年間900件の相談から見えてきた、病気のある子どもと家族が本当に困っていること
900件という数字の向こうにいる一人ひとり
相談支援の仕事をしていると、日々の業務の中で、つい件数として物事を捉えてしまいそうになる瞬間があります。けれど、一件の相談の背後には、必ず一人の子どもと、その子を囲む家族の暮らしがあります。
年間約900件という数字(要出典確認)は、私にとって、一人ひとりの顔を思い出させてくれる数字でもあります。
多い相談テーマ
相談の内容は多岐にわたります。学校にどう病気のことを伝えるか。保護者が仕事と看病、通院をどう両立するか。きょうだいに何と説明すればよいか。進学や就職の場面で、病気とどう向き合えばよいか。
こうした相談は、一見ばらばらに見えて、実は共通した背景を持っています。それは、「病気は個人の問題だが、それを取り巻く暮らしは、社会との接点なしには成り立たない」ということです。
制度の狭間で起きていること
多くの相談は、既存のどの制度にもぴったり当てはまりません。医療の制度でもなく、教育の制度でもなく、福祉の制度でもない、その間に落ちてしまう困りごとが数多くあります。
例えば、学校を長期欠席せざるを得ない子どもの学習保障、就職活動における病気の開示のタイミング、きょうだいの心のケアなど、どれも「担当窓口がはっきりしない」領域です。
家族が相談をためらう理由
相談を受ける中でよく感じるのは、家族が「これは相談していいことなのだろうか」とためらっていることです。「もっと大変な家族がいるはず」「自分たちだけが弱音を吐いてはいけない」。そう考えて、小さな困りごとを一人で抱え込んでしまう方が少なくありません。
けれど、小さな困りごとが積み重なることこそが、家族を孤立させていきます。誰かに話すこと自体に、大きな意味があります。
相談できる地域をつくるために
私たちに求められているのは、「困ったら相談してください」と待つだけの姿勢ではなく、家族が声を上げる前に、支援の手が届く仕組みをつくることだと思っています。
もしあなたの周りに、「相談していいのか分からない」と一人で抱えている方がいたら、「それは相談していいことですよ」と、一言伝えてみてください。それが、地域の相談体制を補う、最初の一歩になります。
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