【2026年6月2日〜6月14日:読書映画記録】
二週間分まとめようと思う。
やる気になって良かった。えらいぞ、僕。
まあ、やる気がなくても、僕はえらいけどね。生きてるだけで、十分。
もちろん、これを読んでいる人もえらい。生きてるだけで、頑張ってる。良い子だね、みんな。
読書映画記録
6月2日
映画『箱の中の羊』 監督:是枝裕和 主演:綾瀬はるか 大悟(千鳥)
二週間経って振り返っても、面白かったと思う。
とりわけ色彩は強いこだわりを感じる演出だった。
全体は、薄い青緑色とアースカラーを基調としている。その中で、重要な局面ーーとりわけ、緊張感のあるシーンでは、画面に赤色が現れる。
例えば、大悟さんのユニフォーム、公園の遊具、祖母のネイル、手術台等。特に、異彩を放っているのは、大悟さん演じる父親の働く建設会社のトラックだ。
画面に突然現れる赤色のトラックは、映った瞬間になにかあることを予感させる。そのくらい赤い。
でも、そのシーンでは何もしない。
では、なんで赤いのか、それは作品を見て確認してほしい。
ちゃんと意味がある、と僕は思う。
6月3日〜4日
実用書『教養として知っておきたい映画の世界』コトブキツカサ
主要な映画や映画史、映画賞について、邦画洋画問わず、紹介している本。
僕は、映画にはあまり詳しくない。色々な作品を知りたいと思って、ネトフリやアマプラを開くのだけれど、どれから観ていいか分からず、何も観ないまま時間が過ぎる。という経験を何度もしている。
選択肢が多すぎると、僕は選べない。失敗して時間を無駄にしたくない、という嫌なプライドが働くみたい。恥ずかしい。
そんなときに、この本のような広く浅く名作を紹介してくれると助かる。あらすじも書いてくれてあるので、興味のある作品を拾っていけば、映画通の顔ができそうな気がする。少なくとも、サムネイルをスクロールしているだけの非生産的な時間を過ごさずに済みそうだ、なんて思う。
6月5日
エッセイ『こんな感じで書いています』群ようこ
エッセイストで小説家でもある作家、群ようこさんの著書。
40年以上作家を続けてきた群さんの経験がまとめられているエッセイになっている。群さんは、物書きになりたかったわけでもなく、賞を取ろうという目標があるわけでもない。生活していく上で、お金を稼ぐ方法を考えたいったとき、物書きになっていたそうだ。
この話を聞いて、こだわっていないからこそ、書けるものっていうのがあるよな、と思った。
例えば、『すべてがFになる』でメフィスト賞を受賞した森博嗣さんも、小説というものにこだわりはなかった。大学教員という仕事の傍で、金を稼ぐ手段を考えたときに、小説という手段を選んだと著書の中で語っていた。
小説の新人賞の受賞者インタビューでも、「実験的に書いた作品だった」、「この作品が受賞すると思わなかった」、「応募したもう片方の方が自信があった」なんていうコメントを目にする。そういう力感だから出る面白さがあると思う。
6月6日
映画『レオン』監督:リュック・ベッソン、主演:ジャン・レノ
凄腕の殺し屋レオン(演:ジャン・レノ)が、家族を失った少女マチルダ(演:ナタリー・ポートマン)と出会い、心を開いていくロマンスアクション映画。マチルダ視点では、最愛の家族を奪ったノーマン(演:ゲイリー・オールドマン)への復讐劇でもある。全編英語で作られているが、フランス映画だそうだ。
物語の導入は、レオンの殺しのシーンで始まる。凄腕の殺し屋としての設定を見せるとともに、見応えのあるアクションで視聴者の興味を惹く構成になっている。すごく好きだ。
終盤の戦闘シーンにも無駄がない。アクションは、似たようなことの繰り返しに感じることがあるけど、『レオン』では一つひとつの行動が次への展開になっているのが良い。レオンの手練れ感の演出にもなっているんだろうな。面白い。
6月8日
小説『アナヅラさま』四島祐之介
面白かった。どこかに感想を書いたはずなんだけど、見つからないな。
オチが良かった。
6月9日
映画『爆弾』監督:永井聡、主演:山田裕貴
あらすじは、いいか。流行った映画だし。
スズキタゴサク(演:佐藤二朗)も怪演だった。あれは流行る。佐藤二朗の一挙手一投足を見逃したくなくて、画面に熱中している感覚があったもの。
