【義父と。】 飼い猫の話 【戦時中】
義父と話をしている時、話題がなくなるとよく私はNHKの朝ドラの話をする。今の朝ドラはもちろん『あんぱん』。
「今やってるNHKの朝ドラは、子どもたちに大人気のアニメの原作者、絵本作家の話なんですけど、見てます?」
「いや、見てないなあ」
「そうですか。昨日ドラマの中で戦争が終わったんです。最後の方は主人公たちが飢えに苦しんで、タンポポの根を食べるシーンがありました」
「僕も家に生えていたハコベをよく食べたよ。あれは食べられるから」
「ハコベは七草粥に入ってるやつでしたっけ?」
「そう、ちょっとヌルヌルしてるんだよね。僕は戦争の終盤には何もする気が起きなくて、学校にも行かずに日向ぼっこをしていた。気力がなかったんだ。栄養失調だったんだろうね」
「そうですか。ドラマでは、中国人のおばあさんからゆで卵を食べさせてもらう(強奪)シーンもあって、殻ごと食べていてびっくりしました」
「それはたぶん、飢えで殻を剥く余裕もなかったということだろうな」
「そっか…壮絶ですね…」
「僕はね、戦時中に拾った猫を飼いたいと言ったことがあるんだけど、家族全員から反対されたんだ。でも、食べ物は自分の分をあげると言ったら、飼うことが許された」
「へえええ、自分の食べ物を減らしてまで!」
「そしたら僕にとても懐いてね。風呂屋にもついてくるから困ったよ。僕が出かけると門のところまでついてきて、帰ると門まで迎えに来るんだよ」
「可愛がってくれて、食べ物をくれる人をちゃんとわかってたんですね。どのくらいの期間飼ってたんですか?」
「2年くらいかなあ」
「2年も!そんなに長期間、自分のご飯を減らして猫にあげていたんですね」
「でもね、僕が出かけている間に犬に食べられちゃったって、近所のおばさんが教えてくれたんだ」
!!!!!
「動物の世界にまで、飢えは広がってたんだよね。戦争のせいで」
『あんぱん』のやなせたかし先生の話と義父の話。どちらも戦時中を生き抜いた人が語る、壮絶なものでした。
貴重な戦争の話のひとつとして、シェアします。
