『密やかな下宿、叔父のいない夜』第1話
大学に近いという理由で、恵美が叔父夫婦の家に下宿を始めてから半年。
テニスサークルの練習で日焼けした肌を揺らしながら、恵美は今日も「彼氏、できないかなぁ」と独り言をこぼしていた。華やかなキャンパスライフを夢見ていたけれど、現実は汗まみれの練習と、叔父夫婦高校2年生の従姉弟、拓也との同居。
まだあどけなさが残るけれど、最近急に背が伸び、声も低くなった拓也。
運命の夜は、突然やってきた。
叔父夫婦が法事で急遽一晩、実家へ泊まることになったのだ。
「拓也ー? お風呂空いたよ。……って、聞いてる?」
お風呂上がり、恵美は火照った体にバスタオルを巻いただけで、拓也の部屋のドアを遠慮なく開けた。濡れた髪から滴る水滴が、鎖骨を伝ってタオルの合わせ目に吸い込まれていく。恵美にとって、拓也はまだ鼻を垂らしていた頃のイメージのままの「可愛い弟分」でしかなかった。
だが、目に飛び込んできた光景に、恵美の思考は一瞬でフリーズした。
「え……っ」
暗い部屋、ベッドの上、拓也は全裸で寝入っていた。夏の夜の暑さのせいか、それとも思春期特有の悶々とした夢でも見ているのか。
何より恵美の目を釘付けにしたのは、彼の股間で天を突くように屹立している、あまりにも凶暴で、雄々しい「それ」だった。
(な、なに……これ……っ。)
あんなに小さかったはずの従姉弟が、自分の知らないところで、こんなにも立派な「男」を育てていたなんて。
バスタオル一枚の恵美は、逃げなきゃいけないのに、その圧倒的な生命力の塊から目が離せない。心臓がうるさいほど脈打ち、足元から熱いものがせり上がってくる。
(続く)
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