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No.1561 吹き寄せに引き寄せられ

「そちらにお接待菓子、ありますか?」
「うちは、駄菓子を扱ってますが、接待菓子はやってません。」
「ご存知なら、接待菓子を作るお店を教えてください?」
「大分市内には、聞いたことないですね。季節的な物ですからねえ。」
 
そんなやり取りをしたのは10日も前のことです。というのも、12日前にこんなLINEのお便りを畏友から頂いたからです。父と娘の、ちょっとイイお話です。

「そういえば色つきのお菓子での思い出が…。7、8歳の頃だったでしょうか?
春のおせったいで家家をまわり、お菓子を袋に入れてもらった中に、小さい緑とピンクと黄色の麸菓子が3個入ってました。当時のお菓子は煎餅など茶系のお菓子ばかりなので、宝物を見つけたような気持ちでした。(ハート)
 
帰宅してお菓子を見てると親戚のお姉さんが、その綺麗な麸菓子が1つ欲しいと言うのです(悲しい)。
私は他のお菓子はあげるけど、この色つきのお菓子はあげない!と言うと、側にいた父が『人に分けてあげられないないなんて情けない!食べなくていい💢』と、かなり強い口調で怒られ私が握ってた袋を取りあげ落としました。『私は、他のはいくらでもあげるのに、綺麗な色の🟢🟡🟠のお菓子だけ、私が欲しいだけなのに!』と心で思いワンワン泣きました。
 
今、思えばいくら自分が欲しいのでも父は3つあれば1つは人に分ける事の大切さを教えてくれたのだと思います。
 
怒られて心凍りましたが、今でも、食べられなかったあの麸菓子の心踊った色を覚えています。」

Y子さんからのLINE

そのLINEのお話を読んで、私は彼女が「小さい緑とピンクと黄色の麸菓子」と言ったお接待菓子の「ふきよせ」をプレゼントしたく思いました。又、11年目となる古典講座のお仲間にも配りたいと思いました。子ども時代を思い起こす、よすがにでもして頂こうと。
 
大分市内の駄菓子問屋さんでは見つけることが出来なかったので、今度は豊後高田市の商店街にある「まちの駅・夢むすび」さんに電話をしてみました。旬の野菜、豊後高田の名産品、地元の惣菜などを手掛ける直売店です。

「そちらに接待菓子なんてありますか?メガネ菓子とか吹き寄せとか…。」
「ええ、ありますよ。うちでは数種類を一袋にして売ってます。」
「あのう、吹き寄せだけ買うことはできますか?」
「単品では、やっていないんですよ。申し訳ございません。でも、単品を望まれるんだったら、高田のインダストリーで売ってましたよ、たしか。そちらにも行ってみてください。」
明るい声の女性店員さんは、そう教えてくれました。すごく丁寧で、親切で、嬉しい応対でした。商いの競い相手のことまで教えて下さる。私は、夢むすびさんの方に行かせてもらおうと思いました。

ところが、すぐにでも行くつもりだったのに、例の耳石のおかげで「軽度のめまい症」にやられ、完全に体調が整うまでに10日間もかかりました。回復に時間がかかったのは、体力が落ちていることも無縁ではないなと実感しました。

先日、漸く豊後高田市の「夢むすび」さんを訪れることが出来ました。大分の我が家からは、車で片道1時間30分ほどです。お店に入ると、正面の竹カゴの中に数種類の接待菓子の袋詰めが、「満員御礼」の体で目に飛び込んできました。
「待ってたよー!」
と手招きしているように見えました。
私は、竹カゴごとレジに持って行き、
「これ、下さい!」(心の中は「全部、いただくわ!」)
と言うと、2回目の成人式を終えてから10年は経ったかなと思われる、レジ係りのふくよかな女性が、
「いつか、お電話いただいた方ですか?大分の?」
と声を掛けてくれ、覚えていてくれたこと、やはりここを選んで良かったことをしみじみと感じました。

今日の画像は、袋に入っていた接待菓子で、左の皿には「たまご菓子」と「生姜せん(べい)」、右の皿には「ふきよせ」と「めがね菓子」を入れてみました。
 
大分では、旧暦3月(4月)と7月(8月)の21日に弘法大使を祀り、参拝者に菓子や餅などでもてなすことを「おせったい」と呼んでいます。子供の頃には、もうすこし全体が大きめでしたが、それでも、色も味も懐かしむのに十分な、素朴なお菓子でした。
 
今様の美味しすぎる菓子の味に慣らされていた我が「舌」に、「活!」が入りました。