「金利上昇」の号砲が鳴る - "周回遅れ" の日本はまたも "先頭ランナー" に?
昨夜は久しぶりに "気持ちの悪い揺れ" だった。振動が長く続き、東京にいても規模の大きい地震である事はすぐわかった。その後津波警報が出てニュースに釘付けになった方も多かったはず。2011年の東北大震災の時もマグニチュード7クラスの地震の後に9の本震が来たので警戒感が高まるのは当然
マーケット、特に国債を中心とした金利市場にも激震が走っている
シュナーベルECB理事:「次の金利の動きが利上げになると予想」
次期ECB総裁候補の1人であるドイツ人のシュナーベル氏がこう発言し欧州国債市場の風向きが変った。折しもJGBの「金利上昇」が続く中、欧州国債も長期債を中心に下落(金利は上昇)。世界的な動きに波及しつつある

流れとしてはいち早く「中立金利」≓@2.0%に達したECBが方向転換をした格好だが、これに今回(12/10)の▼0.25%の利下げで同じく「中立金利」≓@3.5%に達するFRBの動向が俄然注目される

米国債も地合はあまり良くなく、市場では「今回の利下げで打ち止め」感が強まって来た。ターミナルレート(利下げ・利上げの到達点)に達したとなれば、こちらもECB同様次に見据えるのは「利上げ」


これは非常におかしな現象なのだが、いつも "周回遅れ" と見做されている日本がいつの間にか "先頭ランナー" という事が良くある。今回の「金利上昇」局面もそう。FRB、ECBが利下げに転じる中インフレ対応が遅れに遅れ、やっと利上げに重い腰を上げたかと思ったら背後から欧米勢が迫り「金利上昇」の "先頭ランナー" に。本当に不思議な国だ
思い起こせば「ゼロ金利政策」もそう。長期デフレに陥った日本の金融政策は "ZIRP" (Zero Interest Rate Policy)などと揶揄され半ば嘲笑されていたが気がつけばFRBもECBも "ZIRP" に突入。民間エコノミストだったバーナンキ元FRB議長が日銀大阪支店長のI葉氏に向かって「日銀はケチャップでも何でも買えばいい!」と罵ったが、いざ自分が "ZIRP" する事態になり謝ったというのは有名な逸話
近頃流行の「コンプライアンス」(法令遵守)もそう
"ライボー(LIBOR、London Interbank offered Rate)、ライボー"
ロンドン出張してドル担当トレーダーがブローカーのオープンボイスを開いて次々に声を掛けているから何をしているのかと尋ねたら、*LIBOR(短期の指標金利)を決めるのにブローカーに聞いている、と言う。本来ノミネートされた10数行から上下4行を除いた平均値を取って決めるのだが、このやり方ではどの銀行も同じようなレートになってしまう。これは一種の談合であり、案の上その後指標金利問題として大手行が数千億円もの罰金を払う一大不祥事に発展した
(参照) "LIBOR" 時代の終焉。|損切丸
*一方日本にはTIBOR(Tokyo Interbank Offered Rate)があり筆者も円金利を提供していた。当時金融危機に喘ぐ邦銀は格下げが相次ぎ上乗せ金利である「ジャパンプレミアム」が発現。ドルの調達金利が欧米銀より+50~100BPも高くなりそれは円金利に「外銀ディスカウント」として反映。結果外銀の円は邦銀より▼0.30~▼0.50%も低く取引された。筆者も市場実勢に沿ってレートを出していたら、管轄しているZ銀協から「恣意的なレート提示は止めて下さい」と毎日クレーム。恣意的??結局Z銀協と揉めてTIBORメンバーから離脱したが、世の中何が幸いするかわからない。その後指標金利問題でTIBORもやり玉に挙がり外銀東京支店のトレーダーが何人も首になった(くわばら、くわばら)
バブル崩壊後の金融危機で監督官庁である金融庁の締付けが厳しくなり「”怖い” 金融庁検査」ー 「半沢直樹」の現場・時代から。|損切丸 これでいわゆる「コンプライアンス」に関して日本は意図せざる "先頭ランナー" に。当時LIBORの設定方法に異を唱えた「損切丸」だったが "You are high Ethics"(お前は倫理観高いなぁ)などと揶揄われた。だがその後同僚の彼らが収監された事実に鑑みると何だかやり切れきれなかった
さて「金利上昇」の "先頭ランナー" となったJGBだが問題の根は深い
本邦金融機関は日銀を筆頭に大量のJGBを抱え今般の「金利上昇」により巨額の含み損が発生。特に10年超の超長期債を抱える生損保は深刻でこれ以上 "ナンピン買い" する余力は無い。20年超は海外頼みになっているのが実情でレートに厳しい彼らは「実質マイナス金利」の国債など買わない。だから「金利上昇」が止まらない事態に陥っており、特に「円安」が止まらない今、ヘッジファンドなどは虎視眈々と収益機会を伺っている


仮に政策金利が4%になればJGBの利払いだけで▼40兆円。日米の潜在成長率の差=米3%-日本1%=2%を考慮すると、インフレを止める為にFRBが@5%まで利上げに追い込まれたように日銀が@3%まで利上げするのは有り得ない事では無い。仮に@1.5~2%で止めても今度は@160円、170円の「円安」が襲う。正直手遅れ感は否めない
やはり「過剰流動性」の総本山は日本 ー 「結果」を得るには一度「苦況」を乗り越えなければならない|損切丸 という認識に立てば円金利が一種の "アンカー" (碇)の役割を果たしていたのは間違いない。そのタガが外れる意味は小さくない。欧米国債の長期金利再上昇は「金利上昇」の号砲なのか。株式市場やFX、コモディティ(商品市場)、暗号資産等々影響は甚大であり、今後かなり際どい局面を迎える可能性がある

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