[SS] 開いている
また、日差しが鋭い日が戻ってきました。
昔はこのくらいの時期に怖いドラマをたくさん放送していた気がします。
お昼のワイドショー?の中でやっていた、あなたの知らない世界??
だったと思うのですが、怖かったですね。
背筋がゾクゾク、夜はトイレに行けなくなった事もありました。
とはいえ、見てしまうんですよね・・・。
困ったものです。
と、そんな事を懐かしんでいたら
ちょっと思い出したことがあったので書いてみました。
もしよければ読んでみて下さい。
気がつくと、いつも何かが"開いて"いた。
アコーディオンカーテン。
クローゼットの扉。
押入れの扉。
何かがほんの少し"開いて"いる。
玄関の靴箱の扉
窓のカーテン
自室のドア
ちゃんと閉めたはずの物が、ほんの少し"開いて"いた。
最初はビクビクしていたが
人間とは、だんだん慣れていくものだ
1ヶ月もすると、普通のことに思えてきた。
夜、友人と部屋で電話をしていた。
「そういえばさ。お前の例の何か開いてるってどうなったの?」
「いや、それがいまだに開いてるんだよなあ。」
「まじか、誰かいるんじゃないの?」
「この間、一緒に見てもらったろ。」
「確かに。」
「なんか気味悪いけど、だいぶ慣れたさ。」
「そうか。」
ふと、自分の部屋のドアが目に入った。
ドアのノブが動いていた。
ドアは内開きで、金属製のドアのノブを押し下げる形式だ。
ノブはゆっくりと、下に下がっていく。
何もできない。
声を出すこともできなかった。
なぜか目を逸らすこともできない。
ノブが下がり切ると、静かにドアが少しだけ"開いた"。
「おい!、聞いてるか!。なあ。」
電話口の声で、我に帰った。
「悪い、今すぐ来てくれないか。」
「何かあったのか?」
「頼む、すまん。。。」
目をドアから離すことができない。
少しできた隙間は、それ以上広がることはなかった。
電話を持って、静かにドアに近寄ると一気にドアを閉める。
そして、これ以上ドアが開かない様に座り込んだ。
「今行くから、待ってろ。」
友人が慌てて家を出る音、タクシーを捕まえる音が聞こえる。
「もう、着くからな。」
15分ほどして、友人が家の前に着いたらしい。
「鍵、開けてくれ。」
俺は立ち上がると、思い切りドアを開け、玄関に走った。
鍵を開けて友人の顔が見えると、思わずその場に座り込んでしまった。
その日は友人の家に泊まった。
次の日の朝、友人と一緒に自分の家に帰ってきた。
一緒に家中を見て回ってもらったが、おかしなところはなかった。
あまりに怖くて
そのまま友人に一晩泊まってもらったが何も起こらなかった。
友人が帰った後も、家中の電気をつけて
部屋のドアを塞ぐ様に布団を引いて眠った。
不思議な事に、あの日以来どこかが"開く"事はなかった。
今では夢だったのではないかと思えるほどになった。
あれはなんだったんだろう。
今でもよくわからない。
