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エンジニアに「唯一の正解」などない。若手のうちに身につけるべき“正解の求め方”【アラフォー人材育成】


「丁寧な指導」が育成の邪魔をしている?

後輩を指導する立場になった20代後半のエンジニアに見受けられる、ちょっと気になる傾向があります。それは、新人に対して手取り足取り手順まで教えて、しかも「これが正解です」というニュアンスで伝えてしまうこと。

気持ちはわかります。自分が覚えた正しいやり方を、きちんと伝えたい。余計な遠回りをさせたくない。それは決して悪意からくる指導ではないと思うんです。ただ、ちょっと待ってほしいんですよね。

例えば学校教育では「正解を教える」ことは正しいアプローチだと思います。勉強というのは正解があって、それをどう導き出すかという能力を鍛える場所だからです。

でも、仕事はどうでしょうか。

皆さんが教えているその手順は、確かに多くの人の知恵が集約された現時点での正解かもしれません。でも、それはあくまでもその手順が作られた時点での話。今この瞬間の正解かどうかは、誰にもわからないんです。


前提条件によって正解は正解ではなくなる

なぜ正解はころころ変わるのでしょうか。理由はシンプルで、仕事を取り巻く前提条件が常に変化しているからです。

「とあるシステムを使うためのマニュアル」を例に、いくつかの前提条件を挙げてみたいと思います。

前提条件①:人が変わる
知識のある人向けのマニュアルと、まったくの初心者向けのマニュアルが同じ内容でいいわけがないですよね。
使う人のレベルが変われば、最適な情報提供の形も粒度も変わるのです。

前提条件②:ツールが変わる
マニュアルで使っていたツールに大規模なアップデートが行われ、操作感や見た目が大幅に変わったとしたらどうでしょうか。
以前のマニュアルは間違いではないかもしれないけれど、正解とは言えません。

前提条件③:時間が変わる
たとえばマニュアル内で問い合わせ先を案内していたとして、平日日中と夜間・休日で対応窓口が異なる場合、「いつ使うか」によって正解が変わってしまいます。

例を挙げればきりがないですが、いくつもの前提条件が目まぐるしく変わる中で、「唯一の正解」を伝えることにどれだけ意味があるでしょうか。


そもそも、エンジニアの仕事に唯一の正解はない

「正解がない」と聞くと不安に感じるかもしれませんが、エンジニアの仕事において唯一の正解はほとんど存在しません。

しかも、残念ながら不正解は存在します。不正解とは、明らかに目的から逸脱した結果が出た時です。

しかし、裏を返せば、目的から逸脱していなければそれは一つの正解と言えるのです。

この目的から逸脱しないという観点を大事にすることが必要であり、唯一の正解を追い求める必要はありません。

目的を達成するための多様なアプローチを模索する姿勢こそが、エンジニアには求められます。

確かに仕事には正解例やセオリーは存在します。

しかし、唯一の正解は誰にも分からないことが多く、人によっても変わります。仕事には多くの人が関わり、意思決定にも多様な視点が介在するからです。

だからこそ、大切なのは、なぜこの結論に至ったのかというプロセスです。

客観的に見て、プロセスと結論に一貫性があれば、それが最適解かどうかは置いておいて、一つの有効な「答え」になります。

自分なりのロジックを組み立て、それを説明できることの方が、誰かが決めた正解をなぞるよりも遥かに価値があります。


若手エンジニアへ:正解を探そうとしないでほしい

若手エンジニアの皆さんが「正解」を求めたくなる気持ちは分かります。

でも、それは皆さんの怠惰が原因ではなく、情報社会がもたらした過度な効率化、いわゆるタイパ重視の風潮が原因だと思っています。

いつでも誰でもそれなりの答えにアクセスできる環境が当たり前になったことで、いつしか「結果」だけを探すことが、習慣化してしまっているのではないでしょうか。

でも上司や先輩の立場からはっきり言わせてもらうと、若手に対してそこまで結果重視の期待はしていないです。若手に結果の責任を負わせることはまずないし、それよりもどのように答えにたどり着いたのか、というプロセスを重要視しています。

だからこそ、若手のうちはプロセスとセットで答えを出すことを習慣にしてほしいです。フィードバックをもらったら、次はそれを活かして少し効率よくやってみる──そのくらいのスタンスで十分です。

プロセスなき正解より、プロセスある試行錯誤のほうがずっと価値があります。


ベテランエンジニアへ:あたかも正解があるような教え方をしないでほしい

手順まで細かく教えてその通りに実行させることは、確かに業務を効率的に消化するうえでは有効な手段かもしれません。

でも、そうして育てられた若手が数年後に指導する立場となったとき、どうなるでしょうか。

手順しか教わっていない人は、次の若手にもその手順を伝えることしかできません。「なぜそうするのか」が抜け落ちたまま、手順だけが連鎖していく。そのような伝達作業は、今後生成AIに取って代わられるでしょう。

大切なのは目的であり、「なぜそのようになっているのか」という背景を伝えることです。

マニュアルに動かされる人間を量産するのではなく、マニュアルを自分で作れる人間を育てていく。

そのためには、正解を押しつけるのではなく、正解など存在しないと教えつつ、正解への導き方を見せることがベテランとしての本当の役割だと思っています。

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