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おわりはじまり

【詩】終着駅は始発駅

終着駅に着いたと思った

もうここまでかと
少しだけ肩の力を抜いて
息をついた

これで終わりだと
どこかで決めつけていた

でも
顔を上げてみると

同じ場所に
「始発」の文字があった

行き止まりだと思っていた場所が
ただの折り返し地点だったことに気づく

降りたはずのホームから
また電車が出ていく

同じ線路を使いながら
まったく違う方向へ

終わりだと思っていたものは
ただの区切りで

失ったと思っていた時間も
別の形でつながっていく

終着駅は
終わりの場所じゃなくて

もう一度
乗り直すための場所だった


【エッセイ】終わりだと思っていた場所で

【エッセイ】終わりだと思っていた場所で

終わりだと思ったことが、
人生の中にいくつかある。

もうここまでだな、と思った瞬間。
これ以上は進めない、と感じた出来事。

そのときは、
それが本当に「終わり」に見える。

気力もなくなって、
何かを始める余裕なんて、とてもない。

でも、少し時間が経ってから振り返ると、
あれは終わりではなかったのだと気づく。

ただの区切りだった。

ひとつの流れが止まって、
別の流れに乗り換えるための場所だった。

終着駅に着いたつもりでいたけれど、
同じ場所に、
ちゃんと始発の表示が出ていた。

あのときは見えなかっただけで、
最初からそこにあったのだと思う。

だから、終着駅は
本当の意味での終わりではない。

もう一度、出発するための場所だ。

そう思えるようになってから、
終わることが、少しだけ怖くなくなった。

もちろん、だからといって、
終わるたびに
「よし、新しい始まりだ」
なんて爽やかに思えるほど、
人間はできていない。

むしろ最初は、
え、ここ終着なん?
聞いてないけど。
という顔で立ち尽くす。

できればそのまま、
駅員さんに
「すみません、これ、まだ先ありますよね?」
と確認したくなる。

でも、だいたいそういうときに限って、
ちゃんと終着と書いてある。

仕方なく、
じゃあ始発に乗るか、と思って
ホームで待つつもりでいたら、
今度は照明が消え始める。

え、ちょっと待って、
そういう感じ?
と急に不安になって、
慌てて駅員さんに聞く。

すると、
「始発は明日の朝ですよ」
と、あっさり言われる。

じゃあ今夜、どうすればいいんですか。
という話になる。

そういう経験は、
実は何度もある。

終わったあと、
すぐに次が来るわけではない。

終着駅と始発駅のあいだには、
行き場のない夜みたいな時間がある。

その時間は、
少し心細い。

でも、
たぶん大事なのはそこなのだと思う。

何も動かない時間。
次の行き先も、
次の電車も、
まだ来ない時間。

人はそのあいだに、
少しだけ座り込み、
少しだけ肩を落とし、
少しだけぼんやりして、
それでもまた、
朝が来たら乗るのだと思う。

少し疲れた顔のままでも、
少し荷物が増えたままでも、
とりあえずまた、
次の電車に乗ってみる。

そう考えると、
終わりというものは、
案外、悪くない。

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