見出し画像

【実話系ホラー】深夜勤務で挨拶していた警備員は誰?

今年の夏の暑さは半端ありませんが、どうでしょう?例年通り、今年も私のホラーな体験談で、少しでも涼しく感じていただけますでしょうか?

そう、あれは7年か8年程前でしょうか?私が公立の大きな精神科病院に勤めていた時の話です。私は病棟勤務の看護師で、いわゆる三交代という夜勤のある勤務に就いていました。

もちろん三交代ですので、私は深夜の23時頃に深夜勤務に出勤することもあるのですが、当時私はその病院の徒歩圏内に住んでおり、自分のマンションのベランダから、病院が見える程の距離なのですが、その間に神社がありまして、出勤する際には、その神社の境内を歩いて通り抜ける必要がありました。

さすがに深夜、神社の境内を通り抜けるのは、心地よいものではありませんが、この道を通らないとなると、ぐるっと遠回りすることになり、倍程の時間が掛かるので、通勤時間を考えるとこちらを選ぶことになります。

幸い、神社自体は小さいこともあり、「エイヤ!」という気持ちで、深夜に毎回通過して行くのですが…

しかし、私の深夜の通勤時間に、必ずではないのですが時々、ある週などは2回続けて、病院の若い警備員と参道の始まる大鳥居の横辺りで、すれ違うことがあったのです。

私は病院へ向かう方向へ、彼は病院から神社の境内に向かって行く方向へ。「夜分お疲れさまです。」と警備員らしいハッキリとした発声に、仮眠からまだしっかりと自分を取り戻せていない私はハッとして、「こんな場所まで大変ですね。」と返しましたが、彼は会話することもなく、すれ違った後、さっさと境内の方に向かって行きます。

その病院は、かなり大きな規模の病院でもあり、夜間でも警備員が数名いつも警備員室に詰めているか、いない場合は必ず巡回に行かれているような、しっかりとした警備態勢で、誰かがサボって勝手にどこかに行ったり、ダラけた感じのない警備員たちでした。

それでも近いとはいえ、深夜に病院の敷地でもない神社の境内に、巡回に行くのでしょうか?

もうかなり昔のことなので、曖昧な部分も多いのですが、流石に週に2回続けてすれ違った日の深夜勤務入りだったと思います。私の不審な思いが、つい言葉になって警備員に直接質問してしまったのです。

それは、深夜勤務入りしてロッカールームで看護服に着替えた後、病棟に向かう途中の警備員室窓口で…

「お疲れさまです。いつもこんな時間に、神社の方まで巡回に行かれて大変ですね。」

警備員は不審気な顔をして返します。

「夜間に病院の警備員が、病院の敷地外を巡回することはありませんが?」

「え?でも、時々警備員の方と深夜に神社前でお会いしますよ。つい先ほども…」

会話の途中で、警備員室の電話のコールが鳴り、彼は受話器を持つ反対の手で壁を作り、私との会話の中断をジェスチャーします。私も時間がないので病棟へ向かいますが、ではあの警備員は一体誰なのでしょうか?

そう、毎回毎回すれ違っていた警備員は実は、あなた(彼)だったのですが…

その後、何故かピタリと深夜勤務入りの通勤で、その警備員と神社で出会うことはなくなりました。

私はその病院に、その後も数年間か勤め退職。退職時に彼は在籍していたので、或いは彼は、まだその病院に勤めているかもしれません。もちろん、その警備員が彼だという確証もありませんが、その体格、声、メガネの特徴と、本当に彼に思えたのです。

しかし、まるでサボっていましたか?みたいな質問を部署違いの人間が、何度も聞くのもおかしな話で、その後は彼に問い詰めることもしておりません。

でも、彼でなかったとしたら、一体私が深夜の神社ですれ違い、挨拶していた警備員は、誰だったのでしょうか?そして、急に出会わなくなったのは、何故なのでしょうか?

今となっては調べる術もない、不思議な体験です。


終わり


この記事が参加している募集