竹柏会「心の花」2026年6月号
作品(新カナ) 佐佐木頼綱選
神奈川 大川 優華
すんすんと寝息立ていし病友の夢アネモネの色なせしかも
不在という存在の粒立つ春雨に濡れればわれも不在として在る
春霞溶かしバターの陽光に浸りし背中追いし日もあり
意味のある沈黙 意味のなき発話 ただ夢の野の菫を摘ん
甘き香のせし思い出に爪楊枝刺して喰みたしひとりの夜更け
春の坂白梅ちらす風を抱き深まっていくこの孤独(ソリチュード)
掲載されなかった歌
知らぬ街知らぬ雪降る知らぬ坂道をのぼりぬ夢 病架にて
夜の明けし病窓は鴇の羽根の色わがいのちをも透過すひかり
