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Do you remember…(2025/1/12 豊洲PIT ukka楽曲大賞ライブの20曲とのごく個人的な思い出)

(※以下の文中、敬称略で失礼します)

2025年1月12日、日曜日。
ukkaの今年最初のワンマンライブは「楽曲大賞ライブ」を銘打った”ukka music and sound awards”というタイトルで行われた。
昨夏に実施されたファン投票の獲得ポイント20位から1位までの曲を、カウントダウン形式で披露するライブだった。

曲順はファンが選んだ偶然の積み重ね。
でも、その偶然の並びが、どういうわけか心の奥に触れてくることがある。

◼︎前日に映画を見に行った話

唐突なのは承知の上で、ライブと関係のない話から始めようと思う。
ライブ前日、ふと思い立って映画館に『ロボット・ドリームス』を観に行った。
年末年始と慌ただしく過ごしたひと月ほどを経て、ただ目の前のスクリーンに身を預ける時間がほしかったのだと思う。

物語の中で描かれる、自信がパートナーとして選んだロボットとかけがえのない時間を過ごすうちに友情が育まれる姿、そして時間の経過とともにやがて別れを迎える終焉の姿。
観終わったあと、胸の奥に広がったのは、あたたかさよりも、どこかしらに引っかかる、小さなトゲのような感情だった。
関係を結び、身を投じるということ。その構図は、映画の登場人物たちの関係性と同じように、エンタメを届ける側と受け取る側──あるいは、アイドルとファン──の間にも、どこか通じるものがあるように思えた。

「Do you remember the 21st night of September?」
何度も映画の印象的なシーンのたびに流れるアース・ウィンド&ファイアーの”September”を聞きながら、そういえば、自分がukkaに傾倒していったのも”9月”だったな、そんなことを思い出したりもした。

そんな余韻を持ったまま、ぼんやりと豊洲に向かうことになった。

■10周年イヤーもとっくに半分が過ぎた

あれからもう7ヶ月あまりが経ってしまった。
この日のライブのことを書こう書こうと思いながら、日々に流され、気づけば時間ばかりが過ぎていた。
新譜EPリリース・ライブ・個人配信・動画企画・雑誌掲載・ソロでの舞台、いつもにも増してグループ・メンバーともにあわただしいukka結成10周年イヤーは、半分なんてゆうに過ぎて、何なら明日は初ステージから10年を迎える記念日だ。

6月最後の日、ukkaは対バンライブで、再び豊洲PITのステージに立った。

月曜日の9時を過ぎ、20分の短い持ち時間の冒頭曲は、1月に豊洲で初披露した『TOUTOI』だった。

そのセットリストにどこまで強い意志がこめられていたのかはわからない。
だけれども、対バンに出演していた他グループのステージからすると、明らかに異色ともいえる曲のチョイスは、2025年を半分走り抜けてきた自分たちを、もう一度鼓舞するような意図を感じた。

この豊洲の対バンから遡ること2週間。
6月のワンマンライブを振り返る配信で、結城りなが何気なく言った一言が、そんなことを思うに至った出元だったのかもしれない。
「メンバーがプロデュースするとワンマンライブって、そのメンバーが好きな曲をただ並べるわけじゃなくて、ukkaのライブとしてどう見せたいかを考えるから、やってる自分にとっても意外だったり、おもしろかったりするんです」

楽曲大賞ライブの20曲も、偶然の積み重ねで選ばれたものだけれど、あの曲が、あの順番でステージに並んだときの景色や空気を、自分の中の記憶のフックともう一度ちゃんと繋げておきたいと思った。

曲が流れると、ときに脈絡もなく思い出す光景や空気感。

そして、このライブの映像は、数カ月後に円盤(DVD)として発売が予定されるということが先週発表された。

そんなタイミングで、もう7ヶ月遅れになっちゃったけれど、ランキングに登場した楽曲をひとつひとつ振り返りながら、自分がその曲を「憶えている」瞬間をこのnoteでは記していこうと思う。
特別なストーリーではないけれど、楽曲とともに過ごしてきた時間を静かにめぐるような試みに少しでもなればの願いも込めて。


◼︎20位〜16位

⑳ ねぇ、ローファー(2021.3.29 @ZEPP福岡)

2021年春のZeppツアー、その2公演目。
約2週間前のツアー初日・札幌公演のあとで、メンバーの水春が急遽脱退を発表した。
あまりにも突然なことで、気持ちの整理がつかないまま、次の福岡公演を迎えた。

