「定年後の野望」終の棲家は、平屋を建てる❗️
「今さら家を建てるなんて、正気か?」
親戚や子供たちの顔には、はっきりとそう書いてありました。
確かに、通帳を眺めながら老後資金をガツンと取り崩すのは、
バンジージャンプを紐なしで飛ぶようなスリルがあります。
しかし、私たち夫婦の「団地サバイバル」は、
すでに限界を迎えていたのです。
かつては賑やかだった古い団地。
山のように立ちはだかる階段、そして駐車場までの遠き道のり。
高齢者住宅に入るには、まだ早い。
まだ私たちのエンジンは止まっていない。他人に管理されるスケジュールではなく、朝起きて、自分で淹れたコーヒーを、自分たちが選んだ無垢材の床で飲みたい。自由への渇望は、20代の頃よりむしろ強くなっていました。
そこで掲げた旗印が、「小さな平屋」です。
階段という名の天敵を排除し、広すぎず、ルンバが一気に駆け抜けられる掃除のしやすさとか。老いという未来に対する「戦略的な先行投資」でした。
もちろん、震える手で契約書に判を突きました。
「本当にいいのか? 貯金残高がすごい勢いで減るぞ」
という心の声と何度も格闘しました。
でも、ふと思ったのです。
「残りの人生を『我慢』という名の錆びた檻で
過ごすために、今まで働いてきたんだっけ?」
答えは「ノー」。
66歳での家づくり。
それは周囲が思うような無謀な贅沢ではありません。
「最後まで自分らしく、ご機嫌に生き抜いてやる」という、
未来への最初で最後の挑戦なのです。
完成まであと少し。今は、減っていく通帳の数字よりも、
新居で迎える最初の朝の光を想像して、
夫婦でニヤニヤする毎日です。

