『ひとり遊びの檻』第1話
築年数の古いアパートの一室。遮光カーテンを固く閉ざしたその部屋は、昼間だというのに深夜のような静寂と、微かな汗の匂いに満ちていた。
20代のOL、あずさは、鏡の前で自身の体に麻縄を這わせていた。
器用に指を動かし、肌に食い込む縄を複雑に交差させていく。やがて完成したのは、見るも無残で美しい**「亀甲縛り」**。白い肌が縄によって赤く縁取られ、彼女の肉体を「ひとつのオブジェ」へと変えていた。
「……あ、っ……」
あずさは、床に置いたスマートフォンをタップした。
スピーカーから流れてくるのは、どこか不自然な、男の低い声。
『……おい、もっと脚を広げろ。誰に許されてそんな格好をしてるんだ?』
それは、あずさが自らボイスチェンジャーを使って録音した、彼女自身の声だ。
録音された「架空の男」の罵声に合わせて、沙織はディルドを自身の深淵へと沈め、ゆっくりと、しかし激しく腰を振り始めた。
「はぁ、っ、あ……はい、ごめんなさい……ご主人様……っ!」
誰に聞かせるわけでもない、震える謝罪の言葉。
鏡の中の自分を、あたかも「誰かに辱められている被害者」として見つめながら、彼女は虚構の絶頂へと突き進んでいく。
それは、外から見ればあまりにも異常で、あまりにも孤独な、彼女だけの神聖な儀式だった。
