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ランサム 非公式作戦

2023年公開の韓国映画「ランサム 非公式作戦」を観た

※こっからはネタバレなので嫌な人はそっと離れてね※























なんか久々に「絆」とか「友情」って言葉が押しつけがましくなく伝わってくる映画を見た感じ

中東のドロ沼の紛争地帯ベイルートで過激派組織に拘束された韓国の外交官から、なんと1年半ぶりに韓国の外務省へ暗号のSOS通信が届くところから物語は始まる
消えた同僚を極秘裏に救い出すため、身代金(ランサム)を抱えて危険地帯へ乗り込んでいく命懸けの「非公式作戦」を描いた極上アクションサスペンス

舞台は1980年代後半
当時の韓国といえば全斗煥政権下の軍事政権がまだまだ絶対的な権力を誇っていた時代なんだよね
国の実権を握り強硬姿勢を崩さない安企部(国家安全企画部)と、なんとか平和的に解決したい外務省との間で繰り広げられる暗闘や政治的な駆け引きのリアルさが、物語の骨組みをガッチリ支えていてめちゃくちゃ引き込まれる

主人公の外交官イ・ミンジュンを演じるのはハ・ジョンウ
コネも学歴もなく出世コースから外れていた彼は「作戦を成功させたらアメリカのニューヨーク赴任を認める」という条件と自身の夢を賭けて、この危険極まりない戦地への突入に名乗りを上げるんだよね

ベイルート空港に降り立った瞬間に大金を狙う現地の空港警備隊や警察、ギャングたちとの命懸けの騙し合いがスタート
そこで奇跡的(?)に出会うのが、現地の事情を知り尽くした韓国人のタクシー運転手キム・パンス
演じるのはチュ・ジフンで、金に目がなくて怪しさ全開の軽い男を飄々と魅力たっぷりに演じてて最高なんだよね
この映画的なお約束と破天荒な要素の散りばめ方が実に手慣れていてワクワクさせてくれるんだわ

主人公のミンジュンと現地で出会った運転手パンスの不協和音なやり取りもめちゃくちゃ笑える
一度はミンジュンがぐっすり眠っているスキを突いて、250万ドルもの大金をネコババして逃走したパンス
だけど現地人の恋人に「人の命を何だと思ってんだ!」って大目玉を食らってガツンと怒られ、葛藤の末に泣く泣く金を返しに戻ってくる場面なんて、人間臭さとコメディ要素が満載で思わず吹き出しちゃったよ

もちろんアクションの熱量もハンパない
『トンネル 闇に鎖された男』や『最後まで行く』を手掛けたキム・ソンフン監督らしく、緩急のつけ方が実に巧みなのよ
モロッコロケで再現されたベイルートの街並みを舞台に、車幅ギリギリの狭い路地を旧式のベンツで爆走するカーチェイスは圧倒的なスリル
「あんな狭い道を猛スピードで走れるわけねえだろ!」ってツッコミを入れつつも、映像の勢いに圧倒されて気付けば手に汗握って見入っちゃう

終盤の展開で、敵対勢力の追手から逃れるために建物の屋上同士を梯子で渡っていく決死の脱出劇や銃撃戦のくだりは、正直「追手がちょっと無能すぎるだろ!」と苦笑いしたくなるところもある
だけど作品全体が持つテンポの良さと圧倒的な熱量でぐいぐい押し切られちゃうから、細かいツッコミなんてどうでもよくなる爽快感があるんだよね

キャスト陣も実に豪華で、韓国ドラマや映画でおなじみの実力派たちが脇をしっかり固めてる
ミンジュンを裏で支える外務省の上司役のキム・ジョンスや同僚役のイム・ヒョングクたちが重厚な演技でドラマを引き締めてくれる

そして意外と印象的だったのがクセ強めな外国人キャストたちの存在感
スイスで人質交渉の裏ルートを繋ぐフィクサー(美術商シャイト)を演じたマルチン・ドロチンスキの胡散臭くも凄みのある佇まいや、アメリカCIAの現地情報屋カーター役のハリウッド映画にちょこちょこ出てるバーン・ゴーマン
さらには金で買われた傭兵とはいえ、現地で主人公たちの救出作戦をバックアップしてくれる頼もしい民兵隊長カリームを演じたフェド・ベンシェムシ(Fehd Benchemsi)のタフで渋い佇まいなど、要所要所で異国感とピリッとした緊張感を強烈にプラスしてくれてたな

そんな一筋縄ではいかない連中と渡り合いながら繰り広げられる人間ドラマの深さには、思わずウルっときちゃうんだよね
事務所内で孤立しながらも、ミンジュンと監禁された同僚のために危険を顧みず署名を集め、上層部へ直訴しにいく外務省の仲間たちの熱い絆

さらにクライマックス、激しい追撃をかわしてようやくベイルート空港まで辿り着いたものの、用意された航空券は2席しかない
ミンジュンは自らの身を危険な現地に残し、救出した同僚と相棒のパンスを先に帰国させる決断を下すんだよね
あの命懸けの場面で「男気」と覚悟を見せる演技をやらせたら、やっぱりハ・ジョンウの右に出るものはいないよな

政府や組織の都合で自分の手柄も功績も揉み消され、誰にも出迎えられずに人知れずひっそりと韓国へ帰国したミンジュン
だけど失意の彼の前に、あのパンスがタクシーで颯爽と迎えに現れるラストシーンには、思わず胸が熱くなってホロリとさせられたよ
国家や政治の冷酷さに裏切られても、死線をくぐり抜けた二人の間には本物の友情が残ったんだなと思わせてくれる最高の名場面だよね

それにしても紛争地域という極限状態の現場で働く外交官たちには、心から「お疲れ様です」と言うしかないよね
ニュースで見かけるような贈収賄や現地の利権との癒着なんかで地位を失うような連中もいれば、こうして正義感と圧倒的な使命感で命を懸けて仕事をしている人も間違いなく存在する
フィクション混じりの映画だと分かってはいても、観終わった後に胸がすくようなスカッとした気持ちにさせてくれたよ

実際にあった紛争地域での外交官による同僚救出劇にエンタメ要素をこれでもか、とちりばめた笑いあり涙ありの秀作

そんなことを感じた映画ですた

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