NBISのショートスクイーズと機関投資家の大規模資金シフト!?8月14日のオプション市場分析
今日はオプション市場のデータから、面白い動きがいくつも見えてきましたので、まとめてご紹介します。
シンプルに分析していきますので、最後まで楽しんでいただければと思います。
NBIS(Nebius Group)踏み上げ相場
まずはNBISです。
現在の株価は277.68ドル。
ガンマエクスポージャーの分布を見ると、ガンマフリップポイントが210.78ドルにあります。
株価がフリップポイントより上にいる今は、ディーラーの買い戻し・売り戻しの動きが価格変動を抑える方向に働きやすい状態にあります。
そして今のNBISは、まさに踏み上げ相場の真っただ中にあります。
8月6日、211ドル水準でショートを宣言する動きがあり、いったん株価は下げました。ところがその後の決算が非常に良く、株価が急騰。
慌てたショート筋がさらに買い戻しに動き、それが追加の急騰を呼ぶという典型的なショートスクイーズが発生しました。
株価のチャートと空売り残高を重ねると、この関係が一目瞭然に見て取れます。IR(決算)をきっかけにした急騰は、まさにショートの踏み上げによる火柱だったということです。
上値のCALL買いには、利益確定の動きが今のところまったく見られません。ここ数日の傾向として、300ドルより上を見ている参加者が多数派で、400ドル以上を狙う強気派も散見されます。市場全体が本格的な上昇気流に入りつつある空気感が漂っています。
一方でクマ(下落)を狙う勢力も、完全に諦めたわけではありません。300ドルを最後の防衛線に設定し、大量のITMプット買いを仕掛けています。
1月15日、10月16日、9月18日のメジャーSQに集中投下されており、最大のポジションは350ドル超のITMプット買い2000枚(コスト24百万ドル)、200ドルプット買い2000枚(コスト5百万ドル)というかなり大規模なものです。1百万ドルから24百万ドル規模のプットが350、300、260、250、200、170ドルの各ストライクにずらりと並んでおり、どれか一つが引っかかって下げ始めると、連鎖的に売りが誘発されるイメージです。
一見するとかなり不穏な数字が並んでいますが、建玉全体で見ると依然としてコール優勢、つまり上げ目線が圧倒的です。
プット側の防衛ラインは意識しつつも、基本シナリオは上昇継続と読んでおいて良さそうです。
機関投資家の資金シフト:メモリ・電力・AIインフラへ集中ロング
次に興味深いのが、元OpenAI研究者で、AIの進化を論じた文書Situational Awarenessの著者として知られるレオポルド・アッシェンブレナー氏が率いるヘッジファンド、Situational Awareness LPのQ1からQ2にかけてのポートフォリオ変化です。
Q1の時点では、AI半導体の上昇一服を警戒しつつ、80億ドルを超える規模の巨大なプットポジションを構築していました。
VanEck半導体ETFのSMHに20億ドル、NVIDIA(NVDA)に16億ドル、さらにBroadcom(AVGO)、Oracle(ORCL)、AMD、Micron(MU)、ASML、Intel(INTC)、Corning(GLW)、Taiwan Semiconductor(TSM)にもプットを保有し、Bloom Energy(BE)やSanDisk(SNDK)、Nebius(NBIS)などのAIインフラをロングする構成でした。つまり上昇に賭けつつも、下振れリスクにはしっかり備えるバランス型のポジションだったわけです。
ところがQ2になると、これらの半導体ヘッジをほぼ全面的に解消し、メモリ・電力・AIインフラへの超集中ロングへと大きく舵を切りました。
特に目を引くのがMUとSNDKです。
MUの現物株保有は、Q1の17,362株からQ2には4,828,786株、金額にして約56億ドル相当へと急増。
SNDKも114万株から約250万株、約57億ドル相当へと約119パーセント増やしています。
しかも両方ともコールオプションは解消しており、オプションで上昇分だけを取りにいく形から、現物株そのものを大量に握る強気姿勢へと変化していることが分かります。
さらにNBISやSTMicroelectronics(STM)、CoreWeave(CRWV)、Core Scientific(CORZ)を大きく組み入れ、Applied Digital(APLD)、ビットコインマイナーのRiot Platforms(RIOT)なども増加させています。
一方でIREN(Iren Limited)は縮小しました。しかもレバレッジは最大で400パーセントに達していたと報じられており、テーマへの確信度がすさまじいことがうかがえます。
テーマ選び自体、AI需要の恩恵がメモリ・電力・データセンターへと広がっていくという読みはかなり正しかったと言えます。運用資産は一時450億ドル規模まで膨らみ、設立からの1年ほどで1000パーセントを超えるリターンを叩き出していたと報じられていました。
ところが、ヘッジを外した直後にメモリ・AIインフラ関連株が急落する場面が訪れます。
7月末、SK Hynix(SKHY)をはじめとするAIインフラ株が大きく崩れ、NBIS、SNDK、MU、CoreWeave(CRWV)といった主力ポジションはいずれも1ヶ月で35パーセント超下落。400パーセントのレバレッジをかけていたことも災いし、Situational Awarenessは保有していた上場株のポジションを全面的に解消せざるを得なくなりました。
