[SS] 1に確認、2に確認、大事なことは指差呼称。
「やばいぞ、これは。」
「わかってるって、だから相談してるんだろ。」
「いや、そういう問題じゃないって、これは。」
「あの….。」
「どうするんだよ、なあ。」
「わかってるって、でもさ、どうしたらいいのか分からないんだって!」
「とりあえず、上司に相談しに行くしかないんじゃないかな….。」
「あの….。」
「お前、三回目だろ。」
「そうなんだよ….、あれだけちゃんと確認しろって言われたのにさ。」
「だから、早いうちに相談に行こうぜ。俺もついていくからさ。」
「あの…..。」
「ちゃんと確認したのか?」
「….、してない….。」
「してないのかよ!お前、あれだけちゃんと指差しで確認しろって。」
「すみません….。」
「お前、それはダメだわ。」
「急いでたんだって、そもそもこいつが悪いんだよ。急に予定変えるから。」
「いや、お客さんにそれ言ってもダメだろ。お前が悪い。」
「あの、聞こえてますか…..?」
「お前絶対クビだわ。」
「そんな事言うなって、前回も減給で大変だったんだぞ。クビなんて….。」
「とにかく、お客さんも待ってるんだし。報告行くぞ。」
「あの….、私の声聞こえてますよね?」
「あ、すまん。俺、もう行かないとだわ。」
「え、いや、そんな。」
「あ、ごめんな。俺もだ。」
「……。」
「まいった、一人になっちまった。俺….。何でちゃんと確認しなかったんだ。俺。」
「この間も怒られたばかりなのに、最悪だ。」
「また給料減るのかな、困った。」
「…..、報告に行くか…..。」
「あの……。」
「あ、すみません。お待たせしちゃって….。実はその、間違いでして。」
「間違い?何がです?」
「嫌、その。本来はですね、セントレアマンションの404号室にお伺いしたつもりなのですが。」
「はい。って、え?」
「そうなんです…..、部屋間違えてしまってですね。あなたの504号室にお伺いしたと言う…..。」
「はあ!?あんたねえ、どうりでおかしいと思ったんだよ。」
「すみません….、ほんとごめんなさい!!!」
「え?じゃあ、私は?」
「そうですね、あの実は死ぬ予定ではなかったと言う….。」
「はあ!?てめえ、何言って。」
「あ、痛い痛い。あの同じ死者なので。暴力、反対….。」
「てめえ、てめえ。この野郎!!!」
「痛いです、すみません。ほんと痛いので、辞めてください。私先月も、間違ってしまいまして、上司怖いんですよね…..。」
「だからなんだよ。」
「なので、あの、このまま内緒ってわけには行かないですかね?」
「内緒ってどう言う事だよ。」
「うーん、まあ、そのもう死んでしまっているわけですし。このまま、という、ね。」
「いやいや、あんた何言ってんの?本来死ぬ予定じゃなかったんでしょ、私。」
「そうなんです….けど、でも、もう、その体も、荼毘に付されてしまっていますし。」
「まじか…..。」
「あなたが亡くなってから、実は3日経っておりまして….。」
「まじかよ….。まじ、か…..。」
「なので、今回は内緒でと言う事で….その。」
「お前…..、お前。このやろー!!」
「あ、痛い痛い。ダメです、顔は、あの、傷残りますし。」
「てめえ!!!」
「あ、そんなに引っ掻くと、目玉出ちゃいます….。あ、痛い、痛い。」
「行くぞ、上司のところ。どこだ!?」
「あ、目玉ないと見えないんですけど。えっと、多分こっちですね。」
「嘘ついてないよな。」
「ついてません。」
「本当だな。」
「ええ。」
「なんだ、ここは。崖?下が見えないぞ。」
「えっと、ですね。地獄の入り口ってやつでして。」
「あ、あ、おま、お前。お前!!!!!」
「ふう、落ちた落ちた。ここに落としておけば、まあ誰の声も聞こえないだろうし。あとは書類をでっちあげちゃえば、と。」
「お前、みてたぞ!」
「あ、上司….。何でここに?」
「部下Aと部下Bから、報告を受けて駆けつけてみれば….。」
「あ、あの。つい、ですね、その、出来心で。」
「お前ってやつは、自分のミスを、お客様に….。」
「す、すみません。」
「わかった。お前はクビだ。」
「….、すみません。それだけは!!」
「仏の顔も三度まで、それにミスを隠し、お客様を地獄に突き落とした。お前はもう許されない。」
「そ。そんな。」
「お前は、永久に地獄行きだ。」
「あ、あの。この人たちは?脇を抱えないで!!」
「さよならだ、これでも一番目をかけてきたのにな。残念だよ。」
「上司!上司!」
「そこまで捻くれた根性はもう叩き直しても無駄だろう。さよならだ。」
「上司!上司!上司!!!!」
「落ちていったか….。まずい、急いであのお客様を連れ戻さないと。」
「死神も人手不足、人材の確保が急務だなあ。」
「今度から、霊界ドローンに行かせるかな。あ、そういえば霊界ロボもそろそろ試験段階だって言ってたな。部長に相談してみるか。」
「と、こんなことしてる場合じゃない。お客様、お客様。」
私は、地面に落ちていた目玉を穴の中に投げ込む。
そして、お客様を救出するために事務所に駆け戻るのだった。
こちらの企画に参加させて頂きました。
面白いお題をありがとうございます。
それにしても指差確認
本当に大切ですね。
