IRON MAIDEN(アイアンメイデン) "Killers" (1986年 初期プレス)
Clear intent to kill
霧深いロンドンの路地裏に響く、重厚でうねるようなベースライン。それはまるで、闇夜に紛れて獲物を探す足音のようだった。
1981年、ヘヴィ・メタル史の歴史を塗り替える熱狂の渦中において、アイアン・メイデンは前作の衝動をさらに研ぎ澄まし、より冷酷でダークな物語を音盤へと刻み込んだ。それがセカンド・アルバム『キラーズ』である。


定価「¥3,200」と規格品番(CP32-5107)
当時、CDというメディアがまだ高級品だった黎明期の価格設定(税抜3,200円)がそのまま刻まれています。品番の「CP32」も、当時の東芝EMIにおける3,200円ラインのCDに付与されていた象徴的なコードです。
日本語表記のトラックリスト
『3月15日』(原題:The Ides of March)や『無実の逃亡者』(原題:Innocent Exile)、『悪魔の魔法』(原題:Prodigal Son)など、当時の日本盤特有のどこか文学的でユーモアもある和訳タイトルがずらりと並んでいます。
プロデュースクレジット
画面下部には、HR/HM界の名伯楽マーティン・バーチ(Martin Birch)とアイアン・メイデンの名前がしっかりとクレジットされており、彼らのサウンドを支えた強力タッグの痕跡が見て取れます。
ポール・ディアノのアンダーグラウンドな匂いを残した荒々しい歌声と、ツイン・ギターが織りなす鋭利な旋律は、聴く者を恐怖とカタルシスが入り交じる危険な迷宮へと誘う。エドガー・アラン・ポーの世界観に通じる退廃的な文学性を孕んだ「モルグ街の殺人」や、スティーヴ・ハリスのベースが疾走するインストゥルメンタル「ジェンギス・カン」など、一曲一曲がただの暴力性にとどまらない緻密な美しさを放っている。

1. 「初期版(日本初版)」
いわゆる「ブラック・トライアングル」デザイン
盤面の左側から中央上部にかけて、黒地に鮮やかな虹色の帯(グラデーション)が走る、1980年代半ばの東芝EMI初期CD特有のデザインが採用されています。
規格品番とカタログ情報
盤面の上部に CP32-5107、そして元となった英国盤のカタログ番号である EMC-3357(CD) が併記されています。
発売日と価格
1986年3月1日に発売された日本でのCD初版(ファースト・プレス)であり、当時の定価 3,200円 を表す「CP32」の品番が冠されています。
レーベルとロゴ
お馴染みの EMI ロゴや、左下には懐かしい初期の「COMPACT disc DIGITAL AUDIO」の立体的なロゴタイプが配置されています。
「販売用」スタンプが押されている理由
プロモ盤(見本品)との混同を防ぐため 当時、レコード会社はラジオ局や雑誌社などのマスコミ関係者に、宣伝用の「見本盤(非売品)」をたくさん配っていました。そうした見本盤には「見本盤」「非売品」といったスタンプやシールが必ずと言っていいほど押されていました。 それに対して、「これはタダで配った見本ではなく、ちゃんとお金を払って流通させる『販売用』の製品ですよ」と明確に区別・証明するために、あえて「販売用」というスタンプやシールを管理用として押すことがありました。
ラジオ局やリース会社での資産管理 放送局やプロモーション会社、あるいは一般の企業などが、自社で購入・所有している音楽CDを管理するために「管理番号(10338)」のシールと一緒に「販売用(=購入した資産)」のハンコを押して管理していたケースがあります。
そして、その中心に君臨するのが、血に濡れた斧を握りしめ不敵な笑みを浮かべる殺人鬼エディだ。彼の存在は単なるバンドのマスコットを超え、このアルバムが持つ危険なスリルと狂気を完璧に体現するアイコンとなった。
British Heavy Metalの隆盛を告げたそのサウンドは、時代を超えて今なお色褪せることなく、闇の中で鋭い牙を研ぎ続けている。
最後に
アイアン・メイデンのディスコグラフィーにおいて、私が80年代の東芝EMI「ブラック・トライアングル」仕様で初期プレスを所有しているのは、この『キラーズ』(CP32-5107)の1枚のみです。
CD黎明期の黄金期を象徴する3,200円という定価、漆黒と鮮やかな虹色が交差する美しいレーベルデザイン、そして当時の熱気をそのまま閉じ込めた日本語のトラックリスト。後年の再発盤では味わえない、このファースト・プレスだけが持つ圧倒的なオリジナリティと歴史的価値は、コレクターにとってまさに聖杯のような存在です。
HR/HMのアルバムを作成しています。
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