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両手からあふれた優しさは、誰かの明日になる


令和8年6月23日  81回目の慰霊の日



あんなにも酷く悲惨な戦争。


毎年6月になると、テレビ、ラジオ、新聞は戦争の話であふれていました。


時代の流れとともに情報のあり方も変わり、


今では慰霊の日のこの時間だけ触れるという人も少なくありません。


私たちは、その苦しみを見たこともなければ、体感したこともありません。


聞くだけです。


それでさえ恐ろしいと思うのだから、


体験した人たちの苦痛は、


きっと私たちの想像をはるかに超えるものだったのだろうと思います。


介護の仕事をしていた頃、


おばーたちはよく言っていました。


「こんなひどい話、かわいい子どもたちには聞かせたくないさ。かわいそうだから言いたくない」


だから戦争の話はしたがりませんでした。


戦後の話はしても、


戦争そのものの話になると口を閉ざしてしまう。


それほどまでに深い傷だったのだと思います。


大好きだった人も。


大嫌いだった人も。


大切な人も。


戦争を始めた人も。


戦争を終わらせた人も。


突然目の前から消えてしまった人たちと、


今ごろおじーやおばーたちは、


「約束どおり、皆の分まで生きてきたぜ!」


と、ようやく再会できているのかもしれません。


20万人以上の命が失われました。


残された人たちは、


命を終えるその日まで生き抜くという強い覚悟を持ったのだろうと、


思わされる場面に何度も出会いました。


介護の現場。


私はそんな時代を生きたおじーやおばーにたくさん出会いました。


寝たきりになったあるおじー。


手も足も思うように動かない。


それでも、


こちらを真っすぐ見つめる、


睨むような鋭い眼差しだけは、


今も忘れることができません。


何も語らない。


だけど、


「まだ終わらんぞ」


そう言っているかのような重みだけは伝わってきました。


畑を耕し、


家族を守り、


どんな苦しみや大声の罵声にも負けず、


まけるもんかと生き抜いてきたおばーたち。


その姿そのものが、


戦後を生きた歴史だったように思います。


そして、


まだ見ぬ未来の子どもたちへまでも平和をつないでいくという、


揺るぎない決意を身震いするほど感じました。


土地を奪われ、


頭上を飛ぶ飛行機が、


フェンス越しの故郷へ降りていくのを見つめながら過ごす日々。


焼け野原になった場所から、


涙をのみ込みながら、


再び立ち上がりました。


琉球の時代から受け継いできた、


世界とのつながり。


中国から漆。


朝鮮半島から陶器。


東南アジアから織物。


日本から染物。


アメリカから食文化。


ブラジルから植物。


そうやって、


さまざまな文化をチャンプルーしながら、


美の伝統を守りながら、


新しいものを生み出してきました。


沖縄の「チャンプルー」は、


ただ混ぜることではありません。


異なるものを受け入れ、


そこから新しいものを生み出すことだと私は思っています。


たくさんの人たちが、


畑を耕し、


文化を守り、


暮らしをつなぎ、


そして、


あの20万人の人たちも、


今も一緒にいるかのように。


いちゃりばちょーでー。


「会えば皆きょうだい」


琉球民謡をしっとり歌い、


琉球舞踊で静かに舞い、


デークーとパーランクーでエイサーを打ち鳴らし、


泡盛を酌み交わし、


カチャーシーで笑い合い、


生きた証を残しながら、


未来への道を作ってくれました。


だから今の沖縄があります。


まだ会うことのない未来の私たちが、


「戦争? そんなの遠い昔の話でしょ」


と笑いながら言える日。


それは、


81年前を知る人たちが、


涙を流して喜ぶほど幸せな未来です。


きっと、


私たちが会ったこともない、


あの時代を生きた人たちは、


そんな今を見て、


手をたたき、


手を挙げて、


喜んでいるでしょう。


どんな未来でも、


生きていてくれたらそれでいい。


「命どぅ宝」


命さえあれば、


何だって乗り越えられる。


だって、


ここまで乗り越えてきたのだから。


みんなだってできるさ。


まくとぅそーけー、


なんくるないさ、と。


当たり前だったものが、


たくさん変わってしまいました。


それでも、


今こうして生きていること。


今日という日を迎えられたこと。


目の前にある今の当たり前に、


「ありがとう」と手を合わせてみる。


不思議なことに、


その感謝は、


少しだけ心をほどいてくれます。


そして、


平和は遠い誰かが作るものではなく、


私たち一人ひとりの日常の中にあることを思い出させてくれます。


今日は慰霊の日。


祈りと感謝を胸に、


祈りを込めて。


ゆいまーる。



ドイツの山より沖縄への祈りを込めて

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