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単力 「14」


「日本武道館で演奏したい」
ポップスを演奏するミュージシャンであれば誰もが一度は見る夢ではないでしょうか?

私は38歳でこの夢を叶えた音楽家(プロベーシスト)です。現在53歳です。9歳の息子の父親です。

幸せだったけど決して裕福とは言えない片田舎の環境で育った私がどうやってこのステージまで登りつめたかをお話します。

ベーシストの実績としてはこれまで約20年間谷村新司さん、アリスのベーシストを務め、その他にも早見優さん、宮野真守さんらのステージを経て2024年からは氷川きよしさんのベーシストを務めています。

音楽は人の幸せの上にあるビジネスです。
絶好調の時には全国は恐らく15周は回ってきた反面、東北の震災やコロナ、またアーティストとの別れなどで仕事が全く回らなくなり、夜間に警備員として働き翌朝には眠い目をこすりながら遊びたい盛りの息子と公園の砂場に書いた五線譜。様々な荒波を乗り越えてきました。

波を乗り越え10年の間、夢に描いてきた今楽器に出会い、恐らくベーシスト人生で最後の楽器を手に入れようとする人生をお話してみたいと思います。

大変な時期を過ごしている方、何かを極めたいと思っている方のエールになれば幸いです。



「本を書きませんか?」

大阪でのイベントの直後に、谷村新司さんの翌年のツアーのお話。
「いい日旅立ち」と「昴」の2曲しか弾いていないのに何が伝わったのだろう?と思いながらも、誘ってくれたピアニストのA氏に報告し、ありがとうを伝えました。

当時はポップスを弾くベーシストはあまり弾いていなかったウッドベース(コントラバス)という楽器を自分は弾いていました。学校のジャズの授業で指紋が消えるくらい練習していたので、ポップスのベースラインを弾くことくらいは簡単でした。

それが友人で出版を既にしていたギタリストの目に留まり、都内の出版社から「エレキベース奏者向けのウッドベースの本を出しませんか?というご依頼を頂きました。

CDデビューに続いて今度は本? あまりの展開の早さに自分自身が驚いている中でも好きだった文章を書く仕事が始まりました。

楽器の持ち方、弾き方、そして音のサンプルを付属CDに入れるための録音、一人で家の中でああでもないこうでもない、と工夫しながらの作業を3週間ほど行い、遂に世の中に自分が書いた本が出版されました。

そして、立て続けに今度はもう1段階上のポップス系ベーシストが「ウッドベースを使う基準、判断」についての本を出すという流れに。

出版されて一番喜んだのは、実は小説家を目指していたという父でした。

https://www.amazon.co.jp/%E6%9C%AC-%E5%A4%A7%E9%87%8E-%E5%BC%98%E6%AF%85/s?rh=n%3A465392%2Cp_27%3A%25E5%25A4%25A7%25E9%2587%258E%2B%25E5%25BC%2598%25E6%25AF%2585


「映画に出ませんか?」

本の執筆活動が終わり、今度は2006年にヒットした映画「涙そうそう」の劇中歌、ライブハウスシーンの音楽の録音の話を頂きました。都内のスタジオでジャズの名曲「Summer Time」をロック寄りにアレンジされたものの録音でした。

自分の音が映画で流れる・・・そんなことは自分の人生で起こりうるのか?と驚いていたレコーディング作業中に、今度は翌月のスケジュールの調整の依頼。

「ライブハウスのシーンに出演してくれませんか?」

信じられないその話にまたもや呆然としていた中で3泊の沖縄ロケが決まりました。初めての沖縄。しかも仕事という恵まれた状況はテンションが上がりすぎて寝れなかった記憶です。

飛行機に楽器を持って、バンドメンバーと那覇に到着。初日だけで撮影は終わってしまい、翌日はレンタカーを借りてみんなでドライブをして美味しいものをたくさん食べて夕方のビーチで男4人で語る。現代版の Stand By Meのような光景を楽しみました。

映画「涙そうそう」の冒頭5分くらい、小泉今日子さんがライブハウスのシーンで音楽を聞いているその部分に出演しています。

「寄り添ってくれてありがとう」

本の出版、映画の出演などが終わり、今度は谷村新司さんの初めての全国ツアーに出ました。札幌、仙台、新潟、東京、名古屋、大阪、島根、福岡などを回ったツアーでした。

同じ楽曲をどの会場でも同じクオリティーで演奏する。
当たり前のことですが、こちらは2回目、3回目の演奏であっても各地では初めて来る方や、その日を心待ちにするファンの方々がいます。
いつも「その日しかない」という新鮮な気持ちで音を届けることができなければ失格ということです。

なので、体調管理には特に気をつけていました。また本番日の本番前にはご飯を食べないという習慣もこの頃からついてきたように思います。
特に炭水化物は眠気を引き起こすため、ピンと緊張感で張り詰めたステージには天敵でした。

ツアー最終日の福岡市民会館。本番が終わって着替えているとマネージャーさんから

「お一人ずつ呼ばれたら谷村さんの楽屋にいらしてください」と言われました。

「何なんだろう?」と不安で思っていると、バンドメンバー5人のうち最後が自分、恐る恐るノックをして楽屋に入りました。満遍の笑顔の谷村新司さんがそこに立っていました。

「お疲れさま!ありがとう!」と握手を求められ、固い握手をしてそこまでのお礼をお伝えすると、傍に持っていたツアーパンフレットを持ち、サインペンで何かを書き出しました。

渡されたパンフレットには「寄り添ってくれてありがとう」

と書かれていました。

「卒業証書です。またよろしくね!」

谷村新司さんから渡された卒業証書

グッと涙が溢れてきて、熱いハグをした谷村新司さんとの最初のツアーのファイナルでした。

自分はここまでやってきた。鎌倉で幸せな家族に支えられ、シカゴで様々な経験をし、日本で紆余曲折本当にしんどい日も山のようにあったけど、今こうして一つしか席がない日本を代表する歌手の谷村新司さんのベーシストの席に居る。

次はいよいよレジェンドバンド「アリス」の21年ぶりというツアーのベーシストというポジションの話、そして、人生最大のゴールだった日本武道館での演奏、そしてあの東京ドームでの演奏という夢舞台のお話をしていきたいと思います。お楽しみにしていてください。


大野弘毅 ベーシスト&ソラニワ合同会社代表

1.「空間、映像、音設計作曲家」

これまで多くのアーティストのベーシストとして音楽を支えた経験から、その知識を踏まえて動画、施設、イベント、店舗などのBGMを作曲しています。
官公庁様のPR動画音楽、葬儀社様の葬儀用の音楽、季節のイベント用の音楽などの実績があり、リスナーの性別、年齢、目的などにおいて心理学的に働く音楽をお作りしています。詳しくはウェブをご覧ください。


2.「カリブの快族」ライブ 2026/7/17(金)中目黒 楽屋
https://www.rakuya.asia/
これまでの音楽経験、人生経験を通じて音楽を聴いてもらうから「音楽がある心地よい空間を楽しんでもらう」というコンセプトの軽快な中南米音楽のライブを開催します。





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