サザンオールスターズ『タイニイ・バブルス』('80)
本日の【サザンこれアレ】はオリジナル・アルバムとしては3作目の『タイニイ・バブルス』から選曲することにいたします。
これを初めて聴いたとき、前作、前々作と比べると少し熱量は減ったものの、ずいぶん垢抜けたというか、こざっぱりしたというか。良い意味で聴きやすくなった。そんな印象を持ったことを覚えています。ここから『KAMAKURA 』('85)までのアルバムは本当に良く聴きました。
また、ちょうどこの前後に桑田が「オールナイトニッポン」のパーソナリティをつとめていて、その語りを聞くことも毎週の楽しみにしていました。
◆ ふたりだけのパーティ ~ Tiny Bubbles (type-A)
いきなり豪快なスライド・ギターが聞こえてきて掴みはOK。
ピアノのリフがマイケル・マクドナルドのそれっぽいですが、ロビー・デュプリー「ふたりだけの夜 Steal Away」('80)っぽくもあります。
Pardon me ごめんなさい今までは
移り気なままに気持ちは Love me do, Don't let me down
歌詞からはビートルズ2連発です。
「Don't Let Me Down」('69)は「お願い D.J.」に続いて2回目。
この言い回しというか発音が格好良く聞こえるんですよ。つい口から出てしまうのかもしれません。
◆ タバコ・ロードにセクシーばあちゃん
Sexy ばあちゃんと Funky じいちゃんが登場する曲って珍しい(というか他に無い)よな~と思いながら、またまたビートルズの曲「ひとりぼっちのあいつ Nowhere Man」('65)が登場。
No! No! そばに居てたころから彼と行きたやタバコ・ロード
(それだけなの)夜になれば寒かろ
このままじゃじいちゃんは Nowhere man without Sexy ばあちゃん
「居てた」「居てる」という言い回しは、大阪の知り合いが使っているのを聞いたことがあります。「おった」とも言ってたな。
◆ Hey! Ryudo! (ヘイ! リュード!)
曲名はビートルズ「Hey Jude」('68)っぽいですが、宇崎竜童へ「せめて もう一度だけ Boogie Woogie」と激励している曲なのかな?と思いました。
宇崎竜童はこの頃からダウン・タウン・ブギウギ・バンド時代の曲を封印してたんですよね。「す~ぱっぱ」を初めとして「それが悩みの種ジャン」「アンタあの娘(こ)の何なのさ」「商品には手を出すな!」など、私を含めて周りのみんなでよく真似していました。和田静男のギタープレイにも痺れたんだよな~。
そんなダウン・タウンの【港のヨーコ これアレ】を置いておきます。
ロリー・ギャラガーがロック・トリオ:テイストでデビューした時の「Same Old Story」('69)を後追いで聴いたとき「何だこれ、港のヨーコじゃん」と思ったのですが、テイストの方がずっと前だったことにすぐ気がつきました。
◆ 私はピアノ
ザ・ピーナッツが歌っても良さそうな昭和歌謡風の曲。イントロから歌に入る前に「パヤパヤ」してますし、「ためいきが出ちゃうような」は「恋のバカンス」かな?と。
桑田が作る曲からは洋楽だけではなく、こうした昭和の良き時代への敬意も感じられる点が私の心をつかむのです。
あなたから目が離せない ふたりして聞くわラリー・カールトン
辛いけど涙みせない 雨の降る夜にはビリー・ジョエル
「ブルースへようこそ」では歌詞にムクちゃんが既出。この後、原坊も登場しますが、メンバー以外でも実存する人物が歌詞に盛り込まれるのも特徴。
このアルバム発表前の曲の中で、ふたりして聞くラリー・カールトンは「Nite Crawler」('78)、雨降る夜のビリー・ジョエルは(何曲か迷った末に)「Vienna」('77)が良いかなと思いました。皆さんだったらどの曲を選びますか。
◆ 涙のアベニュー
「恋はお熱く」と同じ3連のロッカ・バラード。桑田はこういうのが本当に上手い。色々な思い出があり聴くと切ない気持ちになってしまうのですが、このアルバムの中では一番好きな曲です。
お気に召すまま She's gone away
寄せる波にただ Shade of pale
語尾に韻を踏んでいます。
shade of pale と言ったら、プロコル・ハルム「青い影 A Whiter Shade Of Pale」('67)でしょう。
1981年。エリック・クラプトンの来日コンサートを初めて見に行きました。その時、プロコル・ハルムのゲイリー・ブルッカーがバンド・メンバーとして加わっていまして、そこで「青い影」を演ってくれたのです。イントロが聞こえた途端に鳥肌。そして感動の嵐。
クラプトン、ゲイリーと二人の生声、生演奏を同時に聴くことができたのは本当に良い思い出です。
◆ TO YOU
