ひどいアニパロ大戦 アニメ世界に入り浸る
美滝原の公園、秋から冬に代わり、ほんのりと暖かい陽射しが木々の間を抜けてベンチにまだらな影を落としていた。
こなた、智子、まひろがいつものようにだらだらと座っていると、ほむらとまどかが手を繋いでやってきた。
智子はスマホをいじりながら
「漫画とかで女体化って何かあるようだけど……私女体なんだよなあ」
こなたは智子の肩をぽんぽん叩いて
「そこは頷けるけど、智ちゃん女体の無駄遣いというか、もう少しポテンシャル生かそうよ」
そして、まひろは苦笑いして
「こなちゃんの生かしかたも斜め上だけどね」
ほむらは呆れた顔でベンチの端に腰を下ろし
「女体女体って、言葉を選びなさい。
大体、腐ったリンゴがお互いを腐らせて発酵してるのがこの三人なのに、本当にたべられなくなるわよ」
隣のまどかは
「ほむらちゃん言い過ぎだよ」
というが
「まあバナナは傷む間際が美味しいし」
「適度に腐るとワインになるから」
こなたとまひろはこう返した。
言い過ぎではなかったようだ、ほむらも
「また、馬鹿なことを言ってる」
と、最早ルーティンである、ほむらも腐り始めたのかもしれないが、まどかは微笑ましい光景に
「ほむらちゃん、泉さんたち好きなんだね」
「え……そんなことは……」
ほむらが照れていたが、ここではそんな綺麗な展開は続かない。
智子が突然指を差して硬直した。
ピンクの髪をツインテールにした女の子が、ゆっくり近づいてくる。
「……ネモ……」
こなたも智子の指さす方を見て気づいた
「MSA-003……」
「あ……ネモちゃん」
まひろも漫画でだけ知っている智子のクラスメートで友人。
根元陽菜――通称ネモ。
あだ名は『Zガンダム』のモビルスーツに由来する。
ネモはついに見つけたとばかりに智子に声をかけた
「クロー、1人でこんなアニメの世界に来て遊んでいるなんて、ずるいずるい……」
ネモはこなたの方を見て目を細めた。
「泉こなたさんねー、しかもモビルスーツのネモのナンバーを諳じられるとか。
そっちはおにまいのまひろちゃん、ほむらちゃんにまどかちゃんまで、こんな夢世界」
「……いや、こちとらその夢世界でえらい目にもあってるんだけどさ……」
智子はガチで死にかけたのだ、よく考えてみれば危機は一度や二度じゃなかったはずだが。
「……智子の友達なのね……」
と、智子たちより高校生相応に見えるネモの反応に逆に呆れるほむらに対して、まどかは礼儀正しくあった
「どうも……鹿目まどかです……
ひょっとして内笑さんとも知り合いだったりして……」
「うちさんもここに来てるの?」
「なんならゆりちゃんも来てるけど……
あとまどかちゃん、うちさんと何かあったの?」
自分だけこの世界にたどり着けなかった事実に呆然とするネモをよそに、まどかは答えた。
「あ……内笑さんには色々話聞いてもらってすっきりしたことがあったから」
「絵文字そんなにまともなことできたんだ……」
「あの人のあだ名絵文字なのね……確かに絵文字っぽい顔だけど」
ネモは話から察した、うちさんの方がこの世界では人間関係を構築するほど深入りしているのだ。
いや、うちさん自身は智子への反応が極端なだけで実は常識的な人間なのではあるが。
「ほむらちゃんもうちさん知って……」
「田村さんも知ってるけど」
ほむらのゆりの人となりを知るレベルで語る口調にもネモはショックを受けた。
「私だけこのアニメ世界に来れてなかったのか……」
「落ち着いて……ここは並行世界でみんな異世界の人だから」
そう、この世界は架空世界ではないのだ。
「なんか慣れすぎて忘れてたよね」
というまどかは、ネモにはアニメで見た通りの落ち着いた少女であることに感心したが。
「あー、とりあえずネモを送り返してくるから」
智子は嫌がるネモを引っ張って去っていった。
後ろ髪引かれるとはまさにこのこと。
残された4人。
こなたはじわじわと来たようで、顔を覆った。
「……私……みんなの前であんな風になってたかな……」
「……大丈夫」
「そうそう……」
とまどかとまひろがフォローするが、唯一ほむらだけは、この世界に来たとき、それこそ遊び半分でこなたが伝説巨人イデオンを召喚したことを知っている。
それがワルプルギスの夜を倒したのは幸運な偶然でしかない。
「銀さんみたとき喜んでいたでしょ……初対面の私にほむほむとか」
「あ……」
「別にいいけど……」
公園のベンチに、少し気まずいけど温かい空気が流れた。
ただ、まどかが付け加えた
「ほむらちゃんは泉さんのことが好きだから、そういったんだよ」
こなたは頭をかきながら
「……あ…以後気を付けます…」
