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7月24日のオプション市場分析 テスラ決算ショックとアルファベット株価反応

Brent原油が100ドルを突破し、テスラとアルファベットが週内の下落を主導する形で、ハイテク株全体が売られる展開となりました。
一方で半導体メモリ関連や防衛・エネルギー関連には資金が向かっており、単なる全面安ではなく、資金の逃避先がはっきり分かれている点が本日の相場の特徴です。
本noteでは、こうしたニュースの流れとオプション市場の建玉データを突き合わせ、個別銘柄ごとの需給構造を整理します。

テスラ ―急落直後の短期投機と反発期待

テスラは決算ショックで前日比14.52%安となり、株価は319.69ドルまで下落しました。ここで注目したいのは、翌日満期となる短期コールに非常に大きな出来高が集まっている点です。325ドル、330ドル、335ドル、340ドルといった現在値からやや上の権利行使価格に、いずれも数万枚単位の出来高がついています。デルタは0.07から0.33程度と低めで、これは急落直後に値ごろ感から入った投機的な買いが中心とみられます。

さらに興味深いのは、プットを売ってコールを買うタイプの強気スプレッド(ブルプットスプレッド)にも資金が入っており、325から350ドルのプットを売る取引の利益確率が56から64%という水準で並んでいます。決算で叩き売られた直後にもかかわらず、オプション市場ではここからの反発、あるいは少なくともこれ以上の下落は限定的とみる向きが一定数存在していることがうかがえます。


ガンマエクスポージャ

こうした短期的な売買の背景にある需給構造を、ガンマエクスポージャーのデータから見ていきます

テスラのガンマエクスポージャーを見ると、現在値319.69ドルのすぐ下、320ドルの権利行使価格に単独でマイナス50Mを超える突出した山ができています。
集計されたアグリゲートガンマエクスポージャーの線を見ても、260ドル近辺のマイナス10M程度から緩やかに下がり続け、320ドル付近でマイナス40Mから45M程度まで落ち込んだあと、緩やかに戻りながら378.4ドル付近でようやくプラス圏に転じるという形になっています。
つまり現在の株価は、ちょうどこのマイナスガンマの谷の真上に位置しており、ここから上に動いても下に動いても、ディーラーのヘッジがその動きを後押ししやすい状態にあるということです。ガンマがプラスに転じる378.4ドルという水準は現在値から約18%上であり、当面この落ち着いた領域に入る可能性は低いとみられます。

300ドル、310ドル、320ドル、330ドル、340ドル、350ドル、360ドル、370ドルといった各節目で、オレンジ色のプットガンマが軒並みマイナス20Mから50M規模で積み上がっているのに対し、青色のコールガンマはごく小さくプラス側にとどまっています。
これは市場参加者がプットを大量に売り、ディーラーがそれを買い取って(つまりディーラー側はプットを買っている状態で)ヘッジしていることを意味し、株価が下がるほどディーラーは保有ポジションを守るために追加の売りを出しやすくなる、典型的なマイナスガンマ環境であることを示しています。

満期別に見ると、このマイナスガンマの大部分は翌日満期となる週次オプション(07/24)に集中しています。
この限月だけでプットガンマの合計がマイナス180M近くに達している一方、07/27満期はマイナス20M程度、08/21と09/18の月次限月ではいずれもマイナス60M台まで縮小します。
つまり本日ほどの極端な値動きの増幅効果は、明日の週次オプション満期を通過すれば一旦弱まる可能性が高いものの、8月・9月の限月でも依然としてプットガンマがコールガンマを大きく上回る状態は続いており、378ドルを明確に超えない限り、テスラは値動きが増幅されやすい不安定な需給構造から完全には抜け出せない、というのが現在の姿です。

まとめますと、テスラは決算ショック直後の投機的な短期売買が活発化する一方で、株価がちょうどマイナスガンマの谷に位置しているため、ここからの動きはディーラーのヘッジによって上にも下にも振れやすい状態にあります。
300ドルと350ドルという建玉の厚い節目、そして378.4ドルというガンマフリップの水準を意識しながら値動きを見ていくことが、当面のテスラを読む上でのポイントになります。

アルファベット ―好決算にもかかわらず上値を抑える建玉構造

アルファベット(GOOGLおよびGOOG)は決算自体は好調だったものの、AI投資額の上振れを嫌気して7%前後の下落となりました。
ここで目立つのが、350ドルより上のコールを売るタイプの弱気スプレッド(ベアコールスプレッド)です。355ドルから390ドルまで幅広い権利行使価格で、損失確率がわずか13から17%程度という、かなり自信の強いポジションが並んでいます。

これは、決算が良かったとしても向こう1ヶ月ほどは350ドル台を大きく超えていく展開は考えにくい、という見立てをオプション市場の参加者が置いていることを示しています。ニュース見出しでは好決算にもかかわらず魅力的な水準という論調も出ていますが、オプションの建玉を見る限り、当面は上値の重さを織り込んだ持ち高が優勢という状況です。

アップル ―決算前のヘッジ需要

アップルについては、決算前のポジション調整とみられる動きが出ています。
270ドルから290ドルのプットを買うタイプの弱気スプレッド(ベアプットスプレッド)が複数の権利行使価格で組まれており、損失確率が8から12%程度と低く抑えられた設計になっています。
これは大きく崩れる予想というより、決算を前にした保険的なヘッジ需要とみるのが自然です。9月に控えるマイクロソフトの決算がAI投資拡大でネガティブに働くという見出しも出ており、アップルの動きもこうしたハイテク全体の警戒感の延長線上にあると考えられます。

資金の逃避先 ―メモリ半導体と防衛・エネルギー関連

個別の値動きに目を移すと、マイクロンが3.20%高、サンディスクがプラス圏、SK hynixのナスダックADRであるSKHYも2.56%高と、メモリ半導体は今回のハイテク売りからは一歩距離を置いています。
AI投資拡大への懸念が広がる中でも、実際にメモリを供給する側の企業にはむしろ追い風という受け止め方があるためとみられます。

もう一つの資金の逃避先が防衛・エネルギー関連です。ロッキード・マーティンは通期見通しの上方修正を発表して上昇し、原発関連のX-Energyもトランプ政権の支援材料でウォール街が137%の上値余地を見込むと報じられています。
GEバノバも4.69%高となっており、原油高と地政学リスクの高まりが、防衛・エネルギー・電力インフラ関連への資金シフトを後押ししている構図が見て取れます。

まとめ

本日の下落は、テスラの決算内容そのものへの失望と、アルファベットに端を発したAI投資拡大への警戒感という二つの個別要因に、原油高と地政学リスクというマクロ要因が重なったものです。オプション市場を見る限り、テスラは短期的な反発を試す持ち高も出てきている一方、アルファベットについては上値を抑える持ち高が優勢で、アップルは決算を控えた保険的な弱気ポジションが目立ちます。売られた銘柄がある一方でメモリ半導体や防衛・エネルギー関連には資金が向かっており、資金の逃避先がはっきり分かれている相場だという点が、本日のオプションデータから読み取れる特徴です。

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