Castle Park/Graham Coxon
TITLE: #CastlePark
ARTIST: #GrahamCoxon
GENRE: #Power pop
PRODUCER: #v , #t , #e
LABEL: #Transgressive
RELEASE: 2026/06/19
REVIEW
アーティストの紹介
グレアム・コクソンは1969年、西ドイツのリンテルン生まれ、英エセックス州コルチェスター育ちのギタリスト/シンガー・ソングライターである。ブラーの創設メンバーとして「Coffee & TV」などで声も担い、ローファイ、ノイズ、アートロックを横断する歪んだギターで90年代以降の英国ロックを更新した。1998年以降はソロ作を重ね、『Happiness in Magazines』『A+E』、映像音楽やThe Waeveでも活動する。
アルバムの評論
『Castle Park』は、2011年の『A+E』セッションから十五年を経て現れた第九作である。ブラー再始動の陰に置かれた録音だが、埃を払った遺物ではない。第一印象は軽やかだが、音の奥には待たされた時間の陰影がある。青春の公園が、乾いたポップの輪郭で立ち上がる。
音楽的にはパワーポップを軸に、キンクス的な跳ねと60年代モッドの身振りを重ねる。ベン・ヒリアーとの制作は、ギターの粗さを丸めすぎない。「Billy Says」から「Alright」へ抜ける配置は風通しがよい。Nervesのカバーを挟み、スラッカー、フラメンコ、モータウンへ枝分かれする。室内楽の「Mélodie pour Christine」も、流れを飾りにしない。
軸に置きたいのは「Billy Says」だ。恋人に嘘を売るビリーという像は、ブリットポップ的な大言壮語の縮図にも見える。だがメロディは責めず、口笛を誘う上昇線で彼を少しだけ逃がす。テレキャスター系の歯切れはコードを斜めに滑らせる。サックス出身らしい細かな装飾が、拍の隙間で跳ねる。甘さと刺の比率が、本作の倫理を決めている。
本作の意義は、ブラーの大舞台の外側にいたコクソンを再発見させる点にある。NMEが失われていたら惜しかったと評した理由もそこだ。『Happiness in Magazines』期の直線的なポップを愛する者に届く。同時に、派手な物語よりギター一本の癖に耳を澄ますリスナーへ向く一枚である。
TRACKLISTS
Billy Says
Alright
When You Find Out
Isn't It Funny
There's a Little House
Easy
Dripping Soul
Forget Today
Mélodie Pour Christine
All The Rage