(ukka 公式Xより)

前日入りしていた仲間と、あれこれ話していたことをなんとなく思い出す。
ライブ当日の朝も、どこかそわそわしていた気がする。

セトリ自体は、ツアー用にあらかじめほぼ全てが組まれていた。
でも、歌割りや立ち位置は急きょ変えざるを得なかったはずで、振付に空いたままのスペースが、そのまま受け止めきれない現実を示していた。

そんな中で歌われた『ねぇ、ローファー』。

福岡のステージで、1番Aメロ「振り向いてよ 君の声が誰かに届く前に」をひとりで歌っていたのは、村星りじゅだった。
不思議なほど自然に、視線が彼女に引き寄せられていた。

同じ歌詞が繰り返される2番では、音源では少し切なげに歌われている。
けれどこの日、彼女の歌声は、何かをまっすぐに押し出すような力強さを持っていた。

この曲が発表された2019年の春。
彼女はブログで、こう綴っていた。

桜エビは 難しい曲が多くて、
レコーディング前、練習しているんだけど
なかなかパートをもらうことに繋がらなくて
いつも次も頑張らないと、と思っていて
この曲は自分が歌いたいと思っていたところを
歌わせていただけることができました。

(2019年4月26日『空を見上げたら⋆*̥̥⋆りじゅ*』より)

その言葉を思い出すと、福岡のあのパートがなおさら心に残る。
2年前、ようやくつかんだ歌割り。
それを、あのピンチのステージで、彼女はしっかりと歌いきっていた。


⑲  Rising dream(2023.10.29 @横浜アリーナ)

2023年10月、横浜アリーナ。
この日のスタプラアイドルフェスティバル(スタプラフェス)では、”秋の新曲収穫祭”と題して、「全グループが新曲を披露する」という事前アナウンスがあった。

それを正直「ふうん、誰得?」と、ちょっと斜に構えていた。
各グループの魅力を凝縮したセットリストが見たかった気持ちもあって、新曲への期待値はあまり高くなかった。

アリーナの真ん中あたりに、花道から続くサブステージが設けられていた。
その上に、6人が並んでいた。

(ukka 公式Xより)

イントロが流れた瞬間、あたりの空気がふっと変わった気がした。
実際には、自分の気持ちが一歩だけ曲に歩み寄っただけだったのかもしれない。
でも、視界に映ったukkaの6人は、静かに何かを背負っていたように思う。

あの横アリでの初披露から、
『Rising dream』は今や、フェスや対バンで、ukkaから最初に手渡される名刺のような楽曲になった。


⑱ Glow-up-Days(2023.5.7 @西宮ガーデンズ)

テイチクでのメジャーレーベル後、初のシングル『wonder little love』のリリイベ。
この曲が発表された頃、
「“今の私が好きだ”というパートに、特別な思い入れがあるんです」と、茜空がどこかの配信で話していたのを覚えている。

そのパートを、この日は背中越しに見ることになった。
会場は、ほぼ360度どこからでもステージが見える開放的な構造だった。
ステージの正面には、階段状に設けられた全席着席の優先エリア(有料エリア)があり、最上段だけが立ち見OKの区画となっていた。

自分は、ステージの後ろ、小さな子どもたちが噴水に歓声をあげている近くのフリーエリア側にいた。
私から見て、ちょうど左手、上手にあたる最上段に、古くからの茜空推しの姿があった。

(ukka 公式Xより)

曲の終盤、茜空がふと右手を掲げた瞬間だった。
それに応じるように、その人がすっと立ち上がり、小さなオレンジの大閃光を灯した。
真っ昼間の会場に浮かんだその光は、強い日差しのなかで、逆に静かな輪郭を持って、今でも自分の記憶に残っている。

自分にとっての生まれ育った場所。
ukkaがそこに立つのは初めてで、どこかくすぐったく、でもうれしい時間だった。


⑰ さいしょのさいしょ(2019.11.4 @キラリナ京王吉祥寺)

たしか台風の影響で延期されたためだったか、吉祥寺で開催された村星りじゅの生誕イベントだった。
お姫様衣装のりじゅちゃんと、ミニコーナーのちょっとした空気感。
撮影可能だったこの日の動画が、今もYouTubeにいくつか残っている。

(ukka 公式Xより)

