2025/10/9 CA「日本において、高校卒業後に大学進学を前提とする社会的風潮は見直すべきである」の是非

この記事では、CAで議論した内容を投稿しています。CAの概要やルール、目的について知りたい方は下記の記事をぜひ読んでみてください!!

2024年7月15日「大学進学率上昇の意味 地方の企業・組織変える人材輩出-山本啓一・北陸大学教授」
日経速報ニュースアーカイブ 
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD250390V20C24A6000000/ (←日経テレコン から閲覧可)

『我が国の大学進学率は1990年以降上昇を続け2023年には57.7%に達した。それに対し「学力が低い学生が進学する意味はない」といった批判的な見解は多い。一方で18歳人口は急減しており、日本私立学校振興・共済事業団によれば定員割れの私立大学の割合は23年には53.3%となった。「無駄な大学が多すぎる」「低偏差値の大学はつぶせばよい」という意見も珍しくない。定員割れが顕著なのは地方の中小私立大学である。文部科学省によればその約4割は収支が赤字だという。地方中小私大は、このままだと淘汰されていく可能性が高い。』
(中略)
『目下、高卒就職が好調だ。私大の学費は上昇傾向にある。大卒人材へのニーズが高まったのは確かだが「なぜ大学に行くのか」はやはり、きちんと考えたい。

立論者は、「社会的風潮を見直すべき」(大学入学を前提とすべきでない)という立場で立論を行うため、みなさんは、「社会的風潮を見直すべきではない」(大学入学を前提とすべきだ)という立場で反論をお願いします。

【前提条件】
大学の目的: 学校教育法第五十二条 
「大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする。」
現在の大学進学率:https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/shinkou/genjyo/021203.htm

Q.私たちは現状維持(大学入学を前提とすべき)か
A.立論者は大学入学を前提とすべきではない立場だ。
Q.大学と専門学校は別と考えるか
A.別である。
Q.4年制大学だけ(短大は含むのか)
A.4年制大学だけ。

意見・論点(許されるべき)
1. 大学の教育の質が低い。「深く専門の学芸を教授研究」する場になっていない。
1.1 学生側:学習しない学生、学習をする余裕がない学生
   ・欧米と比べて日本の大学生の学習する時間は少ない。
   ・週に11時間以上学習する学生は、米国で58%、日本で、14%。
   (2007年と、古いデータだが、2018年の調査でも、日本の学生の学習時間は変わっていない。)
    →学生の学習時間が少ない理由は多岐にわたるが、風潮が変わることで、高卒以外の意欲的に学びたいタイミングで学びやすくなると考える。

1.2 大学側:教育の質が低い。教授は、「教育者」ではなく、「研究者」である。
   ・教授にとって、教育と研究の両立は困難である。
   ・大学教員の国際調査(2007年CAP調査)によると、諸外国と比較し、日本では「教育と研究の両立 に困難さ」を感じている割合が高い。
   ・大学教員の国際調査(2007年CAP調査)によると、諸外国と比較し、日本では「主として研究」「どちらかといえば研究」に関心があると回答した割合(71%)が高い。
   (・日本の大学の多くが大講義型。個別指導や伴走型学習支援が困難。)
    →大学は、高卒後にみんなが入るものではなく、自らの学びたい意欲と環境が整った時に入学・再入学できる風潮になることで、大学が本来の意義である、「学問を究める場になる」のではないか。

2.大学教育と企業・社会の乖離(大学の就活予備校化)
・大学で学ぶことと、社会で働くことが乖離していて、学生は学問より、就活対策や「ガクチカ」作成に重点を置く。
・大学生活実態調査によると、約30~40%の学生が「学問」より「就職対策」を優先していると回答(2017年度実施)
→大学が、学問に集中できる環境ではなくなっている。
→そこで初めて学生がキャリアを考える機会となる。高校卒業のタイミングで、自分の進路やキャリアについて考える機会があってもよいのではないか。

Q.学歴で逆転できる社会はあっていいのではないか。
A.ある程度の所得の人が得られるだけ。一部の学生しか逆転できない。
Q.低所得においても学歴で逆転できる人は、少なからずいるのではないか。
A.あとで学び直しができるため、大学進学は必要ではない。

