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坂本龍一の東京の仮住まいの壁に飾ってもうるさくない余白の芸術

『坂本龍一|音を視る時を聴く』
会期:2024年12月21日(土)~2025年3月30日(日)
会場:東京都現代美術館 企画展示室 1F/B2F ほか

『日曜美術館』でも取り上げられた岩井俊雄さんとのコラボレーション《Music Plays Images × Images Play Music》は感動的だった。ホログラム映像の坂本龍一が『Parolibre』と『The Sheltering Sky』を演奏する姿は、まるでそこにいるかのようにリアルだった。

昨年末、幻冬舎の編集者・箕輪厚介さんがChatGPTに、「村上龍がコロナ禍のメディアと政治の混乱について鋭く書いたエッセイをください」と投げかけて返ってきた(1秒で)、

何が真実で、何が虚偽なのか。その境界線は、2020年の春以降、まるで夜明け前の薄明かりのように曖昧になってしまった。東京の空を覆う灰色の雲のように、情報は濁り、空気は冷たい。

からはじまる、約1000字の村上龍っぽいエッセイをXに投稿しているのを見かけて、文章を書いて日銭を稼ぐ己の行く末を案じたが、進化し続けるAI技術とホログラム映像を掛け合わせれば、様々なアーカイブが残る著名人は不老不死同然の時代に突入か⁉︎ などと教授の背中を見ながら思った。

ほかには《坂本龍一の思想 theme #1 #2(1984/1985)》で展示されていた坂本さんが残した膨大なメモが興味深かった。なかでも「無意識(アンテナ)の動きを後から分析するのが意識」という言葉が印象に残った。

僕自身、昨年からはじめた瞑想の効果で、無意識で発動するネガティブなマインドや行動を、もう一人の自分がとらえる瞬間が増えつつあり、「わかる」気がしたが、少しだけ違和感もあった。坂本さんの文字の横に描かれていたイラストから察するに、「後から」(あとから)は脱字で、本当は「後ろから」(うしろから)と書きたかったのではないだろうか。だとすれば、最近自分が味わっている感覚と同じで嬉しい。などと想像しながら見るのが楽しかった。

メモは接写禁止だったため筆者による再現

ミュージアムショップが充実しているのもよかった。以前、坂本さんが「結局、戦メリ以上のものを残せなかった」(大意)と語っているのをなにかで見たが、僕個人としては『async』が一番好きで(本人も完成後、「あまりに好きすぎて、誰にも聴かせたくない」と語った作品)、『async』が出るまでは『B-2 UNIT』が一番だった(YMOだと『BGM』)。展示の興奮冷めやらぬなか、勢いでその2作品の限定盤のレコードと、『B-2 UNIT』はTシャツまで購入して大満足。「ゆるやかな感じで。アンビエントとか」候補を確保した。

写真2点ともに、『async』制作過程にインスピレーションを与えた書籍、写真、メモ、譜面など

ちなみに、『坂本龍一|音を視る 時を聴く』のチケットで『MOTコレクション』も入場可能だった。

マーク・マンダース《椅子の上の乾いた像》2011-15

坂本龍一を知るための僕のおすすめの一冊は『音楽は自由にする』(新潮文庫)。坂本龍一がどのような家庭に生まれたか、学生時代、YMOの成功と狂騒、時代の寵児としてスターダムを駆け上がり、世界的なセンセーションを巻き起こした半生について語られた自伝で、坂本龍一やYMOの音楽を聞いたことがない人でも楽しめる本だと思う。

あと、昨年NHKで放送された坂本さんの闘病生活に迫った『Last Days 坂本龍一 最期の日々』という番組がとにかく素晴らしく(NHKオンデマンドとU-NEXTで視聴可能)、すでに3回も見ている。2回目を見た日のこと──昼にカスヤの森現代美術館で『李禹煥 合間の遊作』を鑑賞し、その夜に番組を見直したところ、坂本さんの東京の仮住まいの壁に、李禹煥さんの絵が飾られていることに気づいた。初回では見落としていた細部だった。

そして、一瞬だけ映る本棚のシーンを一時停止すると、蔵書の中に李さんの『余白の芸術』(みすず書房)が確認できた。その瞬間に、「坂本龍一の東京の仮住まいの壁に飾ってもうるさくない余白の芸術」をつくろうと思いついた。それが、アナログコラージュとドローイングによる『KollageOmetric』シリーズで、完成次第、随時Instagram(#KollageOmetric)に投稿します。

『KollageOmetric,4』
210 × 297mm
Mixed Media(Collage,Drawing)
『KollageOmetric,4』をデジタル加工した『KollageOmetric,4s』


◉坂本龍一が自身の葬儀のために選曲したプレイリスト


◉その他、気になる展覧会情報

『マーク・マンダース|Silent Studio』
会期:2024年12月18日(水)~2025年3月8日(土)
会場:ギャラリー小柳

『細川家の日本陶磁 ―河井寬次郎と茶道具コレクション―』
会期:2025年1月11日(土)~2025年4月13日(日)
会場:永青文庫

『生誕120周年サルバドール・ダリ―天才の秘密―』
会期:2025年2月8日(土)~2025年4月6日(日)
会場:横須賀美術館

『マシン・ラブ:ビデオゲーム、AIと現代アート』
会期:2025年2月13日(木)~2025年6月8日(日)
会場:森美術館

『ヒルマ・アフ・クリント展』
会期:2025年3月4日(火)~2025年6月15日(日)
会場:東京国立近代美術館


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