このライブには、自分は足を運んでいない。
でも、不思議と印象に残っている。
コロナ禍のある日、オタク仲間たちと観たライブ映像の記憶が、いまも鮮やかに甦る。

コロナ禍で現場が止まっていた時期に、仲間うちで「ライブ映像を見ながら飲もう」という集まりを何度か開いたことがあった。
ある日、貸し会議室になった東新宿のマンションの一室で、知り合いが持ち込んだ手作りの装置が登場した。
数人の手元に早押しボタンを配って、映像が流れている途中でボタンを押すと再生が止まり、「その場面について語る」という仕様。地味に画期的だった。

そのとき、ある人がこう言った。
「空ちゃん、たまにユニゾンサボるんですよ」

証拠として流されたのが、この日の『さいしょのさいしょ』だった。
撮影可能となったこの曲、いくつもの角度から撮られた動画に、全力で微笑みながら、ひとりだけマイクを口からいる茜空の姿が映っていた。

そのことに気づいたオタクから説明を受けた瞬間の、みんなの「お~……」という納得の声が、いまだに耳に残っている。
映像ももちろんだけれと、その時のオタクたちの顔を思い出すたびに、ちょっと笑える。

もちろん、今の茜空にそんな姿はまったく見られない。
むしろ、あの頃の“ちょっとサボっているかもな自由さ”こそが、彼女の余白であり、魅力だったのかもしれない。
その余白は、いまでも全く別のところに魅力として継続している。


⑯ 灼熱とアイスクリーム(2023.9.3 tipToe.未波あいり生誕 @渋谷O-Crest)

9月3日、グミの日。
語呂合わせで記念日になっているこの日、日本グミ協会が原宿でイベントを開いていて、そこに葵るりがサプライズで出演していた。
残暑はまだまだ容赦してくれないが、その日は真夏の朝にしては少し過ごしやすくて、葵るりはいつものようにいたって朗らかに、にこにこと効きグミに勤しんでいた。

(ukka 公式Xより)

その姿を見届けて、速攻で渋谷の道玄坂に向かった。
歩いて電車に乗って──では、どう考えても間に合わない。
タクシーをつかまえて、どうにか開演5分前に滑り込んだのが、tipToe.未波あいりの生誕ライブだった。

そこで、ほんの少しだけ予想していたサプライズに出会うことができた。

彼女がステージで歌い出したのは、ukkaの『灼熱とアイスクリーム』だった。
Xなどで、「この曲が好きなんです」と繰り返し公言していたのは知っていた。でも、まさか本人の生誕で、しっかりフル尺で歌われるとは思っていなかった。

余計な演出はなく、照明も控えめ。
ただ淡々と歌い切るその姿に、ぐっと心を掴まれた。

終演後、なんとなく気になってプロデューサーに話を聞いてみると、
「スターダストに問い合わせてみたら、快諾いただけてありがたかったです」とのことだった。

それを聞いて、ああ、と思った。
ukkaの曲を“好き”と言ってくれる人がいて、その願いを形にしようと動いた人たちがいた。
その一連の何気ない積み重ねが、渋谷のライブハウスに、ひとときの“灼熱”を連れてきたんだと理解した。


◼︎15位〜11位

⑮ 恋、いちばんめ(2021.11.23 @舞浜アンフィシアター)

ukka新メンバーオーディション──
その過程で、歌唱レッスンの題材に選ばれていたのが、この『恋、いちばんめ』だった。

短くシンプルなぶん、その人の声や表情がまっすぐに出る曲だった。
技術以上に、「誰にどう届くか」を見るにはぴったりの選曲だったと思う。

最終日、候補生たちはこの曲を全員で披露するはずだった。
けれど、スタッフのコロナ陽性により、その機会は失われた。

(ukka 公式Xより)

あれから数ヶ月。
あのとき候補生だった葵るりと結城りなが、新メンバーとして迎えられ、
舞浜アンフィシアターのステージで、ukkaのメンバーとともにこの曲を歌っていた。

いまから思えば、あの頃はまだ、歌声も、立ち姿も、どこか荒削りだったかもしれない。
でも、きっとあの日を経たからこそ、いまの彼女たちがある──
そんなふうに思わせる一場面だった。

⑭ コズミック・フロート(2023.3.5 @仙台Darwin)