アッシェンブレナー氏は投資家宛のレターで、ファンド存続のために必要な対応を取ったこと、そしてこの経験から学ぶべき教訓を得ると述べています。テーマ選びが正しくても、ヘッジを失えばリスクは跳ね上がり、レバレッジをかけていればなおさら致命傷になり得る、というのが今回の教訓と言えそうです。
Micron(MU)強気の裏に潜む警戒
MUに対しては、弱気筋がかなりの攻勢をしかけてきています。
1000ドルより上にコール売りの塊が仕掛けられており、実はセンチメントとしてはマイナス方向の圧力も存在します。
1300ドルコール売りにプレミアム2百万ドル級が3件、980ドルコール売りにプレミアム3百万ドルが観測されています。
夏季休暇シーズンで出来高が落ちているタイミングだけに、いつ崩れてもおかしくない雰囲気も漂っています。
ただし最大のポジションは別にあります。
11月20日メジャーSQに向けた1350ドルコール買いが1500枚、コスト7.9百万ドルという非常に大きな強気ポジションです。加えて800ドルプット売りにプレミアム4.5百万ドルという、ディフェンスラインを意識した動きも確認できます。
短期的には厳しい場面もあり得ますが、基本的な目線は上向きと見て良さそうです。
SanDisk(SNDK)オプション市場は上目線一色の博打
SNDKは完全に博打銘柄化しています。
オプション市場は上しか見ておらず、一気に2000ドルまで駆け上がる可能性を織り込んだポジションまで存在します。レバレッジをかけた買いが相次いで利益確定し、さらに追撃買いが入るという展開が続いています。
ボラティリティが極端に高いため、コールもプットも今は触ってはいけない銘柄の代表格と言えます。
高勝率のクレジットスプレッド
スクリーニングで目立ったクレジットスプレッド案件もご紹介します。
プットを売ってコールを買う強気型では、Cisco Systems(CSCO)の115ドルから120ドルのプットスプレッドが利益確率62.1パーセント、Tesla(TSLA)の350ドルから375ドルが58.0パーセント、Apple(AAPL)の各種スプレッドが57.8パーセント前後と高い勝率を示しています。
損失確率の低さで見ると、Microsoft(MSFT)の465ドルから470ドルのプットスプレッドが損失確率わずか4.3パーセント、JPMorgan Chase(JPM)の345ドルから350ドルが6.0パーセントと、かなり手堅い収益源になりそうな水準です。
弱気型のコールスプレッドでは、TSLAの372.50ドルから377.50ドルが損失確率4.5パーセントでリスクリワード28.41対1と極めて効率の良い数字が出ています。
Meta Platforms(META)の630ドルから645ドル、Qualcomm(QCOM)、Taiwan Semiconductor(TSM)なども同様に低リスクの弱気スプレッドとして名を連ねています。
上昇に賭けるコールデビットスプレッドでは、NVDAの205ドルから210ドルが利益確率68.6パーセントとトップに来ており、Bank of America(BAC)、Amazon(AMZN)、Ford(F)、Chevron(CVX)などにも高勝率案件が見られます。
個別銘柄の出来高急増
最後に、出来高が急増している個別オプションから面白いものを拾ってみます。
TSLAは345ドル、340ドル、335ドル、337.50ドルのプットに厚い出来高が集まっており、IVは32から40パーセント台と高め。一方で352.50ドルのコールにも出来高が見られ、上下どちらの動きにも身構えている参加者が多いようです。
NVDAは247.50ドルコールに買いが集まっており、現在値225ドル台からするとやや強気な水準です。
Moderna(MRNA)は64ドルと68ドルの両方のコールに動きがあり、上昇シナリオに複数回賭けている様子がうかがえます。
逆にCipher Mining(CIFR)のプットには弱気の見方が集まっており、暗号資産マイナー銘柄への慎重姿勢も見て取れます。
Microsoft(MSFT)は497.50ドルコールに厚みがあり、TeraWulf(WULF)は21ドルと13ドルの両方のコールに出来高が集まって強気優勢、Hut 8(HUT)の100ドルコールも大商いとなっています。
Nu Holdings(NU)の20ドルコールのような遠いアウトオブザマネーにも資金が入っており、市場全体としてリスクを取りに行く姿勢が根強いことがうかがえます。
まとめ
今日のデータを総合すると、NBISのショートスクイーズ、機関投資家によるメモリ・電力・AIインフラへの集中ロング、MUとSNDKの強気オプション、そして個別銘柄の出来高急増と、いずれも上げ目線が優勢という結果になりました。
もちろんNBISの300ドル防衛プットのように、下落リスクへの備えも各所に張り巡らされていますので、どこかのトリガーで連鎖的な調整が起きる可能性は頭の片隅に置いておく必要があります。
それでも全体の建玉から見えてくるセンチメントは、依然として強気優勢と言えそうです。
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