僕は、この映画で、引き算的な手法のサスペンスがあったんじゃないかと思った。
映画の途中では、過去の警察の不祥事と、現在の爆破事件との関連が示唆される。
ミステリー作品では、過去の事件を解くことが、現在の事件の解決に繋がるというパターンがよくある。大抵は、現在の事件の被害者は、過去の事件の加害者になっていて、その件で妥当な罰を受けていないことが多い。過去の理不尽への報復、というのが、現在の事件の動機になり、それが犯人や真相の特定につながる、という論理展開になる。僕はあまり詳しくないのでアレだけれど、金田一シリーズなんかは、そういう復讐劇が多かった気がする。
では、『爆弾』もそのパターンになっているのか。
答えは、なっていない。
一見すると、よく似ているのだけれど違うと思う。
実際のところ、『爆弾』で起こった過去の事件に真相なんてない。警察の不祥事は、疑いようのない真実なのだ。
ただ、その不祥事の中身が後半まで隠されていることで、ミステリーらしくなっている。過去の事件が原因で、タゴサクという人物が犯行に及んでいるのでは、なんて観客は勝手に勘繰ってしまう。
映画が終わってみれば、本来の事件はシンプルだったと分かる。タゴサクが関わっていなければ、過去の事件との繋がりが分かった時点で解決できた。
言い換えると、タゴサクが関わったから、ここまで事件が歪んだ。
事件を凶悪に変えたのは、彼なのだ。
それを読者に感じさせるために、敢えて、本来の事件を単純にしたのではないか。何の真相もない警察の不祥事を犯行の動機に据え流ことで、事件の乗っ取りという複雑なトリックの方を際立たせたのではないか。
これが僕の感じた引き算的な演出だ。ポイントは、不祥事の中身を後半まで隠すことで、既存のミステリーらしさを演出することだ。まるで、警察側にも非があったのではないか、そんなサスペンス要素が盛り込んで、結末まで観客を惹きつける。
なんて考察は、原作も未読なまま、好き勝手に書いた感想だ。全然、違うかもしれない。
ただ、そのくらい、僕は楽しめたっていう話だ。面白かった。
6月10日
実用書『COLOR OF FILM』チャールズ・ブラメスコ
色彩という視点から映画を分析、紹介する本。1902年から2020年までの主要な映画50作品を網羅し、色彩についてはRGB値まで載せるという徹底した分析を見せてくれる。実際の映画のカット(写真)も多分に使われているので、雑誌や写真集のように眺めることもできる楽しい一冊。イラスト好きな人にも配色の参考になるんじゃないだろうか。映画は緑が格好いいよな。
6月11日〜12日
映画『ファイト・クラブ』(監督:デヴィッド・フィンチャー、主演:エドワード・ノートン、ブラッド・ピッド)
不眠症を抱える主人公(演:エドワード・ノートン)が、タイラー・ダーデン(演:ブラッド・ピッド)と関わり、ファイト・クラブという地下組織を作っていく中で、自身の欲求や生きがいについて明らかにしていく作品。大手自動車会社に勤め、高級家具に囲まれて過ごす主人公が、不眠症に苦しむ様は、当時のアメリカの消費社会? を風刺した作品になっているそう。また、睾丸癌患者のボブやケンカによる欲求の発散は、男性の性について描いている作品だとも言われている。
この作品では、叙述トリックが用いられている。詳細は、ネタバレになるので、書かない。
叙述トリックでは、情報を欠落させたり、誤情報を含めたりすることで、読者または観客をミスリードする手法だ。
文章に比べて、映像は情報の欠落が少ない。同時に、映像は第三者の視点で描かれるために、誤情報が含まれることは公平性をかく。(文章なら台詞や、一人称視点の叙述であれば、嘘をつくことも許容されやすい)。
だから、叙述トリックの映像化は難しいのだけれど、本作では"不眠症"という設定が、大きな役割を果たしている。とりわけ、物語序盤に、主人公が飛行機が爆発する景色を幻視するシーンによって、映像の上でも信頼できない語り手であることを示せている。これは上手だと思った。
似たようなところでは、ゲーム原作のアニメ『CHAOS;CHILD』でも主人公が幻覚をみる演出があった。あれも、映像で描かれている情報にも嘘があるという伏線になっていた気がする。
