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【更新】子どもの居場所不足を考える~令和8年5月時点の待機児童数1万4713人、登録児童数160万人超え(速報値)~

「小学生の放課後の現状と課題」シリーズでは、日本の小学生の放課後の現状と課題をひも解いて、解決のためのヒントを探っていきます。

今回は、2026年7月に発表された最新の待機児童数を切り口に、子どもの居場所不足について考えていきます。(2026年7月15日更新)


待機児童数の実態について

令和8年5月時点の待機児童数は昨年に続いて減少傾向も、依然として高い需要

こども家庭庁が令和8年7月に発表した「令和8年度 放課後児童クラブの実施状況(速報値)」によると、定員に空きがないなどの理由で学童を利用できない待機児童の数は、令和8年5月時点の速報値で1万4713人となり、前年比で1617人減少しました。昨年に続いて待機児童数は減少傾向にあります。

また、同調査によると、令和8年5月時点で学童に登録している児童数は160万2037人と、前年より3万1392人増加し、こちらは過去最多となっています。

学童保育(放課後児童クラブ)を実施するクラス数(支援の単位数)は、前年より735件増加したものの、学童を必要とするニーズは、受け皿の整備に連動して増えており、まだ十分とは言えない状況です。

こども家庭庁が発表した「保育所等関連状況取りまとめ(令和7年4月1日)」によると、令和7年4月時点で保育所等を利用する児童の数は268万人でした。保育園に通っていた園児が、小学校にあがって全員学童に通うとは限りませんが、実際の学童の登録数は約160万人であり、保育園と比べると100万人以上もの差があります。ここから学童の数が大幅に足りていないことが推測され、今後もしばらく潜在的な利用ニーズが掘り起こされ続ける可能性もあります。

特に小学4年生の待機児童数が多い

令和5年にこども家庭庁が発表した「令和5年放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」によると、待機児童の中でも特に小学4年生が最も多く、さらに4年生の待機児童数が令和4年と比べて増加していることが分かりました。

令和5年(2023年)放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況
(こども家庭庁、令和5年12月)

また、自治体によっては放課後児童クラブ(学童保育)の入所要件を学年で区切っているところもあります。例えば、東京23区の中でも9つの自治体が学童の入所要件を小学校1~3年生までとしており 、特別な配慮が必要な子どものみ4年生以上の入所が認められるというところが多いのが現状です。

こども家庭庁が発表した待機児童数は、小学4年生以上も入所可能な学童に対しての待機児童の数であり、放課後の居場所がない高学年の子どもはこの数値以上に多い可能性があることが推測できます。

待機児童問題は一部の地域に集中している?

こども家庭庁の同調査の都道府県別待機児童数マップを見ると、待機児童は首都圏や沖縄に集中していることが分かります。東京や埼玉、千葉、沖縄は待機児童数が1000人以上いるのに対して、青森や福井などの地域では50人未満となっており、待機児童数に大きく差があります。ここから待機児童問題は全国各地で一律に深刻化しているというよりは、一部の地域に集中した問題であると読み取ることができます。

令和5年(2023年)放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況
(こども家庭庁、令和5年12月)

10月までに学童をやめる子どもが多い

令和7年10月時点の放課後児童クラブの実施状況を見てみると、同年5月時点と比べて待機児童数は8977人減っていることが分かります。それだけでなく、同調査によると学童の登録児童数も4万7453人減っているということが分かりました。4月の進級などによって利用継続が難しくなったなどの理由ではなく、子どもたちは5月~10月の間になんらかの理由で自らやめているということが推測できます。

令和8年度 放課後児童クラブの実施状況(速報値)」(こども家庭庁)

では、いったいなぜ子どもたちは学童を自らやめているのでしょうか?
子どもたちが学童をやめてしまう理由をひも解きながら、子どもたちの放課後の居場所不足の本質的な課題について考えていきたいと思います。

学童保育の質を高めることの重要性

学童を小学1年の4月にやめている子どもたち

2026年3月に放課後NPOアフタースクールが発表した「小学生の放課後の居場所に関する実態調査 2026」によると、調査対象の小学校1~6年生の子どものうち、公立学童に一度入所したものの調査時点ですでに退所していた子どもの割合は12.7%、そのうち小学3年生での退所が32.9%と最も多い結果となりました。

また、小学1年生での退所も20.4%という結果となり、小学1年生の4~6月の間にも1割程度の退所が発生していることがわかりました。ここから3年生での退所が最多ではあるものの、1年生の前半、しかも入学したばかりの4月に学童をやめている子どもが少なくないということが本調査によって明らかになりました。

小学生の放課後の居場所に関する実態調査 2026
(放課後NPOアフタースクール、2026年3月)

なぜ学童を早期にやめるのか?

ではなぜ、子どもたちは学童に入ったばかりにも関わらずやめてしまうのでしょうか?

