「知っているけど、言わない」― 封筒の向こう側にある、息子の小さな誇り ―
僕には小学生の息子がいて、先月、英検を受験した。
息子の英検の結果が返ってきた。
正確に言うと、
もうとっくに僕は知っていた。
ウェブでは先に見られる。
番号を入れれば、合否はすぐに表示される。
便利な時代だ。
でも、息子は言った。
「郵送で知りたい。」
だから、僕は黙っていた。
これが、思ったよりもつらい。
言いたくて仕方がない。
「おめでとう!」と先に言いたい。
抱きしめたい。
ちょっと誇らしげな顔を見たい。
でも、言えない。
知らないふりをするのは、
嘘をつくより、少しだけ難しい。
封筒が届いた日。
息子は静かにそれを持ってきた。
僕は何も知らない顔で、
「どうだった?」と聞く。
彼は、封を切る。
紙を一枚取り出す。
そして――
ニヤけた。
大きくガッツポーズをするわけでもなく、
飛び跳ねるわけでもなく、
ただ、ニヤけた。
ああ、よかった。
内心はきっと大喜びなんだろう。
でもそれを、まだうまく外に出せない年頃。
「額に入れて飾ろうか?」
そう言うと、
「いや、いい。」
そう言って、また封筒に戻し、
机の引き出しにしまった。
飾らない。
自慢もしない。
でも、しまう。
それはたぶん、
彼なりの大切にする方法なのだろう。
今、どんな気持ちなんだろう。
嬉しい?
ほっとした?
自信がついた?
それとも、「次はもっと上へ」と思っている?
親は、すぐに言葉にしたがる。
でも、子どもの中には、
言葉にならない感情が静かに熟しているのかもしれない。
知らないふりをして待つこと。
主役を奪わないこと。
それも、親の役目なのかもしれない。
今日の主役は、
封筒を開けた彼だ。
僕はただ、
それを横で見ていられたことが嬉しい。
こちらもにやけてしまう。
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そっと置いてくれた気持ちは、
これから書く言葉の小さな灯りになります。