『殺されるまで、待ち続けた#7』
第7話
彼女の仕事
宮本からの連絡は、
翌日の昼だった。
短い文だった。
少しだけ、
お話しできますか。
場所は、
駅から
二つ先の
喫茶店だった。
カフェ、と呼ぶほど
洒落てはいない。
宮本は、
先に来ていた。
前回と
同じ服装。
それだけで、
妙に現実味が
増す。
「お時間、
ありがとうございます」
真琴は、
頷いた。
「警察から、
何か
聞かれましたか」
「いいえ。
まだです」
それは
本当だった。
「今日は、
仕事の話を
しようと思って」
宮本は、
そう切り出した。
「弟さんとは、
同じ会社では
ありません」
「知っています」
「私は、
外部の人間です」
宮本は、
指を
組んだ。
「企業の
内部調査を
請け負う仕事を
しています」
真琴は、
言葉を
返さなかった。
「いわゆる
探偵では
ありません」
「でも、
似たような
ことは
します」
弟が、
何も言わなかった
理由は、
理解できた。
「弟さんは、
ある件で
調査対象では
ありませんでした」
「……では、
なぜ」
「境界に
いたんです」
境界。
「知ってはいけない
ことを、
知ってしまった」
宮本の声は、
低かった。
「だから、
彼は
時間を
必要としていました」
真琴の
指が止まる。
「誰のために」
宮本は、
少し
迷った。
「……あなたの
ためです」
それは、
予想外だった。
「弟さんは、
すぐに
答えを
出せる人では
ありませんでした」
「曖昧なまま
終わらせない」
真琴は、
昨日の
自分の言葉を
思い出す。
「だから、
彼は
時間を
稼いだ」
「待ちながら、
揃える
つもりだった」
「何を」
宮本は、
視線を
落とした。
「すべてを」
沈黙が
落ちる。
「……警察には」
「まだ
話せません」
「私も、
境界に
いるから」
境界。
同じ言葉が、
二度出た。
真琴は、
宮本を
見つめた。
「弟は、
それを
分かっていたんですか」
「ええ」
即答だった。
「それでも、
待った?」
「はい」
宮本は、
小さく
息を吐いた。
「彼は、
自分が
どこに
立っているかを
理解していました」
「それでも、
離れなかった」
真琴は、
はっきりと
思った。
弟は、
会っていたのでは
ない。
選び続けていた。