この曲の初披露は、2023年1月──
クマリデパート主催のツーマン、Zepp DiverCityでのことだった。

事前に茜空が「タテノリでのってほしい」と話していたのを、どこかで聞いてはいたけれど、いざ披露された瞬間のフロアは、まだちょっと“様子見”という感じだった。
オタクたちも、体よりもまず耳を使って、「どこでどうノるのが正解?」と探っていた。

(ukka 公式Xより)

それから2ヶ月近くが経過し、春ツアー仙台公演。
この日から、ukka主催公演でも“声出しOK”になった。

声出しが解禁された会場で、『コズミック・フロート』がようやく”声”と一緒に踊った。
タイミングもノリも、まだみんな手探り。
でも、EDMのドロップでのお作法やら、間の抜けないコールのタイミングやら、そのへんをわかる範囲で拾いながら、「やってみようぜ」という空気が、少しずつ芽吹いていた。

「未完成さ」にこそ、ライブの一瞬が確実にあった。
『コズミック・フロート』というタイトルのとおり、ほんのわずかに“浮かんでいる”ような、不確かな熱気だった。


⑬ ファンファーレ(2023.9.30 @VEATS SHIBUYA)

ほんの数日前に、川瀬あやめの卒業が発表された。

その知らせを受けて最初のライブが、この日のVEATSだった。
照明がやたらと眩しかったせいか、ステージの向こうに立つ6人の姿が、妙にくっきりと見えた。

(ukka 公式Xより)

『ファンファーレ』の歌詞にある「スタートライン」という言葉は、
川瀬あやめが選んだキーワードのひとつだったという。
彼女がアイドルになろうと思ったきっかけ──元ももクロの有安杏果のソロ曲『feel a heartbeat』の冒頭の一節が「スタートライン」だった。

思えば、この曲が初披露された福岡Zeppのとき、
2部のあと、あやめが「『スタートライン』の歌い上げ、良かったしょ? 良かったっしょ?」と、
ちょっと自慢げに、でもあくまで無邪気に言っていたことがあった。
彼女にとって、その一節は特別な手ごたえを持ったフレーズだったのだろう。

このあと『ファンファーレ』は、彼女のゴールへ向けての節目ごとに、短い期間で何度も歌われることになる。
ソロライブ、そして卒業公演のアンコール。
「スタートライン」のその一行が、繰り返されるたびに違う重みを持って響いた。


⑫ 透明(2025.1.12 @豊洲PIT)

7人体制になってから生まれた、ukkaの“新しい時代”を象徴するような一曲。

2024年、いろんな場所でこの曲を耳にした。
たとえば、竹芝でのイベントでは、まさかのトレンディエンジェルとのダンスバトル風パフォーマンスで披露されたり、
「どっちのケンミンショー」のエンディングテーマとしてもテレビから流れてきたり。
アイドル楽曲大賞では、年間ランキングで堂々の4位に食い込んだ。

目にするころも、耳にすることも多かった、でも――不思議と、「あのときの『透明』がすごかった」と、具体的に思い出すようなライブがまだない。
逆説的だけれど、それはきっとこの曲が、どんな場面でも安定して「良かった」と思える曲だからだ。

この曲には、“特別な何か”を必要としない力がある。
どんなステージでも、どんな照明でも、いつも自然と心に届いてくる。

(ukka 公式Xより)

だから、この日。
豊洲のあの20曲のなかで、この曲が12位に名を連ねていたことが、なんだか嬉しかった。


⑪ おねがいよ(2021.4.17 ZEPP Osaka Bayside)

2021年12月、桜井美里の卒業公演で披露されたのが、5人最後の『おねがいよ!』だった。
それから100日ほど経った、2021年4月のZepp Osaka Bayside。
この日、アンコールの1曲としてサプライズ的に披露された『おねがいよ!』は、新体制となったukkaにとって、初めてのこの曲だった。

そのとき、落ちサビを歌ったのは、芹澤もあだった。

おねがいよ
月が揺れる夜は
ふたりで同じなキスをしよう

ukka『おねがいよ』

その声は、まだ少し幼さの残る、まっすぐで澄んだ歌声だった。
大きく張るわけでも、感情を過剰にこめるでもない。
でも、その「ただ、そこにある」感じが、不思議と印象に残っている。

桜井美里の卒業後、しばらく封印されていたあのパート。
息を呑んだのは、芹澤もあの声が、何の違和感もなくそこに響いていたからだった。
誰かから引き継いだ、というよりも、自然にその場所に立っていた。

(ukka 公式Xより)


