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映画『マイ・インターン』が描いた、シニアの本質

アン・ハサウェイ主演の『プラダを着た悪魔2』が、公開わずか6日で前作の興行収入を塗り替える特大ヒットを記録しているそうだ。
20年ぶりの続編だが、それだけ待たれていた作品だったということだろう。

そのニュースを見ながら、思い出した映画がある。同じアン・ハサウェイが出演した、2015年の作品 『マイ・インターン』だ。

主人公ベンを演じるのはロバート・デ・ニーロ。びっくりするくらいアンと相性がよかったのが、この作品が愛された理由の一つかもしれない。


ベンは70歳。 40年勤務した会社を退任したが、妻も亡くなり退屈な日々を送っていた。
そこで目にしたファッション系企業のシニアインターンへ応募し採用される。

周囲の若い社員たちの、最初の反応はこうだ。
ITリテラシーが低そうな時代遅れのおじいさん——
社長のジュールズ(アン・ハサウェイ)にしても、福祉事業雇用だからという視線を送っている。

でも、ベンは反論しない。
証明しようともしない。
ただ、丁寧に仕事をする。
そのうちベンの人柄に触れた人たちが彼を受け入れるようになる。


SNSでときどき目にする言葉がある。
「バブル世代はパソコンが使えない」
「50代の女性は使えない」

人はラベルで語れない。年代で一律に語ることの危うさを、この映画はさりげなく描いている。

私が介護の仕事を始めたとき、周囲の全員からの反対にあった。「人間はパソコンじゃないんだよ」と。子どもの頃からパソコンと本ばかりの私だったから、そう言いたくなる気持ちも理解できる。

けれど、意外にも介護の楽しさにハマり、ケアマネジャーになった。
20年以上、業界で働いた理由はシンプル。
お年寄りと話すのがとても楽しかったのだ。

高齢者は、歴史の生き字引で生き証人。
私が本で読んできた歴史を、リアルに生きてきた人たちだ。

例えば『鉄腕DASH』のDASH村で長年TOKIOに農業を教えた、故・三瓶明雄さんのような人がゴロゴロ普通にいる。
おかげで私は、おせち料理から味噌まで作れるようになった。家事のノウハウや裏技もたくさん教わった。
お年寄りにとって、それらは特別なことではなく、当たり前の日常なのだ。

シニアであるということの、本質はそこだと思う。映画の中で、ベンが輝き信頼を寄せられる理由だ。

経験だけではない。
誰かに認めてもらう必要がない、自然な行動。
自分が楽しいから、やっている。
それだけで人は静かに、本物になれる。

それを、自己肯定感と呼んでいいだろう。

周囲に、証明し認められようとしない静けさは、弱さではなく、自分を一番よく知っている人間の強さだ。
年代や属性で人を測る言葉を目にするが、その人が積み上げてきたものの重さは、他者には測ることができない。

そして、もうひとつ事実がある。

全ての人が、例外なくシニアになるということだ。
どんなシニアになるかは、今日の自分がつくっているのだ。


自己肯定感は、恋愛や人間関係にも直結します。「嫌われたくない」「あの人に変わってほしい」——その心理の構造を掘り下げた有料マガジンも書いています。 


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