わたしの中の単色とグラデーション
あぁ、まただ。
心臓がバクバクする。
わたしは心臓を抑える。
電話口で母が怒る。
わたしが電話に出ないこと。
孫がお礼を言わないこと。
文句を言われても仕方がない。
全部、もっともだと思う。
それでも、心臓は反応している。
どくどくどく。
苦しい。
わたしが、体調が悪かったこと。
長男は部活で、熱中症気味だったこと。
そんなことは察してくれない。
電話に出ないことも、母にしてみれば、もどかしく、なぜ折り返さないのか不思議でたまらないのだろう。
お小遣いを渡した。
それなのに、お礼もないなんて、信じられない。
5分でできることをなぜやらないのか。
雑に扱われた。
そんな思いがあるのかもしれない。
それでも、わたしはその指摘が息苦しい。
思わず前かがみになってしまう。
この夏、両親と旅行の予定がある。
もちろん、旅行は楽しみにしている。
だけど、旅行に向けての準備は、まだできていない。
その日の段取りや細かいことも未定。
だから、電話口であれこれ聞かれても困る。
「考えておいてね」と言われたら、
「分かった」という。
だけど、なんだか心は重い。
それに加えて、また……
夏休みに入り、息子たちはお小遣いをもらっていた。
「お礼のメールしときよ」と息子たちに伝えていた。
次男はその場でLINE。
連絡していなかった長男。
長男は面と向かってやってもらったことに対しては、必ずお礼は言う子だ。
だから、今回も悪気があったとは思えなかった。
先延ばしする悪い癖が出たのだろうと思う。
わたしも、具合が悪く、寝ていて着信に気が付かなかった。
まだ一日も経ってやしなかった。
でも、それは言い訳かもしれない。
一つのできなかったことを、
「わたしの普段のしつけが悪い」
そう全部まとめて投げつけられる。
鳩尾が重い。
はぁ……
なんだか、つらいなぁ。
母の指摘は正しい。
でも、その裏で、わたしはわたしの事情があった。
長男には長男の事情があった。
電話を折り返すべき。
お礼は言うべき。
旅行のことは考えるべき。
本当にその通りだと思う。
それでも。
信じてもらってないんだなぁ。
そう感じてしまった。
「ちゃんとやる子なんだから、今は忙しいのかな」
「ちゃんとできてないけど、何か事情があるんだろうな」
本当は、そんなふうに、思ってほしかった。
責められたことが苦しいんじゃない。
わたしはわたしで、一日一日を大切に生きている。
その中で、うまくいかないこともあるし、失敗することもある。
体調が悪い時もある。
でも、母を軽く見たりはしてない。
大切に思っている。
それも全部否定されたように感じる。
それが悲しかった。
そこまで考えて、涙があふれた。
だけど、たぶん母にはそんなつもりはないんだろうと思う。
きっとただ腹が立っただけ。
自分が何に傷ついたのか。
それが分かったら不思議だけど、心臓の音が静かになった。
大丈夫よ、わたし。
自分の中で、やさしく何かが言ってくれたような気がした。

2週間ほど前、そんな出来事がありました。
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