見出し画像

強引な男を5回拒否った結果、何故か彼氏になった。|宇宙人観察記録

男友達が放ったそのひと言に
014082は絶句した───。

あれは暑くもなく、寒くもなく
なんとなく涼し気な風の吹く夜更けだった。


歩道を歩く一組の男女。
それぞれが自転車を手で押しながら
つかず離れず歩いている。

突然男が振り返った。


「なぁ、これから休憩しに行こう」


絶句した。
酸いも甘いも噛み分けている
大人の皆様でしたらご存じであろう。
”休憩”とは───

大人の休憩・宿泊施設”のことである。
(実際にはド直球に言われているが
ホテルなどとは書きたくない。)

「え。やだよ。」
と言って一歩後ずさる。
男女が夜中に一組…しかし、付き合ってはいないのだ。

その場を去ろうにも
前方は男と男の自転車で「強引」に塞がれている。

何度か退避を試みたが
カチャカチャと賑やかな
サッカーの盤面ゲームにいるゴールキーパー
のような動きで
自転車を軸にしながら大股を広げ
スライディング鉄壁ガードをされてしまい
退避不可なのだ。

苦しくも、世にも奇妙な「男と女のラブゲーム」
プレーヤーとなってしまった自分が恥ずかしい。



「だって付き合ってないし…」



「でも、ホテル行こう。」


男は頑なだった。
「強引」というべきか
「無謀」というべきか
「ノンデリ」というべきか
(あるいはその全てか)
という無意味なやり取りを



 5 回 程



繰り返しただろうか。



しつこい。非常にしつこい。
うっかり受け取ってしまった
”ティッシュの後の勧誘”くらい、しつこい。

しかもここ
男の家まで 徒歩5分。
休憩施設までは 自転車15分。
さすがに負け確 "分"が悪い。

***

「だから、そういう関係になるのは無理。
これからもさ、飲み友達としてやってこうよ。」

「………本当にダメ…なのか?」
「まじかぁ………。」

どうやら本気で無理だと
「やっと」悟ったらしく、
先程までの勇ましく立つ
ゴールキーパーはどこへやら
「ガッチャン」と自転車を道の端に停め、
崩れ落ちて座り込み
今ではすっかり


弱々しく震え、今にも泣きだしそうな
チワワに。



───そこで見捨てれば良かったのに。


あろうことか
慰めモード(健全)に入ってしまったのである。
ほら、飲み友達だし。

話の途中、なぜこのような
”頭と下半身が直結しているかのような奇行”へ
走ったのか聞いてみると
「強引な人が好き」と言ったから
だと言うのだ。

確かに強引(物理)であり
強引(態度)であり
大変非常識であった。

そうこうしている内に
情が沸いてきてしまい
残念ながら最後の大逆転。

「んー、じゃあ付き合ってみる?

「え…?」

そこからの立ち直りは異常だった。
たった今の今まで震えながらベソをかき
真っ白な灰になって座り込んでいたはずのチワワは
今やグッと立ち上がり
セントバーナァァァッドッッッ!ゼェェェッッットッ!!!
位のサイズ感で目に生気が戻り、面前へ。

「じゃぁ、キス…していい?」

こうして宇宙人は
014082の捕獲任務(第一期)を完遂したのである。


観察メモ:


退避せよ! そいつが後の 宇宙人


以上を以って報告書とする。
次回の調査報告まで
総員、待機せよ。

▼次回までに待機場所にて予習・復習も忘れずに。

▼癒されたい”傷を負った戦士”はこちらへ退避せよ。


いいなと思ったら応援しよう!