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「ありがとう」と、「なんてことすんねん」

樹にとまって鳴くセミに、
「元気だなぁ」
「がんばって生きてるんだなぁ」
「ありがとう」

そんなふうに感じた。


その翌日。
歩いていると、
急に木の枝からセミが飛び立って、
わたしの頬にぶつかった。

「うゃあ”ぁぁぁぁ”!!」

なんとも言えない声が思わず出た。

声にならない声の中には、

「ほんまにやめてよ!」
「なんてことすんねん!!」
ゾッ……

しかなかった。

「ありがとう」
もへったくれもない。

わたしは偽善者なんだろうか。

もしかしたら、そんな一面もあるのかもしれない。

だけど、
善い人ぶりたくて「ありがとう」と言ったわけじゃない。


そのとき、確かに「ありがとう」を感じたのだ。

だけど、「なんてことすんねん」と感じたのも、またわたしだった。


どちらも本当のわたし。

人間て、どちらか一つで成り立っているわけじゃないから。

「ありがとう」と思いながらも、
「なんてことすんねん」は、
同時に存在する。

矛盾がある。

だけど、どちらか一方に決めなくてもいい。

人は、グラデーションだから。

一つの面だけで判断するのは、
する側も、
される側も苦しい。


夕焼けがきれいだなって感じるのは、
昼でも、夜でもない、
その間だからじゃないのかな。

セミにびっくりさせられて、
目が三角になった。

そのおかげで、
矛盾する自分でもいいやん。

そう思えた午後だった。


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のぞみん|揺れる乙女、45歳 いただいたチップは、創作活動に使わせていただいております。 その活動をまたnoteにも還元しています。 いつも温かい応援をありがとうございます🤗