責任とりたくないバイアスの悲劇
3月16日、沖縄県名護市の辺野古沖合で小型船2隻が転覆し、学校行事の研修旅行に来ていた女子高校生ら2人が死亡した。亡くなったのは京都府の高校生1人と、転覆した船の船長の男性だった。
船を運航する団体の代表は 「きょう、海況は悪くなかったと。船長も大丈夫だということで、出港の判断をされたと思う。突然高波がきて、そして最初の船が転覆して、それを助けようとして次の船も高波に襲われて転覆した」と語っている。
しかし、現場海域ではおよそ4メートルの風が吹いていて、波浪注意報も発表されていた。午前10時10分頃、生徒18人が乗船していた小型船舶「平和丸」と「不屈」の2隻が転覆し、乗組員3人を含む21人が海に投げ出された。高校生は全員、救命胴衣を着用していたが、生徒1人がなくなってしまった。引率した先生は乗船していなかった。
なぜこのような事故が起きてしまったのか。それは船長が「大丈夫。行けますよ」と言ったからだと思う。引率した先生はその言葉を聞いたとき、自分で判断することを放棄した。
学校行事の引率者は責任者でもある。船長の「大丈夫」はあくまでも船長個人の意見で、行くか行かないかの決定は引率者がするものだ。ところが困ったことに、学校の先生は「責任を取る」ことを最も嫌う人たちなのだ。
船長が「行けますよ」と言ったことで、引率者の頭の中に「船長が大丈夫と言ったから行かせた」という言い訳が生まれた。逆に、船長が「行ける」と言っているのに中止にしたら、あとで自分が責任を追及されるかもしれない。ふたつの「責任とりたくないバイアス」が働いて、生徒たちを船に乗せてしまったのだと思う。
このような悲劇を起こさないためには、事前に起きうるトラブルを想定しておき、基準を決めておくことだ。「波浪注意報が出ていたら乗船は中止」としておけばよかった。事前に決めておいて、生徒にも伝えておけば何も問題は起きなかった。準備不足だ。
このような事故はまた起きる。学校の先生は反省しないから。今回の事故も「運が悪かったね」で処理されて、自分事と考えない。学校の責任だとも思っていないから改善もされない。子どもを預けている親からしたら、たまったもんじゃない。
校外に出て行く学校行事は危険がいっぱいだ。なのに、引率する先生には責任者としての自覚も覚悟もない。ならば、自分の身は自分で守るしかない。悲しいけれど。
