「年金は続く」だけでは足りない──国民が求めているのは“納得できる老後”だ【N+マーケット】
厚生労働省は今回、
若い世代を中心に広がる
「将来、年金はもらえなくなる」
という不安に対し、実際にはそうではないというデータを示しました。
2024年の財政検証によると、
月10万円未満の“低年金”となる割合は、
1964年度生まれ:42.6%
氷河期世代(1974年度):39.1%
1994年度:30.0%
2004年度生まれ(Z世代):24.4%
と、後の世代ほど減少する見込みです。
背景には、
共働き世帯の増加
女性の厚生年金加入拡大
高齢者就労の増加
があります。
特に記事では、
「第3号被保険者(専業主婦)」中心だった女性が減り、厚生年金加入者が増えていることが指摘されていました。
さらに、厚生年金加入期間も、
64年度生まれ:平均26.3年
04年度生まれ:平均33.2年
へ伸びる見込み。
つまり日本は、
「専業主婦+終身雇用」
の時代から、
「共働き+長く働く社会」
へ静かに構造転換している。
ただ、多くの国民が感じているのは、
「年金がもらえるか」
ではありません。
本音は、
「これだけ長年払って、この金額なのか」
という納得感の問題です。
実際、仮に厚生年金+国民年金の自己負担として、
月4万円
22歳〜65歳
43年間
支払った場合、
総額は約2,064万円。
もしこれをS&P500へ積み立てていたら、
年5%運用 → 約7,244万円
年7%運用 → 約1億3,104万円
になる計算です。
もちろん、公的年金と投資は別物です。
年金には、
終身受給
障害年金
遺族年金
長生きリスク対応
という“保険機能”があります。
だから単純比較はできません。
しかし今の若い世代は、
NISA
iDeCo
S&P500
オルカン
などの情報を日常的に見ている。
だからこそ、
「自分で積み立てていた方が良かったのでは」
という感覚を持ちやすい。
これは非常に自然な感情です。
しかも今の日本は、
現役世代も苦しい。
社会保険料増加
手取り減少
物価高
増税感覚
が続いている。
一方で高齢者側も、
医療費
食費
光熱費
インフレ
によって不安を抱えている。
つまり、
「払う側」も苦しい。
「もらう側」も安心できない。
という構造になりつつある。
今回の記事は、
「低年金が減る」という前向きな内容にも見えます。
ただ、その実態は、
「共働きで、長く働き続ける社会」
によって支えられているとも言える。
裏を返せば、
非正規
低賃金
育児離職
働けない人
には依然として厳しい現実が残る。
実際、04年度生まれでも、
男性加入期間:36.6年
女性加入期間:29.7年
と7年近い差があります。
つまり、
“働き方そのもの”が将来の年金格差
になる社会です。
私の考えでは、
今の年金不信は、
「制度が破綻する不安」
というより、
「払った金額に対して、老後の安心感が小さい」
ことへの不満の方が大きい。
だから政府が、
NISA推進
iDeCo拡充
高齢者就労
女性就業拡大
を進めるほど、逆に国民は気づいてしまう。
「年金だけでは足りないのだな」
と。
だからこそ本当に必要なのは、
単に、
「制度は続きます」
と説明することではなく、
「老後も安心して暮らせる国」
として制度全体を整備していくことではないでしょうか。
例えば、
現役世代の負担抑制
女性や非正規の低年金対策
子育て支援
医療・介護改革
インフレを踏まえた生活保障
などを含め、
“生活全体”として考える必要がある。
もしそこが曖昧なままなら、
年金制度は、
「支払う側も不満を持ち、
受け取る側も不安になる制度」
になってしまう。
それは、
現役世代と高齢世代の対立を深める社会にもつながりかねません。
本来、社会保障とは、
「国民同士が安心して支え合うための仕組み」
のはずです。
しかし今は、
若者は「損をする」
高齢者は「足りない」
現役世代は「重すぎる」
という不信感が広がっている。
だからこそ必要なのは、
制度を続けることだけではなく、
「この国なら、歳を取っても安心して生きられる」
という未来への信頼を、もう一度作り直すことなのかもしれません。
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