【ハッピーライティングマラソン6】あなたが、高校生から22歳ごろに読んだ本で、よかった本は何ですか?
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本田健さんの「ハッピーライティングマラソン」に参加させていただいています。
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「あなたが、高校生から22歳ごろに読んだ本で、よかった本は何ですか?」
私が「よかった」と思う本は、宮沢賢治さんの『注文の多い料理店』です。
「え?」と思われるかもしれませんね。小学校の教科書にも載っているような作品ですから。実際、私も小学生の頃、授業で読みました(当時のおーちゃん少年いわく、“読まされていた”という感じでしたが…笑)。けれどこの作品は、社会に出たばかりの私にとって、大切な気づきを与えてくれた一冊として、今も心に強く残っています。
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当時の私は、社会に出たばかりの若者でした。頭でっかちで、自信もないくせに人との関わりをなるべく避け、安っぽいプライドにしがみついている――そんな青年だったのです。新入社員として懸命に働いてはいましたが、会社に利益をもたらすような存在には程遠い状態でした。
社会人になりたてのころ、自己啓発に関する本を中心に読んでいましたが、そのときの自分には、どの本の内容もいまひとつ腹落ちしませんでした。
「○○したらいい」「○○こそが大切」といった表現には、「確かにそうかもしれない」と一時的に納得はするものの、深く理解し、自分の中に根づくような感覚までは得られないことが多かったのです。
そんな私が、入社して半年ほど経った頃、岩手県への転勤を命じられます。
生まれて初めての東北での勤務に戸惑いもありましたが、先輩方の温かい見守りとご指導のおかげで、仕事ができるようにはなれなかったものの、なんとか自分を保つことはできていました。
岩手県花巻市は、メジャーリーガーの大谷翔平さんが通っていた高校があることで知られていますが、宮沢賢治さんの生まれ育った地でもあります。花巻市にある宮沢賢治記念館には、気晴らしも兼ねて何度かドライブで訪れました。
はじめて記念館に足を踏み入れた瞬間、そこには「雨ニモマケズ」の詩や、『銀河鉄道の夜』『よだかの星』など、宮沢賢治の世界観が見事に再現されていて、私は一瞬でその世界に引き込まれてしまいました。
そして、子どもの頃に読んでから10年ほど経ち、『注文の多い料理店』をあらためて手に取ることになったのです。
大人になって読んでみると、子どもにもわかりやすくドキドキする展開の中に、おーちゃん少年には決して気づくことができなかった人間の欲や傲慢さ、物事をよく観察することの大切さ、そして謙虚な心といった、社会で生きていくために欠かせないテーマが、巧みに織り込まれていることに気づきました。それは、「こうあるべきだ」といった直接的な言葉ではなく、登場人物の姿を通して読者に問いかけるような、深い描写から感じ取れるものでした。
読み進めるうちに、当時の自分の中にあった傲慢さや、物事を表面的に捉えてしまう考え方、人からの教えを素直に受け入れられない姿勢などが、物語の中の紳士たちと重なって見えてきたのです。
そのときの気づきをきっかけとして、それから私は自分の言動や人との向き合い方を少しずつ見直すことを意識するようになりました。
ーーあれから30年が経ちました。
今あらためて読み返しても、なお多くの気づきを与えてくれる作品です。
『注文の多い料理店』は、私の心の中で今もなお、静かに、そして力強く光を放ち続けています。
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このお題を通して私は、
「本」は時代を越えて、読む人の状況や心に応じてさまざまな気づきをもたらしてくれる存在であることに気づきました。
ありがとうございました。
