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効果率で経営せよ、と私は言う。でも、私自身が、いちばんできていない。

バレーボールのスパイカーのスコアシートには、選手ごとに二つの数字が並びます。ひとつは「決定率」。もうひとつは「効果率」。

観客席から見て気持ちがいいのは、間違いなく決定率のほうです。ズドンと突き刺さったスパイクが、打った本数のうち何本決まったか。派手で、わかりやすく、拍手が起きる。テレビの中継でも大きく映るのは、たいていこちらの数字であります。

けれども、公認コーチ4として、私が選手を起用するかどうかを最後に決めるとき、信じているのは決定率ではありません。効果率のほうなのです。

このnoteでは、そのことを語りたいのですが——先に、いちばん大事な白状をしておきます。事業をこの効果率で経営せよ、と偉そうに言おうとしている私自身が、実のところ、いちばんそれをできていない一人なのであります。

決定率は「決めた数」しか見ていない

まず、言葉を噛み砕いておきましょう。

決定率とは、打ったスパイクのうち、何本が得点になったかという割合です。100本打って50本決まれば、決定率50パーセント。素人目には「よく決める、いい選手だ」と映る。

ところが、この数字はある決定的なものを勘定に入れていません。その選手が「相手に与えた得点」です。スパイクは、決まるか決まらないかの二択ではないのです。決まる。拾われる。そして——自分でネットにかける、ラインを割る、ブロックにシャットされて、こちらの失点になる。この最後の「失点」を、決定率はまったく数えていない。明るいほうだけを見ているのが決定率なのであります。

効果率は、そこを引き算します。決めた本数から、自分のミスと被ブロックの失点を差し引いて、打った本数で割る。チームにもたらした純貢献だけを取り出す数字です。

A選手は100本打って50本を決めた。決定率50パーセント、堂々たるエースです。しかしミス20本、被ブロック20本。差し引き純得点は10、効果率10パーセントとなります。
一方で、B選手は45本決定と地味ですが、ミス5本、被ブロック3本。純得点37、効果率37パーセント。決定率ならAの勝ち。だが効果率では、Bが三倍以上引き離しているのであります。

派手なAは、決める裏で、相手のブレークの口火を自分の手で切ってしまっている。得点源であると同時に、相手にとっての最高の得点源でもある。その構造が、効果率という一列に、静かに、しかし残酷に刻まれているのです。

事業のスコアシートにも、二つの数字がある

これは何かに似ていると思いませんか。事業のセグメントであります。

経営会議で読み上げられるのは、たいてい決定率のほうです。あのセグメントは今期これだけ売った、この棟はこれだけ回した、あの事業はこれだけ人を集めた。トップラインの、明るい数字。拍手が起きる。会議室が少しだけ盛り上がる。

けれども、そのセグメントが会社に与えた「失点」は、たいてい読み上げられません。専有している固定費。奪っている人の時間。他に振り向けられたはずの機会。撤退のときに払う原状回復のコスト。そして何より、現場の人間が静かにすり減っていく、あの目に見えない消耗。決定率のスコアには、載らないのです。

売上という決めた数だけを見て、与えた失点を数えなければ、A選手を勝負どころで使い続けるコーチと、経営者は何も変わらない。理屈では、私にもはっきりわかっているのであります。

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