九州初の路面電車・別大線が72年間、大分の海沿いを走り続けた話
こんにちは。総合編成局・デジP坪西です。
きょうは、番組に登場する、別大線のお話をしようと思います。
8月5日(水)よる7時からOABで放送する特別番組『良純&村重の大分タイムトラベル~AIでよみがえる廃線の記憶~』。
石原良純さんと村重杏奈さんが、かつて大分を走った3つの廃線の記憶をたどる番組です。
この番組は、大分交通創業130周年記念の特別番組でもあります。
その大分交通さんのルーツともいえる別大線の歴史を、番組から、少しだけ紹介します。
大分交通は、もともと電車会社だった
「大分交通」といえば、赤と白の車体でおなじみ。
大分空港に着いて、まず乗るエアライナーも大分交通。
間違いなく、大分県を代表するバス会社のひとつです。
しかし、大分交通は1975年(昭和50年)まで、鉄道の会社でした。
最盛期には、県内5路線の営業をしていました。
大分交通の出発点は、1896年(明治29年)に設立された「豊州電気鉄道」にさかのぼります。
1896年から130年続く大分交通の歴史の、まさに原点です。
そして、1900年(明治33年)。「豊州電気鉄道」が別大電車(別大線)を開業しました。
別大線とは、どんな路線だったのか
別大線は、大分市から別府市まで18.4キロ、別府湾の海沿いを走った路面電車です。
1900年に九州で初めての路面電車として開業し、1972年の廃線まで約72年間、地域の重要な交通手段として大分の文化を支えました。
多い時で年間1500万人近くが利用したといいます。
「別大電車」や「チンチン電車」などの愛称で親しまれていた記憶のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
少なくとも、私の父は後者の呼び名を、子供の私にニヤニヤしながら言ってきてました。
資料によると、明治の開業当時は、列車の動力は石炭を燃料とする蒸気機関車が主流だったそうです。
電気で走る路面電車は全国の中でも先進的な乗り物で、開業当日には一目見ようと沿線に見物客が殺到したといいます。
「電車はエレキで走るから、乗ると感電する」
当時は、そんなデマまで口から口へと広まったそうです。
それほどまでに、別大線は当時の人々の注目を集めていたのでしょう。
また、文豪・森鴎外も開業間もない別大線に乗り、「小倉日記」にその様子を書き残しています。
客席の天井には電灯が3つ。
窓にはガラスではなく、雨風をしのぐ厚手のカーテンが取り付けられていた。
明治の車内の空気がそのまま伝わってくるような記述です。

(「大分市デジタルアーカイブ」より/出典 (大正初期大分)写真帖)
電車を走らせるために、発電所まで作った
別大線を走らせるための電気は、どこから来ていたのでしょうか。
電気で走る路面電車が生まれたのに、電力インフラはまだ整っていない時代。
そこで、1910年(明治43年)に完成したのが、豊後大野市の「沈堕(ちんだ)発電所」です。
別大電車の電力供給を主な目的とした水力発電所で、大野川沿いに作られました。
電車を走らせるために、発電所を作ってしまう——当時の人々のベンチャー気質が伝わってくるエピソードです。
今だと、さながら孫正義とか、イーロンマスクのような感じでしょうか。
その沈堕発電所。
旧発電所の跡地は、独特の雰囲気が人気を集める映え写真スポットとして、多くの人が訪れています。
コスプレイヤーにも人気だそうです。
廃線から半世紀以上が経った今も、大分の風景の中に静かにたたずんでいます。

「奇跡の生き残り車両」が道の駅にいる
廃線から50年以上が経つ今も、別大線の車両が1両現存しています。
場所は、別府湾沿いにある道の駅「たのうらら」。
大分交通500形506号車と呼ばれるこの車両は、最近修復され、建物の中に保管されています。
当時の姿を再現した車両は、多くの鉄道ファンや、親子連れを楽しませています。
番組では、良純さんと村重さんがこの車両と対面しました。
そして、番宣でもちらっと映っていますが、良純さん、車両を引っ張る体験もしました。
その奮闘ぶりも、ぜひ、番組でご覧ください。

AIで、当時の激ヤバなエピソードを再現
高度成長期を迎え、急速に自動車が普及し始めた時代、
路面電車は渋滞の原因とみなされるようになりました。
県からの要請もあり、別大線(別大電車)は1972年(昭和47年)、72年間の歴史に幕を下ろします。
かつて別大線が走っていた道路は、現在6車線の幹線道路になっています。
埋め立てによって海岸線も大きく変わりました。
そこで繰り広げられた、記録に残るエピソードをAIで再現します。
今だったら炎上必至!かなりヤバいエピソードでした。
こちらも、番組でお楽しみください。
別大線の雰囲気を、疑似体験してみませんか?
別大線の雰囲気を味わいたくなった方へ、もう一つご紹介したいものがあります。
別大線とほぼ同じルートをたどる路線バスの前面展望映像を、実は私たちOABのデジタルコンテンツプロジェクトチームが取材・公開していました。
大分交通の国東〜大分駅前線(現在は休止)を、バスの最前列から撮影した映像です。
海沿いの国道10号を走り抜けるあの車窓は、かつて別大線が見ていた景色とどこかつながっているはずです。
記憶の中のあの頃と重ねながら、ご覧いただけると嬉しいです。
番組の予習として、あわせてお楽しみください。
大分交通130年の歴史は、つながっている
1896年に産声をあげた豊州電気鉄道が、4年後に別大線を走らせました。
電車を走らせるために発電所まで作りました。
その電車会社が、時代とともに形を変え、今の大分交通になりました。
別大線の歴史は、大分交通130年の歴史そのものです。
廃線から半世紀が経ちます。
それでも道の駅には車両が残り、発電所の廃墟は写真スポットとして愛され、AIは当時の映像をよみがえらせます。
失われたはずの記憶が、形を変えながら、今もこの大分を走り続けている気がします。
8月5日(水)よる7時、OABでお待ちしています。
📺 番組情報
『良純&村重の大分タイムトラベル ~AIでよみがえる廃線の記憶~』
・放送日:2026年8月5日(水)
・放送時間:よる7時〜
・放送局:OAB大分朝日放送
・出演:石原良純、村重杏奈、江藤祐介(OABアナウンサー)
見逃し配信(放送終了後〜1か月)
TVer / ABEMA / テレ朝動画
▶ 番組特設ページはこちら
https://www.oab.co.jp/lp/oita_time_travel/
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