五番街に刻まれた「NEWS」〜ノグチ・イサムが彫った報道の原点
ニューヨーク・マンハッタンの五番街に、年末のクリスマスツリー点灯式で有名なロックフェラーセンターがある。AP通信がかつて、その一角の古いビルに入居していたと知り、行ってみた。日系人ながら米国を代表する彫刻家、イサム・ノグチの作品が、玄関入り口の上に掲げてあるからだ。

タイトルは「NEWS」。1940年の制作で、コンペの末に選ばれた。高さ6.7メートル、重さ9トンのステンレススチールのレリーフ。ニューヨーク・クイーンズにあるイサム・ノグチ美術館の展示の説明によると、公共の場に置かれた初のイサム・ノグチ作品なのだそうだ。

モチーフは、ニュースルームで働く5人の男たち。一番下の男は太い腕で電話を取り、もう一本の手で反対側を真っ直ぐに指差している。デスクが若手記者に「事件だ。今すぐ、現場に行け」と大声で叫んでいるようだ。
左側には、身を乗り出して取材相手の話を聞き、メモを取る記者の姿。左上には上空に向かってカメラを構えるフォトグラファー。右上にはタイプで原稿を書く記者。もう一人はよく分からなかったが、「wirephoto」と説明にあるので、写真を電送している人だろう。

ダイナミックで力強く、骨太。ニューズルームで働く男たちが「労働者」であることを象徴的に描写している。そういえば、何となく共産圏のモニュメントに似ているような気がする。第二次世界大戦が始まって翌年。混迷する世界を「いち早く、正確に伝える使命」や、「報道の自由の重要性」をこうした形で描いたのだろう。このレリーフの下をくぐって社内に入るAP通信の記者たちを、どれだけ励まし、鼓舞したのだろうかと想像しながら、レリーフを仰ぎ見た。


