オガールプラザの次の社長は、盟友・星洋治さんであります。──「生みの苦しみ」の時代は終わり、これからは「入れ替えの苦しみ」の時代が始まります。
三部作として書いてきたオガールプラザのnoteも、これで最後になります。一本目では、社長を退任したこと、器を人に依存させない設計のことを書きました。二本目では、その器を金融の側面から掘り下げ、無担保・無保証のプロジェクトファイナンスのことを書きました。
そして最後のこのnoteで、私がどうしても書いておきたいことがあります。私の次にオガールプラザを託す、新しい社長のことであります。
その人の名は、星洋治さん。私の盟友であります。
この人選は、私が一人で決めたことではありません。オガールプラザの議決権の53.46%を持つ大株主、すなわち紫波町と、しっかりと話し合いを重ねた上で、星さんにお願いすることに決めたのであります。なぜ星さんなのか。それを語るには、まず、オガールプラザというこの事業が、いま、どういう局面に差しかかっているのかを、正直に書かなければなりません。
オガールプラザの最大のリスクは、テナントの入れ替えであります
華やかな数字だけを並べるつもりはありません。このnoteで私が書きたいのは、これからオガールプラザに訪れるであろう、リスクの話であります。
オガールプラザの最大のリスクは、テナントの入れ替えであります。
このプラザは、開業以来15年間、テナント様が一社も変わっておりません。入居率は建設前から100%を実現し、その後もずっと100%を維持してまいりました。これは、誇るべき事実であります。ですが、同じことを裏側から言えば、こういうことになります。すべてのテナント様が、この場所で15年という歳月を、共に重ねてきたということであります。
15年という時間は、人にも、商いにも、平等に流れます。開業のときに働き盛りだった店主も、15年分の年を取ります。事業には世代交代の波が来ます。時代の変化とともに、業態そのものが役割を終えていくこともあります。どれほど良いテナント様であっても、いつかは、入れ替えの時が必ずやってくるのであります。
そして、ここが金融の話と直結してまいります。二本目のnoteで書いた通り、オガールプラザの信用は、テナントが生み出す賃料のキャッシュフローそのものに宿っておりました。入居率100%が保たれていたからこそ、あの無担保・無保証の借入を、返し切ることができたのであります。だとすれば、これから訪れるテナントの入れ替えは、その信用の土台そのものが試される局面に他なりません。一つの区画が空いたとき、以前と同じ収支が成り立つ賃料で、この場所とこの街にふさわしい次の担い手を、見つけ出せるかどうか。これが、オガールプラザの次の15年を左右する、最も重いリスクなのであります。
私が経験したのは「生みの苦しみ」、星さんが経験するのは「入れ替えの苦しみ」
ここで、リスクの主語が、はっきりと入れ替わることに気づいていただきたいのです。
私がこの16年間で経験したのは、「生みの苦しみ」でありました。何もない駅前の塩漬け土地に、公共施設と商業テナントが同居する前例のない建物を、金融の裏付けをつけて立ち上げる。テナントが一社もいない状態から、建設前に入居率100%を組み上げる。誰も歩いたことのない道を、最初に歩く苦しみであります。
これから星さんが経験することになるのは、それとは種類の違う苦しみであります。すなわち、「入れ替えの苦しみ」であります。
ゼロから生むのと、すでに満たされているものを入れ替えるのとでは、苦しみの質がまったく異なります。空っぽの器を満たすときには、誰も傷つきません。ですが、15年連れ添ったテナント様に区画を明け渡していただき、次の担い手にバトンを渡すという営みには、必ず、痛みが伴います。長く街に愛された店が去ることを、住民は寂しがるでしょう。去る側にも、残る側にも、迎える側にも、それぞれの事情と感情があります。その一つひとつと向き合いながら、それでも建物全体の収支と街の景色を保ち続ける。これは、生みの苦しみとはまた別の、成熟した事業だけが直面する、繊細で難しい仕事であります。
満室の建物を守り続けることは、実は、空っぽの建物を満たすことよりも難しいのであります。
だからこそ、星洋治という男なのであります
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