◼︎10位〜6位

⑩ エビ・バディ・ワナ・ビー(2021.11.7 @秋田にぎわい広場)

4人体制で走り続けた最後のライブは、秋田の野外だった。

「ドーム・アリーナ・新国立」へ向けての、ひとつの通過点。
風の強かったあの日、ステージの後ろには4種類の旗がはためいていたのをなんだか妙に鮮明に覚えている。


⑨ ラブパレード(2023.8.14 @お台場Zepp DiverCity)

TIFの熱狂から、まだ2週間しか経っていなかった。
同じお台場で、こんな風に夏の続きを感じられるとは思ってなかった。

この日のライブは、Zero Project主催の周年イベント。いわゆる“事務所ライブ”に、後からukkaがゲストとして招かれるかたちだった。
客層も空気も、いつもと雰囲気はまるで違う。

椅子がきっちり並べられた自由席のフロア。
ステージが遠く感じる…かと思いきや、仲間うちで椅子を数脚たたんで、小さなスペースを作った。ほんの少しでも、身体を揺らせる場所が欲しかった--そんな気持ちになるぐらい、楽しかった。

(ukka 公式Xより)

『ラブパレード』のイントロが流れたとき、その空気がふっと変わった。
少し大きめの音。少し甘めの照明。少しだけ余裕のある表情。
ぜんぶ、今のukkaだから出せるものだった。

青く澄んだ 君の瞳
赤く燃え上がる 心の中に

ukka『ラブパレード』

茜空が視線を真正面に投げたその瞬間、気がつけば通路に出て前まで走っていた。
それほど心が動いた。たったひと節で、景色が変わって見えた。

この会場では、ほんの2週間前にTIFでOCHA NORMAと共演したばかりだった。
あのときの熱が、まだ少しだけ残っていた気がした──自分の中だけでも。


⑧ オスグッド・コミュニケーション(2023.7.14 @沖縄Output)

ひと夏の熱狂といえば、やっぱり沖縄だった。

fishbowlとのツーマンライブ──予想だにしていなかった組み合わせに、場所はまさかの沖縄。そして予想外の『オスグッド・コミュニケーション』。

沖縄については多くを語るまい。
ただ、思い出すのは──ひたすらに、楽しかったということだけだ。

(ukka 公式Xより)


⑦ WINGS(2022.4.2 @有楽町ヒューリックホール、2022.4.3 @大阪Takara Osaka)

まだキャリア半年にも満たない結城りなと葵るりが、たったふたりでステージを背負った『WINGS』。

もともとこの曲は、Zeppツアー「WINGS〜スタートライン〜」のタイトルナンバーとして用意されたものだった。桜井美里の卒業後、5人で歩み出すための新しい幕開け――のはずだった。
けれどその途中で水春の脱退が発表され、福岡公演では4人だけでステージに立つことになった。

『WINGS』は、自分にとって、希望というよりも、不安や喪失の記憶に結びついている楽曲だった。
その後も冠ラジオのオープニングジングルなどで耳にするたびに、どこか胸の奥がざわついた。これ以上、この曲が象徴を背負い続けるのは、もう十分じゃないか。そんな気持ちを抱いたこともあった。

だからこそ、ふたりだけがステージに上がり、『WINGS』を歌い始めたとき、自然と息を飲んだのを覚えている。

正直に言えば、葵るりの歌はまだ拙く、音程やリズムも決して安定していたわけではなかった。
でも、その声はまっすぐだった。器用に立ち回るのではなく、真正面からぶつかっていくように。ホールいっぱいに響いたその声は、かえって彼女自身の不器用さや覚悟を浮かび上がらせていた。

その瞬間、自分のなかに溜まっていた複雑な感情が、少しずつほどけていくのを感じた。
「もうこの曲を聞きたくない」とさえ思っていた気持ちが、気づけば、ふたりの姿に見入っていた。

このパフォーマンスが、『WINGS』の区切りになった。
あの歌は、過去を背負い続けるための曲ではなく、新しいメンバーが未来に向かって立つための曲として、ようやく更新された気がした。


⑥ まわるまわるまわる(2021.3.13 @ZEPP札幌)

4人体制でZeppツアー「WINGS〜スタートライン〜」をどうにか駆け抜けていた2021年の春。このツアーで、ずっとアンコールの『まわるまわるまわる』で、GoProカメラをメンバーが自撮りしながら歌っていたのは、もはや歴史の中に埋もれつつあるのかもしれない。
「どこかで公開される映像かもね」という、どこか煽るような予告があったのは、茜空が札幌でだっけ?
そんな言葉を受けて、「今日はおとなしくつつましくいよう」と心に決めたはずだった…でも、曲が始まればそんな決心も0.1秒で打ち砕かれたのを覚えている。