放課後NPOアフタースクールの同調査によると、公立学童を退所した子どもの保護者に理由をに聞いたところ、「子どもが行きたがらなくなった」が36.7%と最も多い結果となりました。その理由としては、「活動・過ごし方が合わない」「学童に通っていない友達と遊びたかったから」が最も多く、続いて「友達が退所したから」などの理由があがりました。

小学生の放課後の居場所に関する実態調査 2026
(放課後NPOアフタースクール、2026年3月)

さらに「公立学童を退所した理由」について、子ども・保護者は次のようにコメントしています。

小学生の放課後の居場所に関する実態調査 2026
(放課後NPOアフタースクール、2026年3月)

ここから、「自由に遊べない」「仲のいい友達と遊べない」「人数が多すぎる」などが子どもが学童に行きたがらない理由として浮かび上がってきました。つまり、待機児童対策として学童の数だけを増やしたとしても、学童が子どもたちの行きたい場所にならない限り、学童に行ってもつまらないという子どもや学童に行きたくないという子ども、さらには早い段階で学童をやめてしまう子どもは減らず、子どもの居場所不足の解消にはつながらないことが分かります。

また、学童を退所した後の子どもの放課後の過ごし方についても調査したところ、「自宅で留守番」をする割合が高まっていることがわかりました。
さらに、学童退所後に自宅で留守番をして過ごしている子どもの自己肯定感やチャレンジ意欲について、全体と比較したところ、自己肯定感は-10.3pt、チャレンジ意欲は-21.4pt、全体よりも低いことがわかり、見過ごすことのできない結果となっています。

小学生の放課後の居場所に関する実態調査 2026
(放課後NPOアフタースクール、2026年3月)

学童に入所したとしても、様々な理由から退所してしまう子どもも少なくはなく、子どもの居場所不足解消に向けては、居場所の量を増やすことと同時に、「行きたい」と子どもたちが思える場になるよう、質を考えていくことがとても重要です。

高学年の子どもの居場所づくり

学童の質を考えていくうえで、もう1つ考えるべき視点が高学年の子どもの居場所づくりです。

学年が上がるにつれて、塾や習い事などで放課後に自由な時間がなく忙しい子と、そうでない子の二極化が進む傾向にあります。ここでは高学年の子どもたちの放課後の現状について見ていきます。

まず放課後が塾や習い事などで忙しくても、そこが子どもの居場所になっている場合です。放課後NPOアフタースクールが2023年11月に発表した「小学生の放課後の過ごし方に関する調査レポ―ト」にある以下のコメントのように、塾や習い事などに友達がいるなどで子どもにとって楽しい場所、行きたい場所になっているケースがあります。

・月水金は塾。帰って休憩した後、電車で17時に塾へ。月19時まで、水金は21時まで。塾には学校の仲の良い友達がいて、友達と話せるので少し楽しい。(東京都6年生)
・火・木は、塾。帰っておやつを食べてから20時半まで塾。塾は楽しい、知らないことを知れて面白い。塾で友達と話したり、帰りは友達と帰ったりするのも楽しい。(東京都6年生)

⼩学⽣の放課後の過ごし⽅に関する調査レポート
(放課後NPOアフタースクール、2023年11月)

一方で、塾や習い事などが子どもたちにとって居場所にはなっていないケースもあります。放課後NPOアフタースクールの同調査では、以下のコメントのように塾や習い事は楽しくないけれど行っているという子どもの声もありました。

・月・水は学校から帰って、おやつ食べて塾17-19時。塾は楽しくない。 火曜と土曜はそろばん、日曜は月に一回そろばんの特訓。(Q.そろばんは好き?→普通) 木曜は何もないから、家でゆっくり、おやつ食べて宿題やってテレビかゲーム。友達と遊ぶこともある。友達の家でゲームやトランプ。 金曜は部活、陸上800m(Q.部活は楽しい?→[首を横に振りながら]疲れる。)(京都府4年生)
・習い事は習字、ピアノ、そろばん、サッカー、英語。英語だけ楽しくない。(兵庫県5年生)

⼩学⽣の放課後の過ごし⽅に関する調査レポート
(放課後NPOアフタースクール、2023年11月)

また、塾や習い事をしておらず放課後に自由な時間がある子どもの場合でも、行きたいと思える居場所を見つけられている子とそうでない子がいます。

放課後に時間があっても、友達が忙しくて予定が合わず一緒に遊ぶ友達がいない、学童などの放課後の場に友達が来なくなってしまったので行っても楽しくなくなった、さらには、高学年になると学童を継続できないなどの理由で、一人で家の中で過ごすという子どもも一定数いるのです。

放課後NPOアフタースクールの同調査の中でも、以下のような高学年の子どもたちの声がありました。

・友達の塾が6年生になって増えて、遊べないことが増えた。 (東京都6年生)
・自分も友達も習い事があって予定が合わないことも多い。(兵庫県5年生)
・4年生になって友達が受験や宿題で忙しくて遊べなくなった。 3年生の時は友達と約束して遊んでた。(神奈川県4年生)

⼩学⽣の放課後の過ごし⽅に関する調査レポート
(放課後NPOアフタースクール、2023年11月)

こうした放課後に思うように過ごせていない高学年の子どもの居場所をつくっていくためには、子どもたちの現状を知り、放課後にどのように過ごしたいのかという声を聴いていくことが重要です。子どもたちと対話しながら、ともに放課後の居場所をつくっていくことが求められるのではないでしょうか。

子どもの居場所不足解消に向けて

待機児童問題は居場所不足という大きな課題の1つの要素であり、解決すべき重要な課題ではありますが、学童の数を増やすだけでは子どもの居場所不足解消に向けた本質的な解決にはなりません。

子どもの放課後の居場所不足解消に向けては、学童の量を増やすと同時に、低学年・高学年双方にとっての学童の質を向上させていくための対策が重要となります。そのためには、まず子どもの声・考えを聴き、対話をしていくこと、そして子どもが行きたいと思える場を一緒につくっていくことがポイントです。

また、放課後の居場所は学童以外にも、こども食堂や児童館なども考えられ、子どもにとって地域に多様な居場所の選択肢があること、その中から自分の居場所を選択できることも重要です。

そのためにも自治体、保護者も含めた地域住民、学校、放課後事業者などが連携して、子どもの居場所不足解消に向けて対応していくことが求められています。

文:コミュニケーションデザインチーム・佐々木


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