伝わってくる、ソニーの本気
D-321には、
- 1bit DAC
- ESP(音飛び防止)
- DSP音質モード
- 液晶リモコン対応
など、1993年当時としては十分すぎるほどの装備が搭載されています。
もちろん、どれも魅力的な機能です。
でも私が一番感じるのは、「スペックを競うために作られた製品ではない」ということです。
音も、デザインも、操作感も、すべてが「気持ちよく音楽を楽しんでもらいたい」という方向を向いています。
だから30年以上経った今でも、人の心を動かすのかもしれません。
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