【乳がん闘病コミックエッセイ】ep5:前オーナーへの報告と追加検査
第5話











日日伴走記

CHOCO'S column
全部諦める理由にはならない
突然ですが、あなたには「好きなこと」ってありますか?
ゲームでも、音楽でも、食事でも、観劇でも――なんでも。
好きなことって、「辞めよう」と思っても、そう簡単には辞められないものですよね。
私にとって、それが“カメラ”でした。
写真を撮ることに目覚めたのは、今から20年ほど前。
初めてフィルムカメラを手にした時のことです。
上手かと聞かれたら……正直、お恥ずかしい出来のものばかりだったと思います。
それでもとにかく楽しくて。月に2回はフィルムを現像に出していたので、実家にはまさに“山ほど”のプリント写真があります。
そんなふうに、人生を通じての趣味だった写真を「仕事にしよう」と思ったきっかけは、母が数年前に脳出血で倒れたことでした。
発見も搬送も早かったものの、後遺症で半身麻痺となり、車椅子での生活になりました。
「命があるだけありがたい」と思えるほど、厳しい状況にも一時期は陥りました。
介護を手伝うには会社勤めでは難しい。
そこで私は、自分の“最大の武器”であるカメラを活かして、フリーランスになる決意をしたんです。
母の容態が不安定だったある日、ふと思いました。
「もし母が亡くなったら、遺影にできる写真がないかもしれない」と。
私は写真が好きで、たくさんの人を撮ってきたのに――
どうして母の写真がほとんどないんだろう、と。
赤ちゃんの誕生や子どものお祝い事には、写真を撮る文化がありますが、年齢を重ねると、写真を避けたり、あまり残そうとしない傾向がありますよね。
それって、とてももったいないなと思うんです。
残される家族のためにも、“生きた証”をちゃんと残してほしい。
そう思えるようになったのは、母のおかげです。
そして、そういう写真を残せるカメラマンになりたいと心から思いました。
だからこそ、このスタジオは私にとって、とても大きな礎になっていました。
前オーナーさんは、私にスタジオを譲渡してくださるまでの10年間、ずっとここを経営されていました。
ゼロから作り上げた、大切な大切な場所。
そんなスタジオを譲っていただいてから、わずか4ヶ月で手放すかもしれない――。
それを伝えるのは、本当に勇気がいりました。
「がっかりされるかもしれない」
そんな不安を抱えていた私に返ってきたのは、まさかの言葉でした。
「ちょこさんがカメラ辞められるわけないじゃん」
その一言に、どれだけ救われたか。
懐の深さと、思慮深さに、改めて感銘を受けました。
この言葉は、寛解した今でも、ずっと私の心に残っています。
もし再発したとしても。
がん以外の大きな出来事に躓いたとしても。
私は、やっぱり、「好きなもの」は辞められない。
病気になると、諦めなければいけないことがたくさん出てきます。
仕事、生活環境、食べられないもの、行きたくても行けない場所――。
でも、「全部を諦めなくていいんだよ」
そんなふうに言ってもらえた気がしたんです。
【CHOCO/ちょこ】
Instagram:https://www.instagram.com/choco_phototime/
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