(ukka 公式Xより)

ステージの大画面には次々とメンバーのアップが映し出され、芹澤もあちゃんが「ちょっと違和感〜」と歌いながらステージ中央に完全に放置され、他の3人(当時の川瀬あやめ、茜空、村星りじゅ)がカメラに向かってひたすらポーズを決める、そんなコミカルな光景が広がっていた。
その後の名古屋公演では、もあちゃん自身がGoProを手に持ちながら、最初はどうしたら良いかあたふたしつつ、自分の後頭部を写してしまう、という愛らしい場面もあった。

あの頃のukkaは、予想もしないメンバーの変遷(6人→5人→4人)の只中にあり、それでも前へ進まなければならないという、どこか張り詰めた空気が漂っていた。そんな中で、『まわるまわるまわる』は、彼女たちの遊び心や、見る者を惹きつける無邪気な笑顔を存分に発揮する楽曲として、一服の清涼剤のような役割を担っていたように思う。
GoProを通じたメンバーの素の表情や、ライブのエネルギーがダイレクトに映し出されることで、観客は一層、その「一瞬」を強く感じ取ることができた。

でも、あのGoProの映像は、その後どこかで公開されたという話は、少なくとも自分の耳には届いていない。
またいつか。


◼︎5位〜1位

⑤ それは月曜日の9時のように(2021.8.8 @新木場コースト)

柚姫の部屋フェス。
まだまだコロナが猛威を振るう中で、4人で走り続けるukkaがゲストとして招かれたのが、TEAM SHCHI大黒柚姫の主催YouTube番組が開催したフェスだった。
芹澤もあが急きょのお休みということで、3人でのステージ、に、大黒柚姫が加わって披露されたのが、「それは月曜日の9時のように」だった。

(ukka 公式Xより)

ほぼ毎週月曜日21時にスタートするYouTube配信番組「柚姫の部屋」──その時間を想起させるこの曲は、本人いわく「勝手にテーマソング」らしい。そんな大黒柚姫の歌声には、大人の余裕のようなものが滲んでいた。


④ AM0805の交差点(2022.7.10 @渋谷duo MUSIC Exchange)

NEO JAPONISM[ネオジャポ]とのツーマンライブ。
ファン層も界隈もまったく異なる相手との対バンに、開演前のフロアには、静かに様子をうかがうような空気が漂っていた。

その空気を変えたのは、『AM0805の交差点』だった。
いや、もっと正確にいえば、NEO JAPONISMのTシャツにおそろいの短パン姿で飛び出してきたukkaの6人、その姿と第一声だったのかもしれない。
普段は衣装をまとって登場する彼女たちが、この日は妙に目を引く姿で現れた。
ラフなはずなのに、不思議とステージに似合っていた。客席の空気がほんの一瞬で変わったのを、今でもよく覚えている。

この日、葵るりは17歳最後のステージに立っていた。
中盤、下手から上手へと歌いながら歩いていくあの場面。
Tシャツ姿のまま、どこか楽しげに、けれど堂々と歩いていく彼女の姿に、自然と目が引き寄せられた。
にこにこと笑っているようでいて、どこか決意を秘めているようなその表情が、ずっと心に残っている。

あとから明かされた話だが、葵るりは、このライブからひとつきほど前に、アイドルを続けることに自信が持てず、一時的にパンクしていたと読んだ。
けれどこの日の彼女からは、そんな気配は感じられなかった。
まっすぐ前を向くその表情に、むしろ何かを振り切ったような芯の強さが宿っていた。

記録には残りづらいライブかもしれないが、いま思えば、このあたりの時期は6人体制の転換点だったのだと思う。
持ち時間は45分。ワンマンのように密度の高いセットリストは、のちに「44分58秒だった」だと茜空のブログで語られている。
一度立ち止まりかけた歩みを、もう一度踏み出す。6人で走り抜けていく、その最初の助走。
この日の『AM0805の交差点』は、そんな変化の始まりを静かに告げるような時間だった。

