【父と娘の夏】娘よ、君は大丈夫──挫折と涙の先に見えた成長の瞬間
夏、突然の挫折
三人娘の我が家。
長女は中学2年生で、バスケットボール部に所属している。
ミニバス経験もあり、1年生のころからレギュラーとして試合に出場。
だから、私も応援にはずっと足を運んできた。
そんな彼女に訪れたのは、7月の練習試合中。
突き指かと思っていたケガが、
病院で「骨折」と告げられる。
全治2〜3か月。
娘にとって初めての大きな挫折だった。
自信を持ち始め、先輩からバトンを受け取った矢先。
それは、あまりにも不運な夏だった。
コートからベンチへ
骨折は小さくても、骨折は骨折。
練習も試合も、
すべてベンチから仲間を見守る立場に。
最初は応援に声を張っていた娘も、
やがて焦りと悔しさで表情が曇る。
いつも部活の話を楽しそうにしていた娘が、
口数を失っていく。
私は声をかけすぎないようにした。
ただ、一言だけ。
「おまえは、大丈夫。」
涙のユニホーム
そして迎えた公式戦前。
レギュラーと補欠にユニホームが配られる日。
けれど、娘の手には渡らなかった。
だろうな、と心のどこかで思っていた。
でも、胸が苦しかった。
顧問の先生から「娘さんが人前で涙をこらえきれなかった」と聞かされたとき、想像していた光景が現実になった。
頑張ってきた日々を知っているからこそ、
つらかった。
それでも、余計な言葉はかけない。
ただ繰り返す。
「おまえは、大丈夫。」
新人戦への挑戦
2か月の治療を経て、ようやくサポーターが外れた。
新人戦には間に合った。
けれど、彼女はまだユニホームをもらえていない。
補欠ですらない。
それでも競争の中に身を置くことになる。
私はここで、はじめて言葉を少し変えた。
「がんばれ。おまえは、大丈夫。」
その日、娘は笑っていた
練習復帰の初日。
帰宅した娘に「どうだった?」と聞くと、
笑顔で答えた。
「うん、別になんともないよ。来月勝つから、仕事休みよろしく!」
ユニホームがなくても、出場できる保証がなくても。
それでも勝つと断言した娘の表情は、
確かに一回り大きく見えた。
その自信に満ちた顔に、私が力をもらった。
よし、俺も仕事を頑張ろう。
娘の試合を応援に行けるように。
――「おまえは、大丈夫。」
その言葉に、すべての想いを込めた。
最後に
あなたなら、あのときの娘に、
どんな言葉をかけますか?
きっと、どんな言葉でも「愛」なんだと思う。
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