雨林舎のつやつやホットケーキ
朝遅く起きて、10分ほどでぱぱっと支度し、開店直後に入れるようにカフェ雨林舎へ向かった。
お目当てはなんといってもホットケーキだ。京都の雨林舎といえばホットケーキ。ホットケーキ、ホットケーキ、ホットケーキ。朝からわたしの頭のなかはホットケーキでいっぱいだ。雨林舎にはホットケーキのほかにもプリンやゼリーケーキやおいしそうな焼き菓子がたくさんたくさんたくさんある。だけど、ホットケーキの引力にはいつも勝てない。雨林舎ではホットケーキとコーヒーしか頼んだことがない。
お店に着くとまだ席が半分ほど空いていて、入れたことにほっとする。雨林舎が行列になっているところはあまり見たことがないけど、店の前で数人待っていることはよくあるし、席がいっぱいなことも多い。それに「ホットケーキ売り切れ」と手書きの札がかかっていることもしょっちゅうだ。だから狙い目は開店直後。
奥の大きなテーブルの相席を案内されて、席に着き、一応メニューに目を通す。頼むものはホットケーキで決まっているのだけどね。「ご注文お伺いしましょうか」と声をかけられたので、ホットケーキを少し迷ってダブルで、それからホットコーヒーを頼む。
ホットケーキに添えるものは、はちみつかラズベリージャムから選べる。わたしは絶対ラズベリージャム派!甘ずっぱいあざやかな赤むらさき色をホットケーキに塗り広げる様子を想像するとたまらなくなる。
待っているあいだ、奥の大きな窓から庭を眺める。小さな庭だけど、空に抜けて開放感がある。しとしと雨が降っている時も風情があって好きだ。店のなかには、ホットケーキの絵も飾ってあって、絵をじっと見つめながら、そのホットケーキ実物を待つ。調理場からカチャカチャカチャカチャうぃーんと音が聞こえてきて、ホットケーキのタネを混ぜているのかな、それとも違うメニューかしら、なんて考える。
しばらくしてホットケーキが運ばれてきた。たんっと小気味よい音で皿が机に置かれる。甘いなつかしいにおい。子供のときに母が焼いてくれたホットケーキも同じにおいだった。
つやつやのきれいなきつね色に焼けたまんまるに、四角いバターがちょこん、と乗っているビジュアルにめろめろです。絵本に出てきそう。「絵に描いたようなホットケーキ」というのは雨林舎のこのホットケーキのことを言うのだと思う。シンプルな白いお皿にのったさまは発光しているように感じる。
上のホットケーキをめくると、あいだにもバター。バターを全体に塗り広げるとつやつやだった表面がじゅわーとする。
中心から円周にむけて、さっくりとナイフを入れて2枚一気に切る。ひと口大にしてまずはそのまま口に運ぶ。まだあたたかく、やさしい甘さで口がいっぱいになる。ふかふかのホットケーキに心がほぐれていく。
小さなスプーンですくってラズベリージャムをつける。ラズベリージャムはさらっとしていて粘度は低い。果肉がころころ、種がつぶつぶ入っている。このジャムもまた雨林舎のすばらしさのひとつだと思っている。あらゆるジャムのなかでわたしはこの雨林舎のラズベリージャムが一番好きだ。
食べるとまず、ラズベリーのすっぱさがやってきて、ベリーらしい味がひろがる。それからだんだんホットケーキのやさしい甘さに飲み込まれていく。この味のグラデーションがなんともたのしい。噛むたびにラズベリーの種がぷちぷちいう。
ああ、今日もおいしかった!2枚のホットケーキを食べきって、おなかはぱんぱん。いつもシングルかダブルか迷うのだけど、おなかが減っていたので、ついダブルを頼んでしまった。まんぷくな状態でコーヒーを飲み、ぼーっとする時間がしあわせだ。
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