RWS対ONEのトップ対決、判定結果が物議を醸し、ニュースに~モンクンペット対イスライ・エリカ(シーゲーム、女子45キロ級決勝・2025年12月18日)
タイで行われている東南アジアのアマチュア体育大会、第33回シーゲームのアマチュアムエタイ競技において、12月18日に行われた女子45キロ級決勝では、ラジャダムナンスタジアム認定女子ミニマム級チャンピオンのモンクットペット・ペットプラウファーがフィリピン代表でONEチャンピオンシップで活躍するイスライ・エリカ・ボモガオと優勝を争った。
プロでは、RWS(ラジャダムヌン・ワールドシリーズ)のリングに上がることの多いモンクンペット、ONEチャンピオンシップが主戦場のイスライ・エリカとの対戦は、RWS対ONEの代理戦争として、試合前よりマスコミも報道し、ファンから多いに注目された。
ラジャダムナン・スタジアム現105ポンド級チャンピオンのモンクットペットは、SEA Games金メダルの有力候補だ。プロムエタイの戦績、大型グローブへの精通、そしてRWSのボスからポイント勝利で5万バーツ、ノックアウトで10万バーツという高額賞金など、あらゆる面で優位に立っている。
タイで開催されている第33回東南アジア競技大会で、モンクットペット選手は女子アマチュアムエタイ45kg級に出場しました。本日(12月16日)、準決勝でマレーシアの選手を破り、明日(12月17日)にはフィリピンのイスライ・エリカ・ボモガオ選手と金メダルを争う準備を整えています。
ASEANのトップレベルの選手たちと対戦するにあたり、今回の出場は大きな士気向上となるでしょう。「モンクットペット」選手は金メダルを獲得し、母国に栄光をもたらすために全力を尽くす準備ができています。
〇モンクンペットとイスライ・エリカ
両選手を紹介すると、モンクンペットはタイ南部ソンクラ―県出身の20歳、アマチュアムエタイでは、ユース世界大会での金メダリストで、タイ代表として活躍していた。プロでは、業界王手ペットインディープロモーションに所属し、今年4月には初代王者のパヤーホン・バンチャメークを下して、ラジャダムヌンスタジアム認定女子ミニマム級王座を獲得した。伊藤紗耶、藤原ノアなど、日本人選手との対戦経験も多い。プロ戦績は、30勝5敗3分(RWS発表、一説には90戦以上)、今回はプロのリングから離れ、代表合宿に参加した。
前ラジャ王者のパヤーホンもシーゲームに女子48キロ級タイ代表として出場、決勝でフィリピン選手に敗れ、銀メダル。

イスライ・エリカは、フィリピン・ベンゲット州出身の25歳。フィリピン初の女子アマチュアムエタイ世界チャンピオン(IFMAシニア世界選手権2023)で、プロ戦績は6戦6勝という。2024年11月にONEチャンピオンシップに参戦後、ONEで4戦4勝(2KO)、華麗なワイクルーとその強さでタイでの人気も高い。