後日談。
その日、ネオジャポのオタクから聞いた話では、当日の衣装は、NEO JAPONISM側から贈られた、吸水速乾性の高い特注Tシャツ。その場で「これ着て出よう」と決まり、ukkaのマネージャーが渋谷の街を走って短パンを調達したらしい。
とにかく可愛かったな。

(ukka 公式Xより)

③ キラキラ(2023.8.4 @TIF Hot Stage)

2023年、ukkaにとっては通算9回目となるTIF。
おりからの喉の不調のため、茜空はダンスのみの出演で歌唱はなしという事前アナウンスがあった。
そんな中、メインステージHOT STAGEでのパフォーマンスで『キラキラ』のイントロが流れたのは、正直なところ大きなサプライズだった。

(ukka 公式Xより)

芹澤もあ[破れ 蹴飛ばして] → 葵るり[壊せ 物語を] → 村星りじゅ[光れ 胸の奥] → 川瀬あやめ[目指せ 手を伸ばして]のシークエンスのあと、もう何十度となくやってきたのと同じように、茜空のほうを見た。
その視線を、そのまま受け取るように、村星りじゅの声が真夏の空にすっと伸びていった。

何度でも 何度でも
立ち上がれ 歌え 声を上げ 叫べ

ukka『キラキラ』

きれいに真夏の空に溶けていく村星りじゅのロングトーンを耳にしながら、茜空はいつもは踊らないパートを楽しそうに踊っていた。

やっぱり、暑い夏だった。


② タリルリラ(2021.10.31 @O-WEST)

2021年10月、まだまだコロナ禍真っ只中の中で行われた、川瀬あやめ20歳の生誕ソロライブ。

アンコールの2曲め、オーラスで歌われたのが『タリルリラ』だった。

2番冒頭、「お前がいちばん、あやめ!」と名物のコールを客席からかけられないもどかしさを少し感じていた最中、自分が見ていた2階席を身をかがめながら様々な角度から写真を撮る関係者の姿があった。
声を出すかわりに、大きな身振りでぎこちない振りコピをする自分と、まるで小動物のようにちょこまかと通路を忙しく行き来する茜空との間で、一緒に見ていたコロナ禍を一緒に戦っている仲間は、どうしていいかわからない表情で立ち尽くしていたという。(ごめんなさい)

あそぼうよ

ukka『タリルリラ』

茜空がアドリブを繰り出すことが名物のパート。
川瀬あやめは、ま正面へ向かい、親しい人たち全員に呼びかけるような、何のてらいもない素直な気持ちで、「あそぼうよ」とささやきかけた。

(ukka 公式Xより)

クラップして踊って笑顔で終わる、ukkaの現場でいつも身をゆだねているのと同じ、心地よいオーラスだった。
カメラロールの中の川瀬あやめは、いまどんな表情でスマホに収められているのだろう?


① リンドバーグ(2024.1.21 @恵比寿リキッドルーム)

2023年12月、ukkaのひとつの時代が終わった。

明けて2024年1月。
「みんなに名前を呼んで欲しいです!」
そんな煽りから、両手にマイクを握りしめた宮沢友がリードパートを歌い始める。

呼んでおくれよ 僕の名前を

ukka 『リンドバーグ』

新章の始まりは、中学生(当時)ふたりが扉を開けた。

10年めの円熟と、新しく加わったふたりの鮮やかさ。
その両輪が揃ったとき、会場全体がひとつのリズムを刻み出したようだった。
そして、それは豊洲PITでも同じだった。
7人体制がスタートして、ちょうど1年が経った。
やっぱり、ukkaのライブの大団円には、この曲がよく似合う。
なにより、アウトロで茜空が客席に深々と頭を下げる姿が好きだ。

◼︎おわりに

ライブが終わったあと、再び『ロボット・ドリームス』のことを少しだけ思い出していた。
あの物語とukkaのステージとがどう繋がるのかはわからない。
ただ、何かが重なるような気がして、ふと記憶の中の断片がいつか動き出すような感覚があった。

このライブの後日、ukka結成10周年イヤーの締めくくりは、12月の全曲披露ライブは「ALLOUT 3rd」と発表された。

『September』は、12月になっても9月のことを思い出している歌だと言われている。

より正確に言うならば、ただ一行
“Now December found the love that we shared in September”
と歌われている。

灼熱の夏へ向けて、ukkaはまた疾走していく。
12月の恵比寿で、冷たい風を感じながら、それぞれの曲をどのように思い出すのだろうか。

素敵なライブをありがとうございました。

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