レコードではこの曲からがB面。A面が「涙のアベニュー」でしっとりと終わり、B面はこの軽快な曲で始まる。レコードだと面をひっくり返して針を落とした時のメリハリが良かったのです。
つれないそぶりなんて悲しくなるだけじゃない
こんな調子でいいわけないわいな もう一度だけ Walk on by
ディオンヌ・ワーウィック「Walk On By」('64)
ディオンヌの曲は数えるほどしか知りませんが、ビージーズのバリー・ギブがハーモニーをつけた「Heartbreaker」('82)は好きで良く聴いていました。「We Are The World」('85)では、マイケル・ジャクソン、ダイアナ・ロスに続いて登場していたっけ。
◆ 恋するマンスリー・デイ
歌詞に原坊が登場。
この曲がシングル・カットされたときには驚きましたが、この後「偉大なる女性に感謝」とか言いながら生理用品のCMに桑田が出たときはもっと驚きました。賛否両論あるのでしょうが、私は桑田を選んで桑田にそう言わせた人って凄いなと、単純にそう思いました。
この曲を演奏しているサザンのライブ映像を見たとき、桑田が「およ~およよよ~」と観客とコールアンドレスポンスしていましたのでこれで間違いありません。
ボブ・マーレイ「Get Up, Stand Up」('75)
「およ~」は 4:00 位からです。
◆ 松田の子守唄
泣く子も黙る子守唄ですね。逆に聴いたら泣いちゃう人がいるかもしれません。
学生時代の友人たちとカラオケに行くと必ずこの曲を歌う奴がいます。そいつはなかなか上手いので、私は「またかよ」などと止めもせず黙って聴いております。
「いとしのエリー」もそうですが、ムクちゃんはこうしたバラードでけっこう攻めたベースラインを奏でています。昔風に言えば「羊の皮を被った狼」
この曲のサビで聞こえてくるトランペットの音色がビートルズ「Penny Lane」と良く似ているな~と思うのですがいかがでしょう。ピッコロトランペットという楽器(?)
◆ C調言葉に御用心
桑田のラジオ番組「やさしい夜遊び」で、茅ヶ崎ライブ1曲目のヒントとして自身が卒業した「茅ヶ崎一中の野球帽のC」と言っていたので「もしかして?」と思いましたが、ライブビューイングを見に行きイントロが鳴った途端に「きた~!」ですよ。周りの方たちもスクリーンに映し出されたシーンを見てかなり盛り上がっている様子でした。
たまにゃ Makin' love
そうでなきゃ Hand job
夢で I'm so sad
ぐっと狂おしく All night
Hand job はアレのことだと思いますが、エリック・クラプトン「Willie And The Hand Jive」('74)の Hand jive もそれではないかと思うのです。
◆ Tiny Bubbles (type-B)
ビートルズ『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』('67)もA面1曲目がアルバムタイトル曲で、B面ラス前でその Reprise 有りと『タイニイ・バブルス』と同じ構成。
ポール・マッカートニーに至ってはかなりの Reprise 好きで、私が知る限りソロアルバム4枚ほどで Reprise させています。
このあたり、やはり桑田もやってみたかったのでしょうか。
◆ 働けロック・バンド (Workin' for T.V.)
ようやくラストナンバーにたどり着きました。
レーナード・スキナードも「Workin' For MCA」('74)で同じようなことを歌っていました。所属レーベルの MCA に対して「俺たちは MCA のために働いちゃいるけど取り分は9 ,000ドルだけさ」
人間誰しも忙しすぎて、さらに稼ぎにならなければ文句の一つも言いたくなるのは無理もありません。でも、両バンドとも愛ある洒落っ気で歌っていたんだろうと思います。
Workin' for T.V. そりゃしんどいもんでんねん
胸につかえたままで眠るだけの Hard Day's Night だから
俺のことならいいの Smile away
泣かないつもりでいてよ
歌詞には再びビートルズ有り有りです。
ビートルズ「A Hard Day's Night」('64)、ポール&リンダ・マッカートニー「Smile Away」('71)
私自身は今後も引き続き、しんどい日々があっても笑い飛ばしていこうと思っているところです。
半ば強引な【これアレ】もありましたが、結局全曲取り上げてしまいました。
最後まで読んでくださり本当にありがとうございました。
ぐっすり眠れる夜でありますように。
【サザンこれアレ】では、サザンオールスターズ、桑田佳祐の曲の中から、洋楽へのリスペクトが感じられる曲を「これはアレじゃないか?」といった調子で紹介しております。あくまで私の思い込みによる選曲ですので、その点ご了承のうえご笑覧くださいませ。
邦楽Rock_Pops_1980s
