そう見えて楽しかったんだ
毎月1日に日本酒を一斉開栓するお店で、だいたい毎月1日にはお手伝いしている。他の日も合わせて月に2~3回くらいの頻度。
日本酒党にとって、開けたての日本酒ばかりが飲めるというのは大変な喜びである。私が1日のお手伝いを快く請ける理由も、味見できるからに尽きる。ただ飲むという訳ではなく、味の傾向を分類して、学生バイトさんでも説明できるように申し送る。
いかんせんお客さんにとっても楽しみにされているからか、1日はものすごい満席となって忙しい。
日本酒を開栓する作業に関しても、瞬時の判断が求められる。にごったお酒は転倒攪拌するとか、炭酸の強そうなお酒は振らずに少し開けては待つとか、はじめて見る銘柄であっても見抜かねばならない。
バイト学生の中でも「月初のシフトをこなせて一人前」みたいなところもある。いつまでも居座っていていいのか、座を交代した方がよいのかは悩ましい。
・・・
月末になってくると人も落ち着いて、お客さんともゆっくり話せる。私は客席にいることが多いけど。一方の開栓日は、その時は作業に忙しくてお客さんと話している暇もないので、後から「ちゃんと接客できただろうか」と心配になることもある。
今月の開栓日は大人しいお客様が来られた。必要以上の会話も笑顔もなく、淡々と日本酒を選んでは、2~3杯ほど飲んで、早々に帰ってゆかれた。「大丈夫だったのか?」と思っていたら、お帰りの際に「楽しかったです」と言ってくれた。
嬉しさよりも、意外さが先に来た。私としては必要最低限のことしかしていないし、どちらかと言えばムスッとしていて不機嫌にさせたかなと思った。でも、見かけによらないもので、楽しみながら選んでたんだ。
少し面白いなと感じるとともに、後からうれしくなった。
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