〇試合内容と、物議を醸した判定結果
ルンピニーボクシングスタジアム(ラムイントラ)で開催された第33回東南アジアゲームズのムエタイイベントのハイライトとなったこの試合は、熱戦の末、ジャッジはイスライ・エリカを指示した。
↑ ↑ 試合映像
オープンスコア制の為、それぞれのラウンドで採点が公表されるが、第1ラウンド10‐9、イスライエリカ、第2ラウンド10‐9、イスライエリカと、ジャッジはモンクンペットに不利な採点を付けた。その後、第3ラウンドでも激しい攻防を繰り広げたが、追いつくことができず、フルラウンドを終えた時点で、モンクットペットは28対29で敗れた。ムエタイ界の著名人やジャーナリストたちは、モンクットペットの勝利にふさわしいと口を揃えた。そしてこの判定は不当判定として、タイ国内で大ニュースとなった。
著者が試合映像を確認したところ、第1ラウンドは互角、キック主体のモンクンペットに対し、パンチ主体のイスライエリカ。イスライエリカの大きなパンチが目立つものの、モンクンペットはブロックしている。モンクンペットの右ミドルは何発かイスライエリカの脇腹に当たる。ムエタイの採点では、第1ラウンドはモンクンペット有利に見える。
第2ラウンド、組み合ってのヒザの打ち合い、モンクンペットの大きなパンチ、キックは当たらない。イスライエリカも小刻みにパンチを出し、当たってないが、見た目の印象は良いかもしれない。
第3ラウンド、劣勢となったモンクンペットは圧を強める。左ミドルを決めて、組んでからの左右ヒザ攻撃。組み合ってからのブレイクがやたら多い印象、イスライエリカのボディーブローもあったが、このラウンドはモンクンペットが明らかに取ったように思う。
モンクンペットの30‐27、もしくは29‐28での勝利が妥当と言えるが、外国人ジャッジが、パンチ主体で見ると、所謂、キックボクシング的な見方だと、29‐28イスライ・エリカの採点もあり得る。ムエタイを見慣れたタイ人ファンの意見は、おおよそ、以下のコメントのようである。
今日アリーナでこの試合を観戦しました!!!! 正直に言うと、かなり混乱しました!!! 第1ラウンド終了時のスコアは10対9。1ラウンドとしては混乱しました。そして第2ラウンドではさらに混乱しました!!! 私もこれはおかしいと声を上げています。映像とスコアが矛盾しています!!! 運営側は黙っていてはいけないと思います。選手たちがかわいそうに思います。もし負けても誰も文句を言わず、みんなが受け入れるでしょう。でも、審判は厳しすぎました!!! 選手たち全員に応援を送ります。




〇モンクンペットと、プロモーターの試合後のコメント
試合後、ペッティンディーアカデミーを主宰するプロモーターであるシア・ボート氏は、タイラート・スポーツ紙に対し、「タイ国内の大会だったにもかかわらず、人生で一度も見たことのない恥ずべき(判定の)試合だった」とコメントした。「幹部は一体何をしていたんだ?このままでは、今後プロモーターは選手を一人も出さないだろう。プロモーターだけでなく、選手自身も来たがらなくなるだろう」として、選手派遣についても不満を訴えた。モンクンペットは、RWSでタイトルマッチを行えば、1試合あたり25万バーツ(125万円)のファイトマネーを得ることは確実で、シーゲーム参加の為、タイトルマッチの機会を2度に渡って失ったという。
モンクンペットはSNSで「一体どう考えればいいんでしょう? メダル授与式の後、外国人審判員が2、3人、私のところにやって来て『アイアムソーリー』と言ったんです」と投稿した。審判が「申し訳ありません」と、謝罪した意図は不明である。※レフェリー、ジャッジはタイ人ではない。国籍は明らかにされていない。

〇プロのリングでの再戦は?
オリンピックも含めて、アマチュアの国際大会があると現役ムエタイ選手、または元ボクシング世界王者などが積極的に出場するタイだが、アマチュア組織から、プロモーター側にも依頼があるのだろう。
今回のシーゲームのムエタイ競技では、男子54キロ級、57キロ級においてもタイ選手が不可解な判定で敗れたと報道されている。騒動は外国人ジャッジとタイ人との採点基準が共通化されていない点から起こったように思う。さらに近年人気のONEチャンピオンシップでは、オープンフィンガグローブを使用する為、KOを狙ってパンチの比重が大きくなっており、これも混乱を招く要因であるだろう。
プロのリングでのモンクンペットとイスライ・エリカとの対戦については、当面は実現しないだろう。これはモンクンペットが所属するペットインディーがONEから選手を引き上げた経緯があるため。モンクンペットとのタイトルマッチに敗北した後、RWSからONEに移ったドゥアンダオノーイ・ルークサイゴンディンが、12月19日のONE フライデーファイトでKO勝ちを飾った。このドゥアンダオノーイとイスライ・エリカとの対戦をタイのファンは望んでいるようだ。

※ photos from Khaosod news, ONE championship , and RWS official
↑ ↑ ドゥアンダオノーイのインタビュー翻訳
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