竹柏会「心の花」2025年11月号
作品(新カナ) 黒岩剛仁選
神奈川 吉留 秋生
歌人なら腹から声をしかと出せ己が言の葉大切にせよ
ガザ、パンダ、選挙、大谷。ニュース読む人の表情危うき揺らぎ
叶わざる欲もて余し墨色の夜を歩かん月の速度で
さるすべりその紅は夕空に溶け出で街に涼風ぞ吹く
花間にて瑞々しきは夏の月フルーツキャップで包んでやりたし
掲載されなかった歌
無人駅にて死に入し金亀虫の鞘翅艶美に燃え輝けり
愛なんて恋なんてよくわからないステンドグラスの光抱き寄す
あの日言葉を奪われし人々の悲痛な沈黙の上にて暮らす
所感
切実に何を伝えたいのか。その歌の背景や前景にある心の動きが自らの中に曖昧である場合、その短歌は掲載されにくいということがなんとなく分かりつつある。
