お坊さんが教える仏教的コーチング(実践編)♯06誰もが持っている“尊さ”を見つけていく
06| 誰もが持っている“尊さ”を見つけていく
「うまくいった方法」を押しつけたくなる心
人に何かを伝えるとき、どうしても「自分が成功したやり方」が一番だと思ってしまいがちです。
「自分はこれでうまくいったのだから、あなたもそうすべきだ」
「努力すれば、誰だって乗り越えられる」
そんな言葉が相手を追いつめてしまうことがあります。
とくに、子育てや職場での人材育成においては、「自分と同じようにできるはず」と期待しすぎてしまうのです。
仏教では「諸行無常」と説きます。
つまり、“すべてのものは変化し、同じ形にはとどまらない”ということ。
自分と相手はちがう存在であり、それぞれの持っている種が違うからこそ、咲かせる花もまた違う。
まずはその“違い”に気づくことが大切なのです。
相手の“花”が咲く環境をととのえる
ある営業職のお方は、なかなか成果が出ない社員でした。
上司は熱い情熱と感情で語るタイプ。
上司が「もっと熱くなれ!」と何度伝えても、響かない。
それどころか、どんどん自信をなくしていきました。
そこでコーチは、“静かな強み”を見つめ直します。
感情ではなく「理路整然と説明する力」
ノリではなく「一貫性と信頼感」で信頼を得る姿勢。
こうした特性は、情熱型の営業スタイルとは真逆かもしれません。
けれども、その違いこそが、この方が活かすべき個性だったのです。
仏教的コーチングのこころ──「自分のやり方を離れる勇気」
仏教とりわけ浄土真宗では「他力」を重んじます。
これは、他人に依存するという意味ではなく、“自分の力にこだわりすぎないこと”を指します。
誰かを導こうとするとき、自分の成功体験に固執してしまえば、見えるものが狭くなってしまう。
そうではなく、目の前の相手に備わる“仏のような可能性”を信じ、その芽が育つ環境を整える。
それが仏教的コーチングのまなざしです。
相手を変えるのではなく、相手の「いのちのかたち」を尊重しながら、強みを見つけていく。
それこそが、ほんとうの“育てる”という行為なのかもしれません。
🔹POINT
「私のやり方」を手放すことで、相手の力が見えてくる
相手に合わせた“育つ場”をととのえることが、コーチの役割
仏教的コーチングでは、「導く」とは“信じて任せる”ということ