3.画一的な進路観と社会の硬直化
・日本の教育体系は長らく大学進学を前提とした受験競争により社会全体が秩序づけられてきた。この画一的な進路観は個人の多様な適性や希望を反映しにくく、社会の硬直化を招いている。ブランド力のある大学進学が人生設計や企業の人事管理にも影響し、選択肢の狭さを増している点が問題とされている。
・画一的な進路観は、子どもたちが試験のために膨大な時間を費やすことを強制し、学生の自己肯定感を損なうなど、心理的圧力と社会的なひずみを生み出している。

Q.一定の教養を持った人(大学生)が社会に出ると有利なので、大学は必要ではないか。
A.大学で一定の教養を本当に養っているのか疑問。一般的には人生の夏休みとして使っている人が多いのではないか。

予想される反論・再反論(許されないべき)
1.大卒の方が生涯年収が高い。
OECD報告では、大卒者は非大卒者に比べて失業率が約半分(例:日本の大学卒業者失業率3~4%、非卒者6~7%)、生涯賃金も約20~30%高いとの統計データがある。
→大学に多数の学生が入学することで、大卒の価値が年々、下がっている。
 教育の質も高くなく、大卒の価値よりも、高専の価値などの方が評価されている。
Q.日本は国策としてホワイトカラー労働者を増やすしかない。そのため、大卒のようなサラリーマンが求められているのではないか。
A.高卒でも問題ないのではないか。器用な働きありになる風潮には反対。キャリアの幅を広げて、多様性を認めるべきではないか。

2.大学は学問を治める以外の価値がある。
大学は高度な専門知識だけでなく、批判的思考力や問題解決能力、コミュニケーション能力など、多様な汎用スキルを育成する。これらは現代社会や企業で求められる基盤的能力であり、専門以外の社会的役割を担っている。
→それらの経験を積む場所は、大学である必要はない。逆に、高校生活が受験勉強で圧迫されないことで、高校でそれらの力を身に着ける機会があったり、社会への接続の機会が早期になる。
Q.それはFラン大学(地方の私立大)がいらないということになるのではないか。
A.一理ある。
Q.基礎学力をつけて大学で応用して社会に出るのに、それを奪うのはいかがなものか。
A.社会に出ることで学ぶ意欲を形成できるのではないか。社会に出た後に学び直しで大学に行けばいいのではないか。
Q.生物が成熟期間が長い方が知能がよくなるため、大学に行くことは必要ではないか。
A.社会に早く出た方がいい。くよくよ悩むより社会に早く進出した方が良い。

3.社会的流動性への寄与
大学進学は農村や低所得家庭出身者が都市部や中間層へ流動する主要経路として機能している(統計的社会移動研究より)。
→大学進学が社会的流動性の主要経路であるというのは重要な指摘だが、進学しないことが必ずしも「地方で住み続けること」=悪い選択だとは限らない。地方就業・地場産業・地域起業など多様な選択肢が価値を持つ社会設計も可能であり、それを促す制度・文化が整えば進学以外の流動性やキャリア上昇の道が開ける。
→地方に大学がないことよりも、仕事がないことが、問題。
Q.高校までは地元にいるため、大学は社会に出ていく一歩になっている。この当たり前の風潮によって、低所得者の間でも大学に行こうと思っている人が多い。この風潮がなくなることによって、社会の剥離化が起こるのではないか。
A.その風潮はそこまで広がらないのではないか。また、就職で社会に出ることもできる。大学は必要ではない。学びたい時期に学び直しすればいいのではないか。
Q.実家が毒親の家庭の子どもは、大学に行くことで自由を手に入れることができるのではないか。
A.地方ではそうかもしれないが、都市部では実家暮らしの大学生も多い。大学に行くことは、親に縛られることになる(学費面で)。

4.風潮というほど大きな問題ではない
Q.当たり前という風潮はそこまで大きくないのではないか。そこまで問題とは感じない。
A.個人の価値観として、大学進学が当たり前という社会に疑問を持っていた。もっと他の選択肢があってもいいのではないかと感じていた。

参考文献・URL
・大学分科会 資料1 鈴木委員提出資料「なぜ日本の大学生は欧米の大学生に比べて勉強しないのか」
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/siryo/attach/1324009.htm
・全国大学生調査(2018)
https://ump.p.u-tokyo.ac.jp/crump/cat77/cat82/22018.html
・2040年を見据えた高等教育の課題と方向性について
https://www.soumu.go.jp/main_content/000573858.pdf
・学生生活調査
https://www.jasso.go.jp/statistics/gakusei_chosa/index.html

最終閲覧日:2025/10/6







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