ショートショート「どれもたいせつ」
ある日、世界のルールが変わった。
どんな仕事をしても、
もらえるお金は同じになった。
それだけだった。
ゆうきは学校の帰り道、
いつものおじさんに会った。
おじさんは道路の穴を直す仕事をしていた。
「おじさん、なんで道路の仕事してるの?」
ゆうきが聞くと、
おじさんはにっと笑った。
「でこぼこが、つるつるになるのが好きなんだ」
以前は「給料が悪いから」とうつむいていたおじさんが、
今は胸を張っていた。
お母さんは花屋になった。
ずっと「花屋じゃ食べていけない」と言って、
好きでもない会社で働いていた。
でも今は、 朝から鼻歌を歌いながら花を束ねている。
ゆうきは思った。 お母さんの顔、こんなにやわらかかったっけ。
先生は前と同じ先生だった。
「先生は給料変わっても先生なの?」
「うん」と先生は笑った。
「だってこれが一番楽しいもん」
ゆうきはなんとなく、
先生がすごく強い人に見えた。
夜、お父さんに聞いた。
「ねえ、仕事ってなんのためにするの?」
お父さんはしばらく考えて、言った。
「前は、お金のためって答えてたな」
「今は?」
「今は……好きだから、かな」
お父さんはゆうきの頭をぽんとさわって、 照れくさそうに笑った。
ゆうきは、その「こたえ」がまっすぐでとてもかっこいいと思った。
世界は、大きくは変わらなかった。
道路はあいかわらずあって、 花はあいかわらずきれいで、 学校はあいかわらずちょっとめんどくさかった。
ただ、町を歩く人たちの顔が、すこしだけちがった。
みんな、どこかへ急いでいない。
なんというか——
うつむく人がへって、 空をみあげる人がふえた感じ、がした。
おしまい
最後までお付き合いありがとうございました。
現実では難しいことでもショートショートのなかではいいのではないかと思いAIと相談して書きました。
どの仕事も同じ給料なら本当にやりたい人がその仕事に就けるのではないかと思って創ってみました。
