人口2000人。夏、ちいさな町で僕は孤独をからだで理解する
話を始める前に、僕の性別について。
僕は「女性」だ。
一人称が「僕」と「私」の時があるので
混乱させて申し訳ない。
いえちゃんの写真は
いつもどこか寂しいんよな
君は言った。
夏のあいだ
僕はちいさな町ですごしている。
人口は2000人に満たない。
僕は、朝4時から昼12時まで仕事をする。
そのあと昼食を食べ
15時まで昼寝をする。
16時から19時まで
小さい人たちとプールやビーチへ行く。
週末は船に乗ったり星を見たり
ジェラートを食べたりする。
アジア人は僕だけだ。
プールの受付の厳粛マダムも
バーで働く小柄な白髪マダムも
ビーチのスナックスタンドのムッシュも
僕を知っている。
エレアが太った
ケヴィンが不倫している
メラニーが離婚した
このちいさい町では
秘密が肴になるらしい。
僕はミントビールを飲み干す。
僕は何者でもない。
僕はただの僕。
馴染んでいるようで
僕はやっぱり馴染めない。
日本でも日本でなくっても。
僕はひとり。
いえちゃんの写真は
いつもどこか寂しいんよな
